「伊豆諸島って聞いたことはあるけれど、何を使って行けるのか、どんなことが出来るのか、どう計画すればいいのか分からない」
という初心者の方に向けて、伊豆諸島旅の導入をお手伝いすべく「楽しみ方」「行き方」「おすすめ」「予約方法」「持ち物」などをまとめた基本情報ページを作成しました。
当記事が皆さんの素敵な島旅の一助になれば幸いです。
※「こういった事が知りたい」という内容があれば是非ご意見をください(あくまで分かりやすい基本情報のまとめにしたいので、どこまで記載するかは別途検討となることをご了承ください)。
※これから島旅を始めたいという方向けに分かりやすく解説する意図に基づき、主観でお伝えしていたり端折った部分があったりします。あくまで導入のための一意見としてご覧いただき、実際に計画を立てる際には各公式Webサイト等を都度ご確認ください。情報に誤りが認められた場合には適宜修正に努めますが、当記事のご利用によるトラブル等の責任は負いかねます。
※お恥ずかしながら御蔵島は未踏です。
1. 伊豆諸島とは?
関東地方の南方、太平洋上に連なる島々です。伊豆半島は静岡県ですが、伊豆諸島は東京都に属します。天気予報などで23区や多摩地区など、本州上の東京都が「東京地方」と呼ばれるのは、伊豆諸島のような島嶼部が存在するからです。
島の数は100あまりですが、民間の定住者がいる島は9島。定期便があり、民間人が一般的に旅行できる場所もこの9島です。
伊豆諸島(9島)・小笠原諸島(父島・母島)を合わせて「東京諸島」と呼ぶことがありますが、伊豆諸島と小笠原諸島ではアクセスやスケジュール面の事情が根本的に異なるため、本記事では伊豆諸島のみを扱います。
↓小笠原諸島については以下をご参照ください。
2. 伊豆諸島の魅力を端的に言うと?
・関東圏からすぐ行ける。週末だけでも行ける。
・非日常的な景色を楽しめる。「こんな場所が東京都」が合言葉。
・夜行便の船旅は楽しい。昼間の船旅も楽しい。
・島の方は観光客に慣れていて気後れしない。
・本土に住む人々とは異なる生活事情が垣間見える。
・一人旅、グループ旅、カップル、夫婦、子供連れなど客層が幅広く、どんな人でも浮かない。
3. 島旅の初心者におすすめの島は?
どの島も観光客慣れしているので、初めてだろうと温かく受け入れて貰えます。気になった島があるなら細かいことは気にしなくても大丈夫です。
行きやすい(≒
思いつきで計画や手配がしやすく就航率も安定している)
という意味では、大島、新島、
式根島、
神津島、三宅島、
八丈島あたりが無難です。
ただ、離島という環境上、島によって程度は違えど天候や海況が旅程に影響する可能性があることは常に理解しておきましょう。
4.金曜夜発、普通の土日だけでも遊んで帰れる週末プラン
普通の週末でも、金曜夜発の船に乗ってしまえば1島を一通り観光して回ることができます。個人的に一番多用しているスケジュールですが、
青ヶ島だけは本土直行便が無くこれを使えないのでご注意ください。
【金曜】
【土曜】
朝、島に到着。宿の送迎で港から宿へ。
(レンタカーを予約している場合、まずはレンタカー屋の送迎で店舗へ向かいレンタカーを入手するのもアリ)
⇒必要に応じて宿へチェックインし荷物を置く。
(島によっては早朝着なので、希望すれば宿で朝食を用意してくれることも)
⇒遊び倒して夕方宿へ戻る。夕食。
【日曜】
宿チェックアウト。船の時間まで遊ぶ。
⇒夜、竹芝着。
(上)金曜夜、竹芝客船ターミナルを発った船はレインボーブリッジをくぐる。
5.伊豆諸島ステータスランキング
どの島へ行こうか迷った時の参考になるよう、各項目ごとにランキングを作成しました。
