出かけた時から帰り道

バイクや車やフェリーや列車や飛行機や自転車による全国(時々海外)の旅行記群、分割日本一周の記録です。VTR-F乗り。(子育てのため長期旅行お休み中)

秩父三十四箇所札所巡り【4終】




【第四章 札所31番(観音院)~札所34番(水潜寺)~帰宅】



……さていよいよ30番台。

札所巡りも大詰めですが、ここからのひとつひとつの移動距離が今までの比じゃなく長い。
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中盤までは長くても2km台半ばだった札所間の移動距離。
道の駅で購入した札所案内図によると、車の場合の札所間移動距離は、

23番→24番(3.5km)
24番→25番(2.9km)
25番→26番(3.8km)

といった具合に20番台中ごろから怪しさを増し、


29番→30番(7.1km)
30番→31番(18km)※札所間最長
31番→32番(10.3km)
32番→33番(11km)
33番→34番(15.6km)

最後の最後には怒涛の長距離区間が待ち受けています。

車やバイクで巡る分には大した時間差になりません
(移動そのものより、境内を歩いたり乗り降りの準備をしたりの方が圧倒的に時間を食う)
が、徒歩や自転車なら、このラスボスっぷりは参ることでしょう。

特に、これから迎える最長区間の18km。
道の駅で購入した案内図には徒歩巡礼についても手引きがありますが、

健脚でないと無理です。

と自信満々に言い切っています。

……まあ、今回はバイクですし渋滞とは縁遠い時期と場所なので、特に問題はありません。
それでは終盤戦も張り切っていきましょう。


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次の31番が15:00には納経所を閉めてしまうことが最大の懸案事項でしたが、これなら普通に間に合いそうです。
まずは国道140号を横断し、新しくて広い道を快走。


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かと思いきや、車同士はすれ違えないようなトンネルが出現する。
道の駅両神温泉薬師の湯を左手に見るなどして温泉に浸かりたくなるものの、寄らずに走り続けました。



【31番 鷲窟山 観音院 (しゅうくつさんかんのんいん)】


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つきました。
道のどん詰まりが山門の前。目と鼻の先に舗装の大型駐車場があります。


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石段を上ります。岩盤崩落の危険があるようです。
そらここまで山奥ならな……。


――3分後。


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どこまで続くんだよおおおおおおおおおおおおお

一応間に合いそうとはいえ、ここ31番の納経受付時間は15時までという最もイレギュラーな場所。
昨日の18番を見る限り、閑散期の今は規定の時間より前倒して切り上げる可能性もなきにしもあらず。
大丈夫だろうと言い聞かせつつ、小走りで石段を上り続けます。


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結論、間に合いました。
お参りと納経を済ませてから写真を撮って回ったのでちょっと経っていますが、石段上りは走って5分、普通に歩いて15分程度といったところでしょうか。


御朱印を貰ってからようやく落ち着いて境内を見渡せる。
いや、お参りはもちろん一番先に済ませていたのですが。


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ちょろっとしか流れていない滝。

それとここには、弘法大師空海)が自らの爪で彫ったという10万8千の磨崖仏(まがいぶつ)があります。

じゅ、10万8千……?
岩を彫っているのに円空仏より多いだと……。


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……あ、なるほどそういうことか。
とりあえず数にびっくりしてその落差でなんだか安心しましたが、このレベルとはいえ10万超ってなんなんでしょうか。
遠目には岩の模様かと思ってみていましたが、よくよく見ると本当に岩肌にびっしり彫られているんです。
すべて見切れなかったので、今度ゆっくり見に来てもいいかもしれない。


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立地といい石段といい断崖絶壁といい、札所の中ではトップクラスに印象的な場所であることは間違いありません。

帰りは普通に歩いて5分くらいで下りきりました。


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……んんっ? 午後4時?
札所連合会のWebサイトの案内には午後3時ってあったぞ……?

