吉田口・須走口頂上(3,710m)⇒ご来光
吉田口頂上付近は、富士登山のメインルートの終着点であること、そしてご来光のアングルであることから山小屋や売店も多く非常に混み合っています。ちょっとした街のようです。これが本当に富士山の上だというのか。
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室内がいっぱいいっぱいになり入場制限を敷く山小屋まであります。この時期、日の出前の富士山頂は7~8℃くらいだそうです。海抜0mとは軽く20℃ほど違ってきます。立ち止まると寒くなりそうな感じはあります。
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富士山頂にだって自販機はあります。五合目では200円、六~本八合目までは400円だった水が、ここでは500円です。よかったですねワンコインで済みます。
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立ち止まってご来光を待たず、ずんずん進みます。ぶっちゃけご来光に関してはそんなに執着していないので、ちょっとでもお鉢巡りを進める方針で行きます。ご来光に興味がないのにこの時間帯で動いているのは、あてがわれた山小屋と往復のバスの時刻上このスケジュールでしか動けないからです。
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左端のものすごく明るい部分が吉田口山頂の山小屋が密集しているあたりです。もはや村か街か。
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お鉢を時計回りで進み、旭岳の南西あたりで腰を落ち着け朝日を拝むことに。じっとしていると寒くなってきたので、ジャケットの下にウルトラライトダウンを着込みます。
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空の色が良い具合になってきたので、
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せっかくだし跳んでおきました。下界に比べ富士山頂の大気の濃度は2/3程度。さすがに一度助走をつけて跳んだだけでもあっさり息が上がります。実は保険として酸素ボンベを1缶だけ持参していたのですが、ここに来てこの場面でようやくまともに使い始めました。高山病に対しては気休め程度というか根本的な解決はできないような容量ですが、こうした一時的に呼吸を落ち着けさせる用途ではてきめんです。ありがとう酸素缶。
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地平線ではなくギリギリ峰から上がってきた場合はご来光と呼んでいいのだろうか。調べてみると「高山の頂上で見る荘厳な日の出」とのこと。ちっとも荘厳さを感じさせないジャンプをかましてしまったゆえ、後半部分にそぐわない気もしますが一応ご来光ということで。
日の出を迎えてしまえば人々も再び動き出してしまうので、回るべきところは早めに抑えていきましょう。
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これが富士山の最高点である剣ヶ峰(けんがみね)のご来光直後の様子。上のほうだけ人がごしゃっといっぱいいるのが遠目にもわかります。
お鉢巡り⇒剣ヶ峰(3,776m)
既に1/3ほど済ませていますが、引き続きお鉢巡りをしていきます。
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火口でけえ。
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御殿場口頂上、富士宮口頂上を経てやって来たのは富士山頂郵便局。限定の切手シートや登頂証明書の販売をしています。
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その中で限定のかもめ~るも販売していたので、購入しその場で自分や家族宛に書いてきました。3枚でたしか500円くらい。切手は不要です。
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世界遺産登録にあたって茶色に塗り替えられたというポストへ投函。日曜の早朝に投函して、神奈川の自宅へ到着したのは水~木曜頃でした。さすが山頂、距離のわりにだいぶ時間が掛かっています。
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郵便局の隣というか同じ棟続きにあるのが富士山本宮浅間大社奥宮。杖への刻印や御朱印を受け付けているそうですが、並び過ぎていてそんな気は起きませんでした。
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山頂での大事なミッションを終えたので、ぼちぼち剣ヶ峰へ向かっていきます・
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雲海と影富士。日の出よりもこっちの方がおおーってなりました。綺麗。しっかりと雲が出ていないとなかなかお目に掛かれないようです。
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そして最後に待ち構える難所。体力的には今更な感じなので苦でもないのですが、細かめの砂利に急斜面で踏ん張りがききません。本当にヘタをこくと足を前に出した分以上に後退しそうです。ペンギンのような歩きでどうにか突破。
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剣ヶ峰の最高点と碑は、お鉢巡りのルートからちょっとだけ離れた場所にあります。そしてそこへ至る最後の階段に、写真待ちの列が形成されています。ここでもか。
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15分くらいで出番がやって来ます。それにしてもここって二等三角点なんですね。て日本一の場所なんだからてっきり一等三角点かと思いました。
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そして日本のてっぺんへ。日本のてっぺんは15分待ちです。
自分の番が来るにあたって「ぼっちだし後ろの人に撮って貰うしか……」などと考えていましたが、スタッフ的な人が一人いて、次々とカメラを預かってはシャッターを切って手際よく流してくれていました。混雑防止のためだと思いますが、はからずもぼっちにやさしいシステム。
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登山道がごちゃごちゃなら、最高点だってごちゃごちゃなのである。この場所自体には、写真の列に並ばずとも到達可能です。
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ミッションはひととおりコンプリートしたので、下山ルートに向かって残りのお鉢巡りをさくっと済ませましょう。
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今回の旅で一番いいなと思った光景はやっぱり影富士です。一番高いところに登ってしまった以上、あとは見下ろすだけなんですよね。
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景色が良い場所だったので、適当な岩に腰掛けて朝食タイム。するっと胃袋に収まったあたり、やっぱり山登りってエネルギーを消費しているんだなと実感ました。
ちなみに昨日からずっと、小休憩のたびにハンガーノックを起こさないようにゼリー飲料だとかカロリーメイトを適宜投入しています。