※順番に並べた時に、主観的に明らかな差を体感した部分にはボーダーを表示しています。それぞれの良さがあるので島選びの基準にご活用ください。
※「漠然と島に行ってみたい」と思う方向けの参考なので、行きたい島があるならこれらのデータなんて気にせず目指すべきだと思います。ただ、交通事情はじめそこがどんな島なのかは理解しておきましょう。
(1)本土からの距離順
2.利島 134km
3.新島 151km
----(伊豆諸島北部/南部の境界)----
6.三宅島 179km
----(本土直行便の壁)----
父島 984km
母島 1,033km
※距離は都庁(新宿)起点
並べてみたものの、本土(本州)からの直線距離は行きやすさ&観光しやすさと必ずしもリンクしません。 ただ、この順番を覚えておくと船旅の景色がより楽しくなったり計画しやすかったりとメリットが多いです。
天気予報などでも使われる
「伊豆諸島北部」「伊豆諸島南部」の境界は、神津島と三宅島の間にあります。
東海汽船の
大型客船もここを境に別航路となっています。
青ヶ島は本土からの直行便が無くアクセスも比較的難しいですが、
これは直線距離のみならず島自体の人口や地形も関係しています。
(2)面積順
3.三宅島 55.44㎢
4.新島 23.17㎢
8.利島 4.12㎢
父島 23.45㎢
母島 19.88㎢
面積はなんとなく人口順に近い傾向を示しますが、
必ずしもインフラや就航率とはリンクしていません。ただ、
伊豆大島と
八丈島は面積相応に他の島よりも図抜けて観光スポット
が多い印象です。
三宅島は中央部が立ち入り禁止区域となっていることもあり、
観光に要する時間的には新島や
神津島に近い気がします。
(3)人口順
----(人口3000の壁)----
----(人口400の壁)----
----(人口200の壁)----
父島 2,126人
母島 468人
人口が多ければインフラの充実度が変わります。
スーパーや商店、観光施設、レンタカー等の軒数や規模は、おおむね人口の大小に左右されます(※コンビニはどの島にもありません)。
人口が多いほど生活環境は本土に近く、人口が少なければより非日常感が味わえると共に、それを不便さとして感じる可能性もあります。島旅に不安があるという方は、まずは人口が多めの島から訪れてみると本土とのギャップが少なく楽かもしれません。とはいえさすが東京都、正直なところ人口のわりに各種施設はしっかりしています。
(4)到達難度順
----(余程でなければ大丈夫の壁)----
4.新島
6.三宅島
----(低就航率の壁)----
7.利島
就航率(船や飛行機が島に着ける確率)や交通手段確保の難しさを意識しましたが、データというよりは完全に個人主観のランキングです。導入向けということでとりあえず形にしたものの、この記事の中で最も信頼性が低い項目のでご注意を。
1位の
伊豆大島は数字の上でも断トツの就航率の高さ。2~
6位には大きな差はありません。
7位以下はいずれも船の就航率が低いことで有名な島です。
程度の差はあれど、気象条件により船や飛行機が欠航・引き返しとなる可能性はどの島にもありますのでご注意ください。
6. 観光目的別島リスト
(1)きれいな景色、絶景を見たい
⇒どの島にも何かしらあります
ここで列挙するにはあまりに多いし魅力を感じる点はそれぞれなので、各島のWebサイトや
SNSで調べて、
生で見たい景色を探してみてください。
(2)火山を身近に感じたい
伊豆諸島はどれも火山島です。その中でも、いかにも火山らしいスケールの大きな地形のど真ん中を歩けるような島をチョイスしてみました。
(上)裏砂漠第2展望台
(3)綺麗な砂浜で遊びたい