結局真実は未確認ですが、14:30には普通に受け付けてくれたことは確かです。
そらそうか。


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見られることにこんな熱心な仏像は初めてだ。

ちなみにこの31番の石段ですが、全部で296段あります。
数えたわけではなく、


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上る前には完全に見逃していた小僧が教えてくれました。

般若心経はお馴染みの通り日本の仏教において最もポピュラーな経典、
普回向(ふえこう)というのは、読経による功徳が自他に行き渡ることを祈る文言です。
……普回向についてはググりました。


31番に通じている唯一の道には、途中に水子地蔵寺という名前の通り水子供養の場所があるのですが、


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この光景は正直怖かった。
無数の小ぶりな地蔵が整然と並ぶ斜面に挟まれながら、来た道を戻ります。


またこの沿道では家畜が飼われている場所もあって、


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写真右側の2頭が交尾してました。


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言わずもがな31番は秩父の市街地から最も遠い場所にあるため、当初はあんな近くに拝んでいた武甲山もだいぶ遠い。
まあ、帰りにはあの辺りの脇を抜けていくことになるのですがね。



【32番 般若山 法性寺 (はんにゃさんほうしょうじ)】


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10km強の道も、エンジンが付いていれば20分で着いてしまうのです。

ここ32番は、巡礼者以外の来山者は拝観料300円を求められます。
といってもゲートらしいものがあるわけではなく、道の脇に集金の箱が置いてあるという完全な善意による方式。

……御朱印を貰っても貰わなくても300円となるとなんだか不思議ではある。


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とはいえどうやらここは札所巡りを抜きにしても著名なお寺なようで、


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グッズ販売なんかやっていました。
……無人だったけど。


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札所間の移動距離が長ければその分僻ち……地形の豊かな立地にあるということで、相応に特徴的なお寺になります。


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……まさか観音堂がこんな高床な位置にあるとは思わなかったです。


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石段を登り観音堂へあがります。
場所としてはかなり高い位置なのですが、手前に木が茂っているので写真栄えはそこまでしないため割愛。


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観音様を拝んでから離脱です。

ちなみにここには奥の院もあるのですが、境内の地図を見たら明らかにすごい位置にあったので気になりつつもやめておきました。
後日調べてみたらガチ登山の様相だったので、避けて正解でした。
釜ノ沢五峰と呼ばれる登山道とセットでよく歩かれているようです。
31番同様、ここもそのうち別途行ってみたいですな。


そして、お船観音というのが納経所あたりから見えるらしいのですが、そんな知識を一切持ち合わせずに巡礼している僕は探すどころか気付きもせずにスルーです。


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御朱印を貰っている最中。
手前の鐘を叩いてお寺の人を呼ぶと、隣の建物からわざわざ来てくれました。
インターホンの方がまだ気後れしないんだよなあ……。


ちなみにこの32番に来る途中、ロードバイクを漕ぐ女性を抜いていったのですが、僕がお寺を出る頃にちょうど到着していました。
自転車移動はきついってばよ……バイクの味しめるとなかなか戻る気にはなれないよ……。



【33番 延命山 菊水寺 (えんめいさんきくすいじ)】


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4時前ながらもだいぶ日が傾いてきました。
11kmの道のりではあったものの、街の方へと走ってきたため民家がぽつぽつとあります。


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本堂へと伸びる参道の両脇はおそらく桜の木なので、花期には綺麗かもしれない。


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納経所は堂内にあり、インターホンで住職が来てくれます。
30番台にして中盤までのような平地で平和な札所だったので、なんだかほっとしました。

ラスト34番に向けて15.6kmの道のりを走ります。
ここでまた秩父市街地とは正反対の方向に行くのがやるせない。



【34番 日沢山 水潜寺 (にったくさんすいせんじ)】


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秩父札所巡りのラストナンバー水潜寺までの道のりは、看板でかなり丁寧に案内があります。

ところでこの34番ですが、札所連合会のサイトいわく、


――秩父札所の三十四番は、百観音の大悲を一寺に集め御利益を得たいとの願いにより、西国・坂東・秩父の各三十三の札所に一ケ寺を加えることとなり、水潜寺が日本百観音結願寺になったと伝承されている。


……なんだこのラスボス感溢れる寺は。というかもはや巡礼のための寺ですね。
なのに立地が30番台らしくすっ飛んだところにあるのはどういうことなのか。


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しばらくは幹線を使っていくものの、やはり終盤は30番台らしい趣の道に。
集落を抜けると川沿いの護岸工事跡が新しい道に出て、間もなく34番札所に到着です。


