出かけた時から帰り道

バイクや車やフェリーや列車や飛行機や自転車による全国(時々海外)の旅行記群、分割日本一周の記録です。VTR-F乗り。(子育てのため長期旅行お休み中)

船と原付で行く八丈島【3終】民宿「椿荘」・東海汽船

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八丈島での宿はホテルよりも民宿の方が圧倒的に多いです。いや、実際にどうだかわかりませんが特別ぜいたくする気がなければ必然的に民宿になります。

 

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(16:24)

本日の宿は『椿荘』。底土港から300mくらいの場所です。我々は先に原付をレンタルしに行ったのでお願いしませんでしたが、こんな距離でも港から宿まで送迎してくれるようです。

さて、宿に着いたはいいもの、夕飯までまだ2時間以上はある状態。ただし外は完全に本降り、しかも強風までおまけし始めたので、再スタートなんてとうてい無理な相談。
しかしそんなことに屈する我々ではなかった。

 

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(16:32)

商店で飲み物などの買い出しついでに、300円くらいののちゃっちい卓球セットを購入済みだったのである。ピンポン玉が跳ねない跳ねない。

その他、卓球セットと一緒に買ったコマを回したり昼寝したりと部屋の中でぐでんぐでんしていました。

 

時は過ぎて夕飯。

 

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(18:48)

どうして……どうして島の民宿はいつもこう飯が最高なんだろう畜生。

刺身/べっこう寿司/金目鯛の煮付け/金目鯛のあら汁/ハンバーグ

メインどころだけでもこの攻勢っぷり。普段からそんなに多く食べないとはいえ、全部食べたら胃のキャパギリギリでした。無理しないでいいよとは言われるものの、美味しいんだもの食べたいんだもの。

島の民宿には仕事の関係で島へ来て実質住み込み状態な人も多く、観光客向けに魚料理ばかり出しているとそういう人たちが飽きてしまうため、肉料理も必ず一緒に出てくるという話をどこかで目にしました。

 

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(19:58)

うまいうまい言いながら食べていたらご主人に話し掛けられ、流れで島の焼酎をいただくことに。

 

この時テレビでやっていた「世界ふしぎ発見!」では青ヶ島を取り上げていました。

青ヶ島は伊豆諸島で最南端の有人島。本土からの直行便はなく、僕らが今いる八丈島から船かヘリかでしか行くことのできない場所です。そして近海はしばしば荒れるので船の就航率は50%程度、対するヘリはたったの7人乗り。そんなアクセス条件や独特の地形から、秘境とも呼ばれる島です。

www.vill.aogashima.tokyo.jp

青ヶ島 - Wikipedia

青ヶ島の詳しい話はここでは省きます。

そしてどうやらこの椿荘の女将さんのご家族が青ヶ島にいらっしゃるらしく、放送が始まるとともにテレビの向こうの現地と携帯で通話開始。テレビに映る島民はかなりの割合で顔見知りの様子でした。

 

そして、勿論やってくるクエスチョンの時間。「島ならではの特産物は?」的な問題に、食堂にいる一同は即答。

「塩だ」

「塩だね」

 

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(21:21)

「ほらこれだよ」

いやちょっと待ってまだスタジオの解答も出揃ってないんですけど実物まで出てきた。

地熱で海水を飛ばして作られる「ひんぎゃの塩」。ひんぎゃとは「火の際」を意味する言葉だそうです。

 

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(21:21)

そんな具合に八丈島の夜を過ごしました。外の天気は残念でしたが、なんだかんだで印象深い一日になりました。

 

家の子供たちは広い部屋でのびのびと遊んでいるし、ごはんはおいしいし、実はかなり所得の高い農家もいるそうで、だけど生活にお金はそんない掛からないし、と島の素敵なところを沢山見聞きしました。もちろん都会の方が勝手のいいこともあるでしょうけれど、必ずしもそれだけが人の生活する場所じゃないんだなーと。

ちなみに、小笠原青ヶ島にも行くことをお勧めされました。行きたい。そしてもし上陸した暁には好天であって欲しい。

 

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(22:47)

歯磨き中の視界。

『椿荘』は宿泊者の共用スペースとご家族の居住スペースが比較的混在していて、出入りするときにもしばしば声を掛けて貰えます(おかげで悪天候の中の帰り方を色々相談できました。というかみんな良い人すぎる)。

ですが建物全体はとても広く、部屋に戻るとちゃんとプライベート感は確保されます。増築をしているそうで、一番古い部分は築100年にもなるとか。

風呂トイレは民宿なので当然共同。だけどとても綺麗。お風呂は一般的な家庭用の風呂場が2箇所備えられていて、いつでも好きな時に入っていいとのこと。

そして何より、ごはんが美味しい。そんな感じです。また泊まりたい。また来ましたーって言いたい。

 

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(7:24)

そして翌朝。もう東京に帰らなければいけない日です。

まず状況として、

・明日は普通に仕事なので今日中に八丈島から帰らねばならない

・予約していたのは夕方の飛行機(1日3便あるうちの3つ目)。

・風強い霧凄い。雨もそこそこ降っている。

・女将さん曰く「船なら大丈夫だろうけど飛行機は微妙」

 

そしてここに今朝の新情報、

・本日の飛行機第1便は欠航。2便と3便は条件付き運航。

が加わりました。

 