天然の白い砂浜がある島はこの3島です。いずれも海水浴場が整備されています。利島にも白い砂浜の海水浴場がありますが、これは利島由来ではなく新島から砂を持って来ているようです。ちなみにいずれの砂もサンゴではなく、ガラス質の透明な粒です。
(上)村役場裏から前浜を望む
(4)イルカを見たい
御蔵島は近年イルカの生息域として
知名度が上がっています。
しかし
御蔵島自体の就航率の低さや宿泊施設の少なさから、
隣の三宅島からもドルフィンスイムの船が出ているようです。
御蔵島にいたイルカは利島周辺でも見られるようになり、
こちらでもドルフィンスイムの船が出ています。
(5)椿を見たい
伊豆大島には椿まつりの会場となる大きな公園があります。
利島は島自体が小さいながらも島の面積の8割が椿と言われ、
椿油の生産も全国一です。
(上)椿花ガーデンにて
(6)温泉(露天風呂)を楽しみたい
温泉というワードだけでは伊豆諸島の島を絞りきることはほぼ不可
能です。利島、
御蔵島、
青ヶ島には公営の露天温泉がありません。
青ヶ島には地中から吹き出す蒸気を利用したサウナならあります。
(上)松が下雅湯
7. 計画の進め方
どこへ行くかを決めたら、いよいよ旅の手配です。
まずは日程を確定させましょう。 一部の島ではダイヤ上、日帰り観光が可能(特に
伊豆大島や
八丈島はわりと現実的)ではありますが、
島全体をひととおり見て回るなら現地泊を含んだ行程をお勧めします。
(1)手配必須の3要素
①島への往復手段(船、飛行機)
②宿
③島内の移動(レンタカー・バイク・サイクル、観光ツアー等)
パッケージツアーを利用せず自分たちで一から計画を組む場合は、上記3要素を抑えましょう。あえて序列をつけるなら優先度は①=②>③です。
①と②はイベントや混雑期に被ると真っ先に手配が難しくなるので注意が必要です。どちらが先に埋まりやすいかは島の観光キャパによって異なりますが、同じくらいの優先度で考えておくのがベターです。あくまで体感ですが、オフシーズンの週末なら遅くても1ヶ月前には①と②の手配を済ませておきたいところ。オンシーズンなら言わずもがな予約開始時~2ヶ月前を狙うべきです。
②と③
については各島の
観光協会Webサイトが最も詳しいですが、
情報が古かったり間違っていたりすることがあるので、
不安があれば予約時などに電話で確認しましょう。
(例えば、
観光協会のWebではレンタルバイクを受け付けていると書いてあ
るのに実際は取扱いが無かったことがありました)
(2)おすすめの時期、混雑する時期
年間を通してどの時期に行っても楽しむ要素はありますが、
基本的に
海と
山を楽しむパターンが多いので、やはり夏が人気です。
5~8月は海況が良く船の就航率も高いので、
ベストシーズンと言えるでしょう。当然ですが、
ゴールデンウィークや夏休み、その他春~秋の連休には船が満席になるほど混雑します。
逆に
それ以外の時期は観光客が少なく、
船でも島でものびのびできるのでそれはそれでメリットでしょう。
海に囲まれた島は、真冬でも本土ほど寒くなりません。ただし、
冬季(1~2月)は
黒潮の流れが激しく、船が揺れる&
就航率が比較的低いシーズンでもあります。
(3)島への交通手段
たいていは船か飛行機の2択ですが、諸島全般として旅客数的には船がメインと言えるでしょう(例外な路線もあるので要注意)。
a. 大型客船 (東海汽船 さるびあ丸)
【下り便】夜22:00~23:00頃、東京(竹芝客船ターミナル)出発
【上り便】AM中に下り便が折り返し。
伊豆諸島の北半分をカバーする航路です。週末の便は横浜にも寄港します。現在は主にさるびあ丸が担当。
