出かけた時から帰り道

バイクや車やフェリーや列車や飛行機や自転車による全国(時々海外)の旅行記群、分割日本一周の記録です。VTR-F乗り。(子育てのため長期旅行お休み中)

二輪教習日記【8】




梅雨明けが宣言された、もはや夏空と呼んでいいピーカンの空のもと。
涼しいロビーには入らず、ひさしの陰からコースを眺めていました。

この教習所を初めて訪れたのは3年半ほど前のこと。
4輪の免許を取得すべく34時間の学科と26時間の技能を5ヶ月かけてこなしていたあの頃は、まさか自分がまたここで別の免許を取りに通うとは想像だにしませんでした。
今日で17時間すべての教習を終え、卒検に受かれば今度こそ、少なくともまたしばらくはおさらばです。

……まあ、みきわめと卒検を難なくパスすればの話なのですが。


20150720.jpg
====

朝一のコマはシミュレータと学科のセット教習です。間に10分の休憩を挟み2時間ぶち抜きで行われます。

防具は装備せずに二輪教習の集合場所で待機。時間になったらシミュレータ室まで案内されます。
まずは教官からのお話。

バイク事故にはどんなケースが多いのか、車から見てバイクはどういう風に捉えられるのか、あるいは実際に教官が体験した事故について等々……。


……聞いているだけで1コマ目が終わりました。


いやいいんだけど。退屈な話ではなかったから全然構わないのだけど。

バイクといえば危険な乗り物という印象がつきもの。
いや実際4輪と比べればはるかに危険というかまあ危険を楽しむためのものである節は否めませんが。

ところが曰く、バイクだって事故のリスクを低減させることは結構可能なんだよと。
運転技術次第じゃねと思われるかもしれないけれど、どちらかといえば「状況にひそむ危険を予測して常に注意すること」が一番大事だとか。

そもそもバイク死亡事故の半分近くがいわゆる単独事故で、原因として圧倒的に多いのがスピードの出しすぎ。
ここまでくるともはや危険予測以前の問題とも言える……。


また、バイクといえば車体が小さいので、小回りがきくかと思いきや実のところそうでもない。
というのは、僕自身も実車に乗ってようやく気付かされました。

速度が出ているととっさに曲がるのが遅れるし、転倒の恐れがあるので闇雲にハンドルを切れない。徐行していたらそれはそれで己の車体バランスが危うい。
バイクは見えなかった」「バイクなら避けてくれると思った」という4輪ドライバーは多いので、それを承知の上で駆け引きや他の人の死角に入らない工夫をしてねとのことでした。



2コマ目からようやくシミュレータに跨りました。

前の時間から教習生は僕一人というマンツーマン体制だったので、ひたすらシミュレータで走り回る。

目の前で転回(Uターン)を始めるタクシー。
狙いすましたタイミングでウィンカーも出さずに踊り出る路駐の車。
追い抜いたくせに僕が追いつくのを待って巻き込み攻撃を仕掛けるトラック。
どう見ても右直事故狙いの間を置いてやって来るバイク2台。
突然車道にはみだす自殺志願者のチャリンコ。

架空の街中で、案の定起こりまくるアクシデントたち。
GTAグランド・セフト・オート)ばりの危ない街をとろとろ運転のバイクが駆け抜けます。

「危険予測をできるようになるには実際にそのケースを体験するのが一番。ということで、安心して事故起こしてください☆」
という言葉のもと、右車線から左折かましてくる乗用車に思いきり突撃するなどしました。


僕「あの、この信号ずっと赤のままです」

教官「ほんと?」

僕「交差する道のほうもずっと黄色です」

教官「じゃあ行っちゃえ」

僕「はーい(ぶうううううううん)」



3コマ目にして本日最後、そして今回最後の教習となる(予定の)この時間。

教習所に通ったことのある人なら誰もが嫌いであろう4文字、「みきわめ」です。


みきわめの時に限っていつもと違う教官が担当になるのって絶対意図的だよねあれ。
4輪のときの2回もそうだったもん。もはや確信しているレベル。

ということで、AコースBコース両方を走らせてみてこいつは卒検受かりそうかな大丈夫かなーという判断を行う回となります。


まずはAコースから。

教習所が僕ら教習生に対して教えられる最後の機会という事で、突っ込みどころもいつも以上に細かく、かつ試験向きな内容になります。

僕のほうも僕のほうで、いつも以上に執拗かつこれ見よがしに後方や左右の確認を行います。
その結果あまり前を見ていない気がするが気にしない。


そして事件はAコースを走り出し、踏切をクリアしたところで起きた。

左折の手前で徐行する僕。
行く先でウィンカーを点滅させたまま停止する4輪。

教官「あの車ハザードだから抜けちゃっていいですよ」

僕「えっ、あっ、えっ」

右斜め後方からの教官の声に動揺し、ハンドルを切っていた方向に車体が傾き、


――転倒。


最後の最後、第2段階みきわめにて転倒。
ちなみに卒検における転倒=当然ながら試験中止項目です。

ああまずいこれはみきわめ不可かもしれない……。

教官と2人がかりでバイクを起こしながら、さーっと血の気が引く一方で平静を装う。
すると無駄に落ち着きを取り戻して以降はノーミスでAコース終了。

ああしかしコケちまったらなあ……

「じゃあ次Bコースいきましょうか」

……えっ、普通にみきわめ続くんですか。


Bコースは一度コースを間違えそうになって真後ろから「右、右!」と直されるも、他は特に問題なく終了。
その後はスラローム平均台急制動の練習を何度か流し、1時間はあっという間に過ぎました。

最終的に、ちゃっかりみきわめ合格貰いました。なんだこのうしろめたさは……。



前回書きましたが、クランクやS字カーブの終わりのところでバランスを崩して右足を着いてしまう件について。

2コマ目のシミュレータ後に相談してみたところ、リーンアウトの姿勢をしっかりさせてみてはというアドバイスを貰いました。

リーンアウト】 :カーブで車体を傾ける時に、車体の傾きよりも外側に体幹を傾けること。

ついでに言うと、車体の傾きと同じ傾きにすることをリーンウィズ、内側に傾けることをリーンインと呼びます。リーンインの姿勢をとるのはバイク乗りでもレーサーと白バイだけだって別の教官が前に言ってた。

直後のみきわめでこのリーンアウトの姿勢を意識してみたら、不思議なくらい安定してクランクとS字カーブを攻略できるようになりましたとさ。
ちなみに、クランク&S字カーブを通過する時のギアの指定というのは特にありません(あるのはスラローム平均台のみ)。
が、僕は基本2速で抜ける派です。


20150720.2.jpg


……ということで、無事に全ての教習が終了。
残るは来週の卒検です。


Twitter