出かけた時から帰り道

バイクや車やフェリーや列車や飛行機や自転車による全国(時々海外)の旅行記群、分割日本一周の記録です。VTR-F乗り。(子育てのため長期旅行お休み中)

九州一周の旅【5】天草・知覧・鹿児島

 

 

 

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4日目の朝です。

 

今日も今日とて九州を南下します。

チェックアウトを済ませ、荷物をバイクに固定し、いざ行かん。

 

……おっと、逆方向だった。

 

すぐに気づいてUターンをしようとしたら――がしゃーん。

 

 

道のど真ん中でバイクを横転させ、わずかながら往来をストップさせましたごめんなさいごめんなさいごめんなさい

また右ミラーに傷を増やしてしまった……。

 

 

 

 

 

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さて、嫌なことは忘れて現在地を確認。

 

2日目:新門司から上陸し福岡佐賀を経て佐世保泊(緑線)

3日目:長崎観光からフェリーで熊本上陸、天草泊(青線)

4日目:天草から鹿児島県へ。薩摩半島を南下。

 

 

昨日はゴリゴリの観光デーでしたが、以降はどちらかというと走りメインな旅へと変わっていきます。

 

そりゃそうだ、正味5日で一周するのに、中日を終える頃にちょうど半分に到達するペースなのだから。

 

 

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走りメインだからね、被写体も少なくなりがちですからね、こういうありがちなバイクの写真を載せるのもご容赦いただきたいところなんですよね。

 

基本的には東シナ海沿いを走りながら南へ向かいます。

 

東シナ海と言葉にしてみれば、ものすごい遠くまで来た感。

高校の修学旅行で沖縄に行った以来ですよ東シナ海なんて。

 

 

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天草の下島の北西部分、苓北町という場所に突き出た半島を発見。

行ってみよう。

 

ツーリングマップルは「特別な施設はないが透明度の高い海がいい」という不穏なコメントを載せているが、とりあえず行ってみよう。

 

 

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特別な施設はないらしい、四季咲岬に来てみた。

 

不穏なコメントなのに来てみたのは、この岬の名前がかっちょいいからというのもある。

しかし、一応設けられた駐車場に車の停まった形跡がろくにないあたり、やはり不穏。

 

 

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行く先の雰囲気は好きだけれど、この先に絶景が広がっている予感はない。

 

……と、ここまでさんざん期待させましたが。

 

道中にでっかい蜂がぶわんぶわんと我が物顔で何匹も飛び回っていて、景色もあまり期待できなかったことからも途中で引き返してしまいました。

 

 

岬からの景色を拝まなかった代わりといってはなんですが、富岡城に寄ってみることに。

 

 

山をぐいぐいと登った上にある城跡ですが、櫓は復元されています。

 

 

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といってもまあ、一般的に想像する城よりはだいぶ背が低い。

 

ですがなかなかに景色もよくきれいな場所でした。

 

 

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石垣や櫓の復元が済んだのは平成17年のことらしい。だいぶ最近である。

 

近辺の案内があまりにも地味なので、もう少し押し出してもいいのではないだろうか富岡城

 

 

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城の一部は資料館やビジターセンターになっています。

 

ビジターセンターの開館前(9時から)だったので入り口手前で引き返したところを、中から「入っていいよ」と声を掛けて貰えました。

 

 

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さて、また走りまくるぜ。

 

 

砂州で繋がった島の部分を抜け出し、再び国道を走っているとヤマト運輸の営業所を発見。

 

長崎で買った土産と、着終えた衣類……つまり今後の旅で持ち運び不要なものだけを詰めたバッグを解き、自宅に発送しました。

 

 

下島の南西部分から、国道を逸れて海沿いの狭い道へ。

 

 

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4輪だったら絶対に通りたくないような道幅とアップダウンの激しい道をくねくね。

 

 

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途中で内陸寄りに折れると、斜面沿いの集落に出ます。

 

 

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そして現れる白亜の聖堂。

 

あまりにも突然で、いかにもな日本の田舎風景からいきなりこの光景の中に飛び込んだ時は、半ば本気で現実を疑いました。

見た瞬間、ただ素直に「ああすごいな」という感想を覚えました。

 

 

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これが「大江天主堂」。

 

長崎の教会群のうち、本土から陸続きで行ける場所でおそらく最もアクセスが悪く、かつ最もお勧めしたい天主堂です。

 

 