予約は2か月前から開始。ネット予約可能。250㏄以下のバイクであれば貨物扱いで輸送可能。
(上)さるびあ丸(2代目)
b. 大型客船 (東海汽船 橘丸)
【下り便】夜23:00頃、東京(竹芝客船ターミナル)を出発
【上り便】下り便が朝折り返し。
伊豆諸島の南半分をカバーする航路です。主に橘丸が担当していますが、ドック(メンテナンス)期間等にはさるびあ丸が就航することもあります。
予約は2ヶ月前から開始。ネット予約可能。250㏄以下のバイクであれば貨物扱いで輸送可能。
(上)八丈島の登龍峠展望台から見た、底土港に入港する橘丸
c. ジェット船 (東海汽船)
ジェット船は大型客船よりも圧倒的に短い時間でのアクセスを可能にしますが、海況の悪化に弱く交通の確実性にはあまり寄与しないのが実態です。
予約は2ヶ月前から開始。ネット予約可能。
(上)ジェット船「セブンアイランド愛」「セブンアイランド大漁」
d. カーフェリー (神新汽船)
東海汽船の下りが夜行便であるのに対し、こちらは下田を朝出発。カーフェリーなので、
バイク含む自家用車の乗り入れが可能です。自動車を乗船させる場合のみ予約可能。
e. 飛行機(新中央航空 調布発着)
調布飛行場発着で
伊豆大島、新島、
神津島、
三宅島の各島を往復する直行便があります。
1便の定員は20名程度。
調布飛行場自体がアクセス的に正直微妙な立地ではありますが、
本土との間を最も早く行き来できる事は間違いありません。
1ヶ月前から予約開始。ネット予約も可能ですが、電話予約の方が先に受付を開始するようです。
(上)Dornier 228-212 NG、神津島空港にて
f. 飛行機(ANA 羽田発着)
八丈島だけは飛行機が羽田便です。1日で往復各3便。この結果、
諸島で2番目に遠い島ながらもアクセスに恵まれています。
ごく普通の
ANA国内便なので、当然ネット予約も可能。
(上)八丈島空港にて
八丈島と
青ヶ島を結ぶ船です。
時期によっては3割程度まで就航率が落ちますが、
青ヶ島にとっては唯一の貨物ルートです。
あまりの就航率の低さに、
後述のヘリコプターの方の予約を取っていないと民宿も予約を受け
てくれないという話さえあります。
予約不可ですが、満席になることがまずあり得ません。
(上)あおがしま丸、八丈島底土港にて
八丈島、
青ヶ島、
御蔵島、大島、利島を朝~
夕にかけて点々と移動し結んでいくヘリコプターです。
船の就航率が低い島向けの救済措置的な要素が強く、
八丈島~
青ヶ島航路は
青ヶ島へ行くための最も確実性の高い手段です。
ただし定員はたったの9名。
1ヶ月前から予約開始。ネット予約も可能ですが、電話予約の方が半日だけ先に受付を開始します。
(4)島内での交通手段
散策レベルの徒歩で島全体をカバーできるのは、出来ても一番小さな利島くらいと思われます(それでも半日は掛かる)。到着時と帰宅時の港~宿の間は宿の方に送って貰えることが多いですが、到着後の観光の足は別途確保することになります。
乗り物のレンタルについてはたいてい各島の
自治体または
観光協会がお店を案内しているので、
各公式サイトを確認するのが確実です。
a. レンタサイクル
たいていの島には電動自転車のレンタルもあるようです。ただし、火山島である伊豆諸島はどの島もアップダウンが激しいので電動自転車でもそれなりにキツいです(全島、島民の方の移動手段は大半が軽自動車です)。島の隅から隅まで回って観光したいのなら、エンジンの付いた乗り物が必要です。
なお、村落内の坂が急すぎる一部の島(利島など)
にはレンタサイクルが存在しません。
b. レンタルバイク
バイクといってもたいてい原付です。利島・
御蔵島・
青ヶ島以外にはだいたいあります。