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影富士と南アルプス。この景色を目の前にのんびり朝食の寿司を食べていました。
下山
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お鉢巡りがまだ3割くらい残っていますが、このあたりから気分的にはもう下山開始です。日焼け止めを顔に塗り直し、着込んでいたダウンをしまい、ポールを取り出して出発。
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雲を阻む山脈と、その手前の街のジオラマ感がすごい。
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ガスった空気とか山とかをみんな地平線へ押し込んだ結果、空との境界がくっきり。すごい。
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吉田口の上りルート終点に戻ってきました。下山口はここよりもう少し右回り方向へ進んだ場所にあります。
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吉田・須走の下山口……なのですが、逆光がきつすぎて何も見えない。
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空の散歩感すごい。
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下山道は「砂走り」と呼ばれる区間が6合目まで続きます。岩場続きの登山道とは打って変わって、こちらは細かい砂礫の急斜面。もしこれを登るとなれば非常に骨ですが、下りなら己の歩幅以上に身体が進んで行くので、非常にハイペースな下山が可能です。実際に文字通り走って下りている人もいます。とはいっても各自の体力やコンディションと十分に相談の上、無理はなさらぬよう。調子に乗りすぎるとあっさり尻もちをつきます。
トレッキングポールを使ってバランスを取りながら、緩やかにジグザグを描いて急勾配をいなしつつ、斜面を利用して滑り降ります。このトレッキングポールが大活躍といったらなんの。
また、歩くと砂礫をある程度巻き上げたり足が砂に埋まったりするのですが、靴の中に砂礫が入るのを防ぐためにハイカットの靴(トレッキングシューズ)も重宝しました。逆に、スニーカーなどの人は、登りは多少無理がきいてもここでは見た感じ慎重にならざるを得ないようです。
もう一つ持ってきて良かったものがネックゲーターやネックカバーと呼ばれる薄手のネックウォーマー夏版的なもの。砂走りは必然的に前を行く人々が砂埃を巻き上げていくので、それをモロに吸わないよう口と鼻を覆えると楽です。日焼け対策にもどうぞ。
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各所でたびたび注意書きのある、須走・吉田の分岐点。山小屋の脇を抜ければ吉田ルート、右方向へ折れれば須走ルートです。もちろん吉田ルートを進みますが、同じツアーには誤って須走方面へ降りた人も何人かいたようです。
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下山ルートは登山ルートのすぐ東側なので、たまに登山ルートの様子が見えることも。お世話になった白雲荘も遠目に見えました。
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頂上ではまごうことなき雲の上でしたが、降りて行くうちに雲のそばへ。
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そして雲の中へ。
ちなみに下山ルートは道幅も広く渋滞はそうそう起こりませんが、たまに複数人で横に広がって歩く不届き者がいて、その人たちを先頭にどばっと人が溜まることはあります。けしからん。
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6合目が近付くと、斜面も落ち着き砂走りは終わっていきます。完全に足腰がヘロヘロになったおばあちゃんが、今までに比べれば何のことは無い砂利で足を取られて尻もちをつきまくっていました。
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ここからは、課金すればお馬さんに乗って5合目まで連れて行ってもらうこともできます。この先、彼らのうんこが道端に露骨に落ちていることがあります。
(8:14)
木陰とかいう概念が久々すぎて逆に違和感を覚えるなど。
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眼下は緑で、見上げる存在が戻ってきました。
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六合目に到着。ここからは登山ルートと合流するので、距離感と勝手は承知の上です。
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久しぶり、人工的な地面。
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行きは「なんで下るんだよおおお」と思った区間では、帰りには「何で登るんだよおおおお」という気持ちにさせられます。
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そして、富士スバルライン五合目に無事帰還。
下山口からここまではだいたい3~4時間と各案内に書かれていますが、2時間20分程度で降りてきてしまいました。バスの集合時刻まで1時間以上余らせてしまったので、もうちょっとのんびり歩いても良かった気がします。
その後指定の時間に指定の集合場所で待機し、ちょっと遅れてバスは五合目を離脱。サンシャインツアーの行程として組み込まれていた温泉(ふじやま温泉)でさっぱりとした後、お土産屋に寄らされつつ新宿へと戻りました。
温泉では昼食をオプションとして付けることができるのですが、「まあ当日自分でレストランに入ればいいだろう」と思っていたら、温泉付属のレストランは「昼食オプション利用者だけで貸切」になっており、はからずも昼食を食いっぱぐれるなどしました。そうならそうと明記してくれればほとんどの人がオプション利用しただろうに……。
感想
端的に言うと、山小屋とご来光前の渋滞が何よりもしんどかったです。
途中でも書きましたが、自然ど真ん中のはずがなんだろうこの人混みはという状態。
「いっぺんは登っておこう」という気持ちからのチャレンジでしたが、今のところまたやってみたいとはあまり思っていません。少なくとも、土日祝の混雑するタイミングに混雑する行程で行くことはまずしないでしょう。いっそ、1日目に登り切って山頂の山小屋に滞在するのもアリだったなと思います。
そもそもどうして富士山に登る気になったかというと。僕の母方は静岡が地元なのですが、皆口を揃えて「富士山は登るものではなく遠くから見るもの」と言っていました。なんとなく同意はしていたもの、実際に登って自分の目で見てみようと思い立ったのがきっかけです。
今回、それを身をもって感じました。登るものではなく見るものです。一番高いところへ登ってしまうと、逆に見るものが何もないんですよね。
とはいえ、「登ってお鉢巡りまでした」という事実は揺るがないので、まあとりあえず登ってみたことは間違いではないなと感じています。
誰にでもお薦めできるかというと必ずしもそうではありません。僕自身、これで雨でも降っていた日には登頂さえ断念した可能性もあるなと思うくらいのハードさです。ご自身の体力と照らし合わせ、いざという時には引き返す判断力と勇気も一緒にチャレンジしてみてください。
以上、最後までありがとうございました。
旅行期間 2018.7.21~2018.7.22
旅行記完成 2018.8.8