グラバー邸が僕の期待通りでなかった半面、大江天主堂をはじめとした教会群はなんだかとても印象的でした。

もちろん中は撮影禁止なので写真はありませんが、やはり今まで見てきた教会とは違う柔らかな色調が落ち着きます。

 

 

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そこからの景色もまたのどかである。

 

 

大江天主堂を出たらまた国道沿いへ復帰。

旧道のぐねぐね具合をスマホのナビ上で見つつ、ゴンゴンとぶち抜かれた新しいトンネルでさらに南へ。

 

 

次の目的地は大江から約3㎞、「崎津教会」です。

潜伏キリシタンの里として、教会単体というよりは「崎津集落」として付近では紹介されていることが多いです。

 

 

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なお、教会のすぐそばに駐車場が無いため、国道を挟んで反対側の崎津集落ガイダンスセンターの駐車場に停めるよう指示されました。

 

 

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ちょっとした商店街……になりきれていない商店の並びを抜けた先にあるのがこの崎津教会。

 

教会の前で明らかに地元有志なおば……お姉さんがリーフレットを手渡してくれました。

 

 

例によって中は撮影禁止のため写真は無し。

教会群で撮影OKなところは基本見当たりません。

ここの教会は床に畳が敷いてあって、ますます独特な雰囲気でした。

 

 

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ガイダンスセンターに戻る道中。

 

 

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にいた猫。

 

 

ちなみに、バイクを降りてヘルメットを脱いだ時のもさもさ髪を隠す用帽子をここで紛失していることに気付きました。

 

が、どこの段階でロストしたか心当たりが全くなかったので、やや落ち込みながらも先を急ぎます。

 

 

天草(熊本)の南側から長島(鹿児島県)には橋がかかっておらず、フェリーが唯一の移動手段。

 

 

牛深~蔵之元を結ぶ三和商船フェリーに乗り込みます。

 

 

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僕のは手前から3台目ですが、他のバイクたちがそうそうたるデカさで肩身が狭い。

 

 

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乗船までは時間があったので、乗り場に併設された道の駅もどきの中をふらふらすることに。

 

 

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ピロティー部分にはどかんといけすが。

 

ここで泳いでいる魚を2階のレストランで食べられるらしい。

このいけすから速攻でさばいてお口へゴールインスタイルは、九州では本当に一般的なようだ。

 

 

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まあ僕はこの「こまきちゃん」と名付けられた赤まきしか食べなかったのですが。

 

とりあえず甘い。

スポンジに餡を塗ってロールして、一番外側の赤というかピンクは求肥らしい。

 

一口食べて「シベリア(カステラで餡をはさんだ菓子)と一緒じゃね?」と思ったけれど、構成要素的にあながち間違いではない。

 

 

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牛深ハイヤ節」とやらの碑が。

 

ハイヤ節は船乗りが日本各地に広めた民謡(らしい)です。

 

 

その中でも元祖がここ天草の牛深なんだとか。

……まあ正直そもそもどこのハイヤも知らないのですが……。

 

 

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正午に出港。

海をまたいでいる橋もどうやら有名らしい。

 

 

今回の旅では長短合わせて3本目のフェリーとなりますが、極端なわくわくや焦りも特になく、落ち着いた気分で乗船できたのはこれが初めてかもしれない。

 

 

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デッキのベンチに腰掛けながら、船旅っていいよなあ……と流れてゆく島々を眺めつつ、しみじみしていました。

 

 

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この乗下船の流れにもようやく慣れ始めてきた。

基本、バイクは車よりも先に乗り、あとから降ります。

 

 

フェリーを降りて長島上陸を果たせば、そこは鹿児島県

 

さらに南下して九州本土を目指します。

 

九州本土からは国道3号に合流。

 

 

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九州を南北に貫く国道3号

その始点である門司から332km。

思えば遠くへ来たもんだ。

 

 

3号の下道をずっと走っても次の場所には向かえるのですが、時間が惜しいので市来から高速で鹿児島市へ。

 

そこからさらに南下すると現れるのが、「指宿スカイライン」です。

九州でも名道と名高いこの道を走らない理由はなかった。

 

 

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指宿スカイラインを走り始めて間もなく。

圧倒的存在感の桜島

 

 

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振り返ってみると、この後帰宅までほとんどバイクを写真に収めていないので今のうちに放出。

 

 

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指宿スカイラインは、ずっと桜島ビューな良い景色が続く! というよりは、走行中は気持ちのいいカーブを楽しみ、駐車場の展望スポットで景色を見るといった具合。