原付のスピード感が島のサイズ感にちょうど良く、個人的にはかなりおすすめな移動手段ですが、当然ながら自転車同様天候不良には弱く、安全面もネックになりがち。原付未経験者が借りて事故るケースが多発し警察から指導が入っているようで、運転経験が無い人には貸さない店が多いです。
ヘルメットは借りられますが、正直気休め程度の簡単なものばかり。僕はしばしば自分のバイクで使っているヘルメットとグローブを持参します。普段乗らないし用具も持っていないという方でも、軍手や手袋を持参・使用することを強く推奨します。
(上)三宅島のレンタルバイク、伊豆岬付近
c. レンタカー
移動能力と安全性と居住性でまず間違いない手段。
島の方もほとんどが車移動で、
その中でも軽自動車が重宝されています。
島の交通量は意外と多く、
思わぬ落葉落枝落石もあるのでお気をつけて。
d. バス
伊豆大島、
八丈島、
三宅島などには町村営の路線バスがありますが、
当然ながら本数に乏しいです。
自分のペースで観光したい場合には不向きと思われます。
(上)三宅島の村営バス、錆ヶ浜港入口バス停付近
e. タクシー
伊豆大島、新島、
神津島、三宅島、
八丈島にはあるようです。
島内を周遊するような観光で利用するケースは正直あまり聞きませ
ん。
(上)八丈島のタクシー
(5)宿泊
行先の島やシーズン次第では飛び込みで来島して現地で宿を探すことも十分可能ですが、慣れて事情が読めるようになるまではやめておいた方が無難です。
特に、御蔵島と青ヶ島については(時期を問わず)宿泊先が決まっていないと上陸自体ができないと考えましょう。
a. ホテル
伊豆大島、
八丈島など比較的人口の多い島にあります。
ホテルといっても本土のようなシティホテル、
リゾートホテルではなく、実態が民宿寄りな所も多いです。ネットで予約できるところもありますが、電話予約が基本の場所もあります。
b. 民宿
いずれの島でも最もキャパがあるのが民宿。伊豆諸島での宿泊先はこれがメインになるかと思います。基本的にはタオル類と寝間着、歯ブラシ等のアメニティは持参の必要ありと思っておくと良いですが、条件は宿によって異なります。不安な場合は予約時に確認を。1泊2食付きで7~9000円程度。
布団は自分で押し入れから出して敷く(敷いてくれる宿も稀にある)など、サービスにおいてホテル並みとは当然いきませんが、「食事の質と量が凄い」「観光スポットを教えてもらえる」など、民宿ならではのメリットやコミュニケーションも沢山あります。
ホテルと比べてどちらが良い悪いという話ではありませんが、設備面とサービス面である程度折り合いを付けられるなら、
コスパ的にも、また島旅特有の思い出としても民宿は良い選択肢だと思います。
観光協会のWebを見ても個々の宿の実態は正直分かりにくいので、「ハズレを引いたら嫌だな」と不安に思う気持ちもとても良く分かります。しかし、10回以上も島旅を繰り返しても、結果的にそういった気持ちになる宿はありませんでした。初来島だったとしても、分からないことがあれば宿の方に訊けばきっと丁寧に教えてくれるでしょう。
また、各島では公共事業(道路・法面・護岸・港湾の工事)が産業として成立していることが多く、その工事に従事する方々などは工期中これらの民宿に長期滞在しています。
c. 民宿の予約
ほとんどの民宿はネット予約は無く、
電話予約のみでの受付です。
各島の
観光協会や
自治体のWebサイトで目星をつけて、
宿へ連絡してみましょう。
何軒か当たっても空いている宿が無い……という時は、
観光協会に電話をすると宿を探してくれることがあります(
宿の予約をせず飛び込みで来島した時も同様)。
d. キャンプ