条件付きというのは、大まかな意味としては

「今のところ運航する気ではいるんだけど、ぶっちゃけどうなるか分からない。欠航になる可能性もあるかもね。だからキャンセルの払い戻しとか振り替えとかタダで受け付けるよ」というもの。

 

要するに、飛行機では確実に帰れる保証がありません。確実に帰らなければならない我々は、島民の勧めもあって船で帰ることにしました。予約していた飛行機は宿を出る前にスマホから払い戻し手続きを済ませます。

八丈島発竹芝着の東海汽船は朝9:50出港。案の定、八丈島2日目は島の観光が一切できなくなりました。

 

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(8:44)

支度を済ませた我々はギリギリ雨が降っていない中をモービルレンタカーへ直行。返却手続きをする人でごった返していました。みんな我々と同じ思惑でこれから船に乗らんとしている人たちです。

返却が済んだらレンタカー屋の送迎で港まで。人が多いので送迎車はピストン輸送。『椿荘』の前を通過し底土港に到着しました。

 

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(8:58)

底土港の待合所兼切符売り場は飛行機難民で混雑。ですが切符は普通に買えました。

この待合所、1階部分が混みがちですが実は2階もあって、乗船までは人が少なく広々として2階で待っていました。

 

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(9:25)

行きと同じさるびあ丸に乗船。本当は橘丸に乗りたかったんです(2回目)。

 

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(9:29)

そんな具合に、八丈島の上陸時間はたった24時間30分程度でした。

 

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(9:54)

さようなら八丈島。またいつかリベンジしに来ます。

 

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(10:00)

ちなみに、飛行機第1便の欠航理由は「視界不良」のため。沖に出ると、島上空にだけ低空に雲がずんとのしかかっています。そりゃ飛行機も着陸できませんよこんなんじゃ。

 

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(9:59)

タグボートが桟橋になるでかいコンクリートブロックを曳いて島へ向かっていました。

 

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(10:11)

 

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(10:15)

船はばっしゃんばっしゃんと波しぶきをあげ、甲板にいる我々はものすごい横風と共に吹き込む雨を食らい、船はぐわんぐわんと上下左右に大きく揺れます。

幸いにも二人とも(本などを読まなければ)船酔いしない体質。風と揺れを逆手に取って楽しんでいたところ、艦内放送で御蔵島が欠航のお知らせ。次の寄港地でしたが、波が高いため飛ばして次の三宅島へと向かうとのこと。

いくら条件付きだったからとはいえ、降りる予定だった人はどこまで連れていかれてどうやって御蔵島へ到達するんだろうか……。

 

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(13:14)

何をするでもない時間を過ごしているうちに、島は三宅島へ。

雨がすごい。居合わせたおばちゃんと二人で「うわあ……」と言いながら、ずぶ濡れになって乗船してくる人々を眺めていました。

このおばちゃんとはまたしばらくロビーでちょくちょく会って世間話をしていました。八丈島の島民で、内地の病院へ健康診断に行くんだそうです。船で竹芝に到着後は、港からすぐのところにある島嶼会館に一泊するらしいです。

www.tosho-kaikan.jp

島嶼会館という存在をこの時初めて知りました。島嶼の住民は宿泊割引が適用されるそうです。その他、島嶼住民はこの東海汽船なんかも割引があるんだとか。ちなみに東海汽船株主になると島嶼住民と同じ割引を受けられるそうです。

 

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(14:13)

おなかが空いたので、船内の自販機でカレーヌードルを購入。友人Iは起きているのか寝ているのか、わりかしずっと寝台のカーテンの向こうにいました。

 

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(14:24)

出港してすぐは船内を歩き回る人も多く、ちびっこは元気に駆け回っていますが、このくらいの時間になってくると乗客みんなが暇オーラを放ち、共有のスペースに現れる人の数も露骨に減少します。

 

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(19:35)

だからといって船は急ぐでもなく、予定通りの時刻に東京へ到着。前の写真から5時間がすっ飛んでいますが、特に何もありませんでした。寝たり散歩したりするだけの何もないゆったりした時間でした。

ちなみに船室は特2等。勝手知ったる寝台です。

 

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(19:56)

上陸。朝から乗り続けて、飛行機の第3便と大差ない時間に着くのだからなんともやるせない。しかし確実に帰るためです。

……なお、飛行機の方は1便こそ欠航でしたが、あとの2便と3便は通常通り運航したようです。結果的には取り越し苦労だった……。

 

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(19:59)

竹芝客船ターミナル内には、伊豆諸島のアンテナショップがあります。東京都内にも東京都のアンテナショップはあるんです。買いそびれたお土産はここでどうぞ。

 

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(20:03)

乗船時間→計20時間20分

八丈島滞在時間→24時間50分

という、何しに行ったのかよく分からない旅になりましたがまあ仕方あるまい。

 

そんな感じで、初めての八丈島は写真映えするような景色も大して拝めず、観光時間はほぼ半減というわりと悲惨な結果となりました。

ただまあそれはそれで島らしい体験をできましたし、民宿のごはんはおいしかったしで不満というようなものは特にありません。あえて言うなら月曜には自宅から通勤しなければならないこの世界がいけないんだ。

ただまあこれが八丈島の本気ではないことは確かなので、いつかまたリベンジを果たしたいと思います。

 

以上、最後までありがとうございました。

 

旅行期間 2017.6.23~2017.6.25
旅行記完成 2017.8.31