出かけた時から帰り道

バイクや車やフェリーや列車や飛行機や自転車による全国(時々海外)の旅行記群、分割日本一周の記録です。VTR-F乗り。(子育てのため長期旅行お休み中)

二輪教習日記【おまけ】



バイクで行ってみたいところといえば山ほどあったものの、自分のバイクを手に入れたらまず行きたいところは、ひとつ決めていました。

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――東京湾一周です。
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2013年の夏にトライした、自転車で東京湾一周の旅。
一日中ペダルを漕ぎ続け、17時間かけて210kmを走破。
(上の地図の赤線部が当時の大体のルート)

道中でたびたび思ったのが、「もしこれがバイクだったらどれだけ楽で早いんだろう」。
それまで4輪の自動車を運転する気しかなかった僕が、自分でバイクに乗ることを本気で考え始めたきっかけの一日でした。

ただ目的地に向かって走るだけではなく、移動そのものを目的とする。それには2輪しかないという意識はなぜか当時から持っていたのです。


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そんなこんなで納車翌日。
8月もほぼ終わりの日曜日に、ならし運転がてら早速でかけることにしました。

慣らし運転でこんなに遠出していいのかという点は気にしてはいけません。


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ディスプレイ左下のトリップメーターは39km。
まだフルマラソンの距離すら走っていないこいつと、これから200km以上の旅に出ます。不安とわくわくでいっぱいだよ。

 




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手始めに向かったのは母校である教習所。
教官のみなさん、ついにぼくは公道上を走れるようになりました。

送迎バスの運転手に変な目で見られながら教習所をあとにして、片側に2車線も3車線もある大通りを走り都心へ向かいます。

所内ではあれだけ怖かった時速40kmも、路上ではあっさりひねり出す。あの怖さは不慣れからでもあるけれど、所内の狭さというのも大きいのかもしれない。


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せっかくなので、自転車で東京湾一周した時の撮影スポットにも立ち寄る。
走り出せばどうということはないものの、低速時や押し歩く時の取り回しが圧倒的におぼつかない。


ここから都心部を難なく走り抜けて千葉県へ突入。
しかし悪夢はここからでした。

納車翌日から高速に乗る勇気があるはずもなく、また自転車との比較という趣旨のためルートセレクトは言わずもがなの下道。
しかしそこに待っていたのは、東京~千葉の数少ない大動脈かつ混みっ混みの国道14号でした。

正午あたりから劇的に進まない、船橋やら習志野やらのエリアの渋滞。
自転車なら渋滞なぞ気にせず歩道をすいすい走れた国道14号
250ccでしかも初バイク納車翌日の人間がほいほいと要領よく渋滞をクリアできるはずもなく、ガッツリと巻き込まれて盛大に時間をロスしました。

以後、千葉方面に出る際には決して下道は使わず京葉道路で抜けることを固く誓ったのでした。


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1時間以上遅れてスタートし、私的な寄り道や渋滞でさらに割をくっているはずなのに、この稲毛陸橋で自転車走行時の自分に追いつくあたりがさすがバイク。
というか、疲労度がぜんぜん違う。

自転車なら苦行だった景色変化の乏しい道も、バイクならハイテンションかつハイスピード(法定速度内)で走り抜けられるボーナスタイムへと変身。
脳みそから変な汁があふれ出てきゃいきゃい喜びの叫びをあげながらスロットルを捻りました。

 




千葉市に入ってからは国道14号も車線数が増え、一方で信号は減少。調子こいてかっ飛ばしていたら、あれだけ心折られた千葉市原エリアもあっけなく走破。

 




東京湾フェリーの出航時刻や日没との戦いにもそこそこ目処が立ち、ここでさらなる寄り道を。


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富津岬です。
自転車の時にも「余裕あったら寄っちゃおうかなー(るんるん)」とほざいていたあの岬です。
素直にフェリー乗り場を目指すルートに比べ、どう足掻いても20km程度の遠回りになります。
距離こそあるものの、国道127号から岬までの道はかなり快適に走ることができ、原動機付きの乗り物ならどうということはない。とことんバイクを薦めていく所存である。


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展望台の頂上から。
富津岬は3方向がきっかり海なので見ていてスパッと気持ち良いのである。

 




ところで、展望台からよく目をこらしてみると……


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あそこに見えるの僕のバイクなんですよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
wwwwwwwwww(^ω^ ≡ ^ω^)


……まあぶっちゃけ、肝心の景色は曇りでよく見えませんでした。
いいもん、前に車で来たことあるもん。


富津岬から走ること30分ちょっと。
見覚えのある曲がりくねった道を走っていると、視界の右手が突然開けました。
自転車の時、重たかったペダルが一気に軽くなったあの光景でした。


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ただちょっと見通しがよくて海が見えるようになるただそれだけの道。とはいえ、自転車で通ったことのある道というのはいたる景色のこまごまとした部分にもいちいち記憶があって、ひとつひとつに感慨があるものでして。