島によってはキャンプ場があります。申請が必要な所では届け出を忘れずに。また、伊豆諸島の各島は定められた場所以外でのキャンプは原則禁止です。
(7)伊豆諸島のおすすめ観光ガイドブック
a. 各島の自治体や観光協会のウェブサイトや発行物
観光ガイドや地図は、
観光協会や町村が公開しているものが最も詳細かつ信頼性が高いで
す。だいたいの発行物はWebサイトにもアップされていますが、
島内は圏外のエリアも多いので原紙を現地調達するか、印刷・
保存のうえ持ち込むことを推奨します。
(上)青ヶ島村落のマップ。裏面は島全体の地図
b.伊豆諸島ロケーションガイド(東海汽船が配布、無料)
諸島の大動脈である
東海汽船の発行物で、
伊豆諸島を全網羅するものとして
非常に優秀……なのですが、
Web公開されていないのが残念。
東海汽船の就航している各港や船内で配布しています。乗船手続き時などに確保しておきましょう。
※
るるぶや
まっぷるなど、
大手の観光ガイドは必ずしも毎年出ている訳ではないのと、(
導入としては掴み易いですが)
観光情報としては十分とは言えない印象です。
(上)伊豆諸島ロケーションガイド、横浜大さん橋にて
8. 気温・おすすめの服装
年間を通じて
関東と同じくらいの着込み方で問題ありません。
気温は心持ち温かい(
極端に寒くなることが少ない)程度です。
基本野外での活動が多くなり、 風速や日照で
体感温度は大きく変わるので
脱ぎ着しやすい恰好が望
ましいです。
(1)帽子、サングラス
日差しが強く、また屋外で日光を遮るものが無い場所が多くあります。日焼け対策も忘れずに。
(2)ウィンドブレーカーまたはアウトドア用ジャケット
全体的に風が強く通り雨も多いので、一年を通して何かしら防風・撥水性のある羽織りものがあると便利です。風が強い日は、防風性のあるジャケットの方がダウンよりも寒さを感じにくいことも。
上半身と同様の理由で、
ジーパンよりもチノパンよりもトレッキングパンツが快適ですが、そこは各自の島での過ごし方次第で構わないと思います。
(3)靴
歩きやすい&汚れてもいい靴で行きましょう。
特に山道を歩く場合はトレッキングシューズなどのしっかりした装
備が必須です。離島の山道や遊歩道は標高こそ低いですが、
断崖や岩場など険しい道が多いです。
(上)11月上旬、伊豆大島(裏砂漠第2展望台)での服装
9. おすすめの持ち物
(1)サンダル
海水浴の場合はもちろんですが、船内で過ごす時や民宿から少し出歩く時、サンダルの有無だけで快適度が桁違いです。
(2)ジャージ
民宿などでは部屋着の用意が基本ありません。行き帰りの船内で過ごす時のためにもサンダルと併せて用意しておくと非常に快適です。
(3)タオル
船内のシャワールームや、島の温泉施設を利用する際に使います。
また、民宿はタオル要持参のことが多いです。
バスタオルには
マイクロファイバータオルが便利でおすすめ。
肌触りが綿とはだいぶ異なりますが、
コンパクトで吸水性が良く乾きも早いです。
(4)アメニティグッズ
民宿に泊まるなら歯ブラシ、カミソリ、クシは基本無いものとして持参することを推奨します。ボディソープやシャンプーは民宿でも置いてありますし、船のシャワールームにも全身用シャンプーが一応あります。しかし、シャンプー石鹸くらいは念のため持っていても大した量にはならないでしょう。
僕は歯ブラシ、カミソリ、シャンプー、石鹸、ウェットティッシュ、爪切り、日焼け止め、コンタクトレンズなどを島旅用アメニティセットとしてポーチにまとめて、毎回丸ごとパッキングしています。
(5)日焼け止め