 

カーブはそれほどきつくなく、ゆったりと楽しんで走れます。

が、やったら飛ばす4輪がちょくちょく走っているので注意が必要。

 

 

指宿スカイラインは途中で下りて、向かった先は知覧

ここで絶対に寄りたい場所があったので、高速を使って多少急ぎながらやって来ました。

 

 

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知覧特攻平和会館です。

 

ここも、九州行きを決定してすぐ旅程に組み込んだ場所でした。

 

陸軍の特攻出撃者のうち、4割がここ知覧から発ったそうです。

詳しい話はここでは割愛しますが、館内には戦死者の遺書・遺品・遺影が展示されています。

 

一通り見て回った後は、なんだか精神的にとてもぐったりしました。

十中八九生きて帰らない前提で出撃しているだけに、遺影や遺書の内容も相応の用意や書かれ方をしていて、それがなんともずっしりと来る。

 

もちろん書き残された通りのことだけではなかったと思いますが、それでも自分らがここで身を張らないと故郷や家族がーといったことも考えたでしょうし、だからといってはいそうですねと乗り込める人とそうでない人がいただろうしーとぐるぐる考えていたらとても疲れました。

この後バイク運転できるのか自分と思ったくらいには疲れました。

 

 

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さて、知覧は武家屋敷通りも有名ですが時間が押しているので今回はスルーします。

 

 

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開聞岳の綺麗な円錐っぷりに目を見張りつつ、さらに南下。

 

そうそう、知覧は茶も有名だそうで、実際に茶畑がいたるところにありました。

 

 

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東側の人間にとって馴染みは薄いかもしれませんが、鹿児島は茶の生産が静岡に次ぎ全国2位の県。

 

静岡出身の祖母の言葉を借りれば、「茶葉は一つの産地だけでは美味しくない」。

複数の産地の葉を混ぜることでより美味しくなるのだとか。

ということで、静岡と鹿児島の葉をブレンドすることは決して珍しくないようです。

 

 

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茶畑をかきわけかきわけやって来たのは、何を隠そう指宿温泉

 

そう、さしゆび温泉ですね。嘘です。

 

 

九州といえば全県温泉まみれな印象ですし、事実どこもひとつは目玉な温泉地を確保しているエリア。

その数は回ろうと思えばキリがありませんが、今回は最低ひとつだけ堪能することを心に決めていました。

 

それが指宿の砂蒸し風呂である。

 

 

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4倍かよ……マジかよすげえな……4倍ならどうして全国的にならねえんだよ……。

 

 

砂蒸し会館の受付で料金を払うと、2枚のタオルと浴衣を渡される。

 

脱衣所で服を脱ぎ、パンツも脱ぎ、浴衣だけを身にまとい、入り口の反対側にある砂浜へ。

 

砂浜に設置されたテントまでサンダルをぺたぺた鳴らしつつ歩く。

シャベルを持った人たちが沢山待ってくれています。

 

あとはされるがまま砂浜に案内され、仰向けに寝転がり、顔面以外のすべてを砂で埋められる。

 

砂といいますが、その粒はわりと大きく、「何かと聞かれればたしかに砂だけど砂利っぽくもある砂」です。身体の上にかぶせられると、そこそこ重たい。

 

めちゃくちゃ熱かったという噂も聞きましたが、わりとぬるめでほかほかと10分ちょっとの間埋まることができました。

ちなみに、砂蒸し風呂は10分程度が目安だそうです。

 

 

しっかり蒸されしっとりした浴衣で建物へ戻り、普通の風呂で身体を洗い湯に浸かっておしまい。

 

建物の外の行き来や砂蒸しスペースは男女共用です。

男女問わず下着ゼロで全裸に浴衣のみなんだと思うと、色々考えるところはありましたがここでは言わないでおきますね……?

 

 

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日本一周中のバイクが停まってた。

 

 

ところで、この砂蒸し会館から、鹿児島が地元の友人と合流していました。

その彼もバイク乗り。関東で一緒にツーリングをしたこともあります。

 

砂風呂後は、タオルをバイクの後方にくくりつけ、乾かしながら鹿児島市内まで移動。

 

この晩は友人の実家に泊めさせてもらいました。

 

 

鶏肉を生で食べる鳥刺しをごちそうになったり、芋焼酎をお湯割りでいただいたり。

 

一人旅なのですが、九州に来てからもなんだかんだで色々と人にあったりお世話になったりであまり孤独感が無い旅です。