バイクのメリットやら魅力というのは言うまでもなく沢山ありますが、アスファルトの段差にさえ懐かしさを覚えられるようになるのは自転車ならではだなということにも気付かされました。……ただ、体力的にまたそれが可能かといえばそんなことはないのですが。

 




自転車では体力と精神力の戦いを5時間繰り広げた稲城~浜金谷フェリー港ですが、バイクでは富津岬に立ち寄りつつも3時間で攻略。
あっけない。あまりにもあっけない。


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そして駆け込みで乗船。
いくらここまでの移動が早いからって1時間ここで待ちたくはないのだよ。
にしても、フェリー料金ってバイクと自転車じゃせいぜい600円しか変わらないんだなあ。

 




今回のフェリーの中では、ずっとぼんやり外を眺めていました。
2年前は「えっ漕いでないのに進めるよ。やったあ寝とこう」だったのに。


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前回同様のカレーパンもしっかりおさえておきます。

ちなみに、料金こそ自転車1020円→バイク1680円ですが、


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甲板での固定のされ方には大差ありません。

ちなみに東京湾フェリーは、乗船時は2輪(自転車含む)→4輪の順ですが、下船時はその逆になります。

フェリーを降りたらすぐさまバイクを降り、やることといえば写真撮影。
乗り場の職員に見られていたけれど気にしない。


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バイクはその身軽さが売りなわけですが、納車翌日のヘタレは乗り降りが車よりも時間かかります。
いっぺん降りて写真撮ったろかーと思ってもなかなかにもたつきます。

この、乗り降りの瞬間というのが最も身体が不安定な状態にあるわけで、この日はありませんでしたが立ちゴケもだいたいこの時にやらかしています。

ということで、立ちゴケをぶちかましたあの日(いつか別の機会にお話しするかもしれません)以来、乗り降りは基本サイドスタンドを立てた状態で行うようにしています。
特に、荷物を後ろに積んでいて足を引っ掛ける恐れがあるときは。股関節固くて足上がりきらないんだもの。



さて、久里浜に降り立った後はひたすら市街地を走るのみです。

自転車では心の支えになる人の気配・街の灯りですが、要するに信号が増えるのでバイクとしてはどちらかというとフラストレーションの元に。


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とはいえ、綺麗な景色は何に乗っていたって綺麗に見える。

ただし、自転車→バイクと取り回しが重たくなれば、その分景色を写真に収めるチャンスも少ない。
↑の写真は、信号待ちの間にぐりんと振り返って苦し紛れに撮影しました……。
「止まって撮る余裕ねええええええ」のまま山下公園の脇を抜け諸々通り過ぎてしまっていました。


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夜の国道一号線。夜間走行怖い怖いよ怖いってば。

――そして降り出す雨。

納車されたてのピカピカタイヤでウェットどころかびしゃびしゃの路面を走った日にはもう。
とまあそんなコンディションで都内に突入。
外苑東通りに入らんと右折したら、そこにはマンホールが。

キュッ!とスリップしてアウトコースに瞬間移動する後輪の恐怖を味わいました。教官の言っていた「雨の日のマンホールは踏むな」は本当でした。
いや、疑っていたわけではないんですよ。気付いた時には前輪差し掛かっていてどうしようもなかったんですよ。
以来、右左折時のマンホール確認は怠っていません。


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ということで、営業時間を過ぎた母校の前で再度記念撮影。

 




8時台に家を出たので、なんだかんだで所要時間は12時間にのぼる。

あれっじゃあ17時間で一周できた自転車って案外優秀じゃんと思ってしまいますが……。
しかし今回は翌日も平然と会社に出勤できたので、心身の負担の違いは火を見るより明らかなところです。
湿布を体じゅうに8枚ぺたぺた貼って翌日昼過ぎまで爆睡したあの日が懐かしい。


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帰宅時のメーターは283km。
出発時が39だったので、差し引き244kmが1日の走行距離でした。



というわけで、バイクでの初の長距離移動でした。
違う乗り物でほぼ同じルートを通っただけに、それぞれの利点や欠点を身にしみて感じた次第。スピードが変われば移動の仕方や行った先で見るものも変わってくるんですな。

自転車だとどうしても、ルートに無駄の無いようここを通ってこう行ってと「線」での移動を考えるのですが。
バイクだとその移動に割く労力が減るので、目的地を「点」で考えるんだなーと。今回に限らず、乗る→降りて観光なり飯なり→乗るという繰り返しになるので、メリハリはあると言えるかもしれません。

ただやはり、スピードが遅いなりの経験といいますか、「この坂に苦しんだ」とかいうどうでもいいスポットへのやたら鮮明な記憶というのも魅力的だなと思いました自転車。
……だからってもう自転車で200km走る気なんて起こりませんがっ。


旅行期間 2015.8.30
旅行記完成 2015.11.30