普段の外出時には塗らないよという人でも、安物で構わないので買って使いましょう。火山の島では日陰のない屋外で直射日光を浴び続けて観光するケースが多く、対策無しだと照り返しを含めて意外と日焼けします。冬場だろうと安心すべきではありません。日焼け防止は体力の温存にもなります。
(6)水着
海水浴シーズンならもちろん必須の持ち物ですが、一部の施設では水着着用の混浴温泉があります。温泉に入るつもりの方は確認の上準備しましょう。
(7)手袋
防寒の他に保護の目的もあります。伊豆諸島は火山由来の鋭い岩や石が多いので、トレッキングコースや遊歩道や登山道など、山道要素のあるコースを歩く時には着用を勧めます。トレッキンググローブも安価なものがありますが、無い場合は軍手でも効果大です。(他より必要度は低いように思われますが、筆者はかつて島旅で転倒し両手を負傷したため推奨しています)
10.各島概要
(1)大島(伊豆大島) -おおしま-
【人口】8,015人 【面積】91.06㎢
【特徴】
伊豆諸島最大面積の島。
三原山や裏砂漠といったスケールの大きな景色を体感できる。
本土からの距離が最も近く人口も多め。本土との交通が最も安定しており、
スーパーやレンタカー屋などの施設も充実しているので、
初めての島旅にもやさしい。
【主な観光スポット】
三原山、裏砂漠、御神火温泉、地層大断面、大島公園、
椿花ガーデン、火山博物館
【行き方】
【島内交通】
路線バス、タクシー、レンタカー、レンタルバイク、レンタサイクル等
【買い物】
スーパー、商店多数あり。
(2)利島 -としま-
【人口】315人 【面積】4.12㎢
【特徴】
伊豆諸島の
有人島では最小面積の島。
とがった円錐形のシルエットが特徴的。
島の面積の8割が椿とも言われ、
椿油の生産量は全国一。
近年ではイルカが見られるようになり、
ドルフィンスイムも行われている。
【主な観光スポット】
宮塚山、椿畑、ドルフィンスイム
【行き方】
【島内交通】
宿に相談すれば車を貸して貰えることも。島内全域が急坂のため自転車は禁止だそうです。
【買い物】
小さな商店が数軒
(3)新島 -にいじま-
【人口】2,225人 【面積】23.17㎢
【特徴】
白い砂浜が特徴。ガラスの原料や石材として採掘されるコーガ(抗火)石は世界でも2箇所でしか採られていない珍しい岩石だが、集落では建物や塀にまで使われている。コーガ石から作られた新島ガラスがお土産におすすめ。
【主な観光スポット】
新島ガラスアートセンター、羽伏浦海岸、前浜海岸、白ママ断崖(シークレットスポット)、湯の浜露天温泉、富士見峠展望台
【行き方】
【島内交通】
タクシー、レンタカー、レンタルバイク、レンタサイクル
【買い物】
商店が数軒。スーパーもあり。
(4)式根島 -しきねじま-
【人口】528人 【面積】3.9㎢
【特徴】
多彩な露天温泉と白い砂浜、
そして東京都で唯一の
リアス式海岸が見られる島。他と比べて
面積が比較的コンパクトなので、
自転車でも比較的簡単に回れる。
【主な観光スポット】
神引展望台、松が下雅湯、泊海水浴場、隈の井、地鉈温泉
【行き方】
【島内交通】
レンタカー、レンタルバイク、レンタサイクル
【買い物】
商店が数軒。人口のわりには多い印象。
(上)神引展望台
(5)神津島 -こうづしま-
【人口】1,878人 【面積】18.48㎢
【特徴】
伊豆諸島の水配り伝説の舞台にもなったほど水が豊かな島。白い砂浜と透明度の高い海が有名で、「神津ブルー」という言葉があるほど。露天温泉から天上山のトレッキングまで楽しめるオールラウンダー。
【主な観光スポット】
天上山、
赤崎遊歩道、千両池、前浜海岸、多幸湾、
温泉保養センター
【行き方】
【島内交通】
タクシー、レンタカー、レンタルバイク、レンタサイクル
【買い物】