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土地を盛り上げ整地されているものの、砂利な駐車場に駐車。
ここからなだらかな上り坂を歩きます。


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沢沿いであることに加え日没間際なこともあって、ちょっとだけおどろおどろしい雰囲気。
というか、札所によって人のいるいないが極端なのはどうしてなんだろうか。


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さあ、ここが最後に拝むべき観音様です。


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足型の上でおがめば
百観音巡礼の功徳がある

容赦なくこの上で拝ませて貰いましたともええ。
ただし、そのうちの33の土は自分の足で実際に踏んできたけどな。


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水潜寺水かけ地蔵というらしい。
頭上から水を三杯かけて願い事を三回唱えるといいらしい。
……疲れていたのかネタに走る頭が回らなくて、無病息災を願いました。


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秩父34、坂東33、西国33のそれぞれの巡礼の結願寺(結願:煩悩から解き放たれ願いが叶う)とされれるだけに、百観音の一覧地図が。
いや……さすがに他の2つはやりませんよ……?
坂東33箇所とかその気になればできそうな場所と数だけどさすがにちょっと……。


とまあ、そんなこんなで、


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秩父三十四箇所の札所巡り、結願いたしました。

いやあ2日間のわりに体感長かった。
そして、これから東京までの帰り道があると思うと純粋に達成感に浸る気になれないんだな。
おうちに帰るまでが巡礼でした。


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まだ明るく見えますが、この時点で目視ではそこそこ薄暗い世界になっています。
早いとこ人里へ戻ろう。
暗い山道はこの後にもたっぷり堪能する羽目になるんだから。


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偶然か必然か、昨日とほぼ同じ時間に道の駅ちちぶにいることに。
御朱印貰って間もない時は「あーこれで終わったのかー」などとひとりごちていましたが、今はただおうちに帰りたさしかない。
東京までワープしたい。


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昨日のみそポテトよりも少し奮発して暖かいかけそば。
結局2日目も昼食を取らずに行動し続けていました。
いい時間にいい場所に店がないのと、空腹が気にならなくなってしまうんですよね。


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今日も今日とてポテくまくんグッズに癒される。
このプリンの包装がかわいくて思わず財布に手が伸びたが、すんでのところで踏みとどまった。

まあ、秩父にはどうせまた暖かくなったら来ます。


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そして2時間後、自宅に無事到着。

二日間の総走行距離は400.9km。
そのうち240kmくらいは自宅と秩父の往復分なので、純粋な巡礼での走行は160kmくらいといったところでしょうか。

これにて正真正銘、巡礼の終了です。



ということで、バイクで行く秩父札所巡りでした。

「年末の休みを使って目的のある旅をしたいなー」と思い、

・かねてから秩父に走りに来たとき気になっていた札所巡り
バイクを買った当初からいつかは行く気でいる伊勢参り

をどっちに行くべきかTwitterで投票をして貰ったのが事の経緯。
秩父札所巡りは、近場かつ記録すべきスポットが多いので旅行記向きだったかもしれませんね。

こんなにバイクを走らせながら何度も乗り降りする2日間は初めてでした。
新聞配達員の気持ちがちょっとだけ分かった気がします。
元々耳まわりがきつかったヘルメットを何度も脱着していたら耳が真っ赤になって、向こう1週間くらいテカテカのヒリヒリだったことはまた別の話。


34番の札所を貰った後に達成感に浸る余裕がなかったと書きましたが、やはり帰宅後にじわじわと湧いてきました。
秩父界隈の地理がなんとなく掴めるようになってきましたし、また走りやすい季節には印象深かった札所のどこかにふらっと寄ってみるのもいいかなと思っています。

……三十四ヶ所全部を回るのは、まだしばらくやらなくていいかなと思っています。
ちなみに坂東三十三ヶ所は本当にやる気ありません!


以上、最後までありがとうございました。


旅行期間 2015.12.29~2015.12.30
旅行記完成 2016.3.14


秩父札所巡り ~終~