商店が数件、スーパーもあり。
(6)三宅島 -みやけじま-
【人口】2,583人 【面積】55.44㎢
【特徴】
近現代にかけてたびたび噴火があり、
今も生々しい噴火の跡を目にできる島。その一方で自然も豊かで、
火山の
雄大な光景から野鳥観察まで楽しめる。
お土産には牛乳せんべいがおすすめ。
【主な観光スポット】
七島展望台、大路池、サタドー岬、ふるさとの湯、
アカコッコ館、
阿古小中学校跡、三七山展望台、長太郎池、メガネ岩
【行き方】
【島内交通】
路線バス、タクシー、レンタカー、レンタルバイク、レンタサイクル
【買い物】
商店が数軒、スーパーもあり。
(上)七島展望台から雄山を望む
(7)御蔵島 -みくらしま-
【人口】303人 【面積】20.58㎢
【特徴】
ドルフィンスイム(野生のイルカの近くで一緒に泳ぐ)
で近年
知名度を上げた島。就航率の低さなどから、観光客は宿が確保できていないと上陸することができない。島内のトレッキングコースはガイド付きでなければ歩けない部分が
多いなど、島の環境を守る取り組みが非常にしっかりとしている。
【主な観光スポット】
トレッキングコース、ドルフィンスイム
【行き方】
【島内交通】
宿やイルカ船の送迎のみ。
【買い物】
商店が数軒。
(8)八丈島 -はちじょうじま-
【人口】7,706人 【面積】62.52㎢
【特徴】
ひょっこりひょうたん島のモデルになったとも言われる、
火山二つが繋がったひょうたん型の島。羽田直行の定期便があり、
都心からのアクセスはトップクラスに良好。
短時間で非日常の景色を味わいに行ける。
島で採れる素材で染めた糸を使った
黄八丈という絹織物が特産。
【主な観光スポット】
みはらしの湯、ふれあい牧場、八丈富士、登龍峠展望台、
ポットホール、
黄八丈めゆ工房、遊び平牧野看視舎、裏見ヶ滝
【行き方】
【島内交通】
路線バス、タクシー、レンタカー、レンタルバイク、
レンタサイクル等。ツ
アーバスも運行あり。
【買い物】
(9)青ヶ島 -あおがしま-
【人口】160人 【面積】8.75㎢
【特徴】
就航率といいその見た目といい、
まさに絶海の孤島という表現がぴったりの島。
世界でも珍しい二重
カルデラという地形が見られ、
その秘境感から世界的にも注目されつつある。
日本で最も人口の少ない村。特産は「
青酎(あおちゅう)」と呼ばれる焼酎。
【主な観光スポット】
大凸部(おおとんぶ)、ふれあいサウナ、尾山展望公園
【行き方】
【島内交通】
レンタカー(民宿経由で予約可能との話)
【買い物】
商店1軒のみ
(↑青ヶ島は諸島内でも交通事情が特殊なので別途まとめてあります)
11. その他Q&A
(1)船上・島内の回線事情
東海汽船の
大型客船上では、
東京湾内と島の近くで携帯の電波が入ります。ただし窓から離れた
船内では、接岸中でも圏外になります。
伊豆諸島各島内では、集落一帯や近辺では申し分なく携帯の電波(4G)が入ります。集落から外れたエリアだと圏外(あるいは3G)も珍しくありません。
WiMAX2のような
ポケットWiFiは
伊豆大島の一部のみ対応しているようですが、
基本使えないと思って良いです(なので僕も島旅には持って行っていません)。
本土ほど電波事情には恵まれていない結果、かえって
民宿などの宿泊施設では
無料WiFiを宿泊者に提供しているケースがわりとあるので、予約の際に確認してみると良いでしょう(おそらく住人の方と共用)。島によっては
観光協会の宿泊施設一覧に記載している場合もあります。
船では港の前後だけ、島では宿に戻ればちゃんと電波が入るこの状況が、慣れてくるといい具合のデジタル
デトックスになってむしろ心地よいとまで思えてきます。