chichibu34-
【第三章 札所19番(龍石寺)~札所30番(法雲寺)】
翌、2015年12月30日。
自宅で黙々と大掃除をすべきタイミングで、僕は今日も秩父へ走りに行く。
(7:50)
昨日よりも確実に早い時間での出発。
しかし、秩父への到着時刻を考えると札所巡り的にはまったく早いと言えない。
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(9:35)
道の駅あしがくぼに到着。
正丸あたりの峠を越えた後で一番最初にある休憩場所なので、今日も相変わらず秩父方面への足がかりとしての利用です。
昨日よりも早く出たしさすがにまだ売店開いてないやーと思ったら、
(9:37)
そもそも今年中の営業が終了していた。そんな時期である。
(9:49)
自販機でココアだけ買って飲んで、今日も今日とて秩父路を走ります。
(10:00)
最初の目的地は住宅地の中のちょっと入り組んだところにあるから大丈夫かなと思いきや、広めの通りからちゃんと案内がありました。
【19番 飛渕山 龍石寺 (ひえんざんりゅうせきじ)】
(10:05)
駐車場というか、砂利の敷かれた境内にそのまま乗り込んでいけるタイプの札所です。
乗り込んだは良いものの、
(10:03)
「ご迷惑でも留守の場合は宗福寺で納経いたします」
ほう。
「ご迷惑でも」っていうこの日本語の意味がよく分からないぞ。
「来てくれたところ迷惑掛けますが」って意味なんだろうけれど、「お前らが来てくれるの迷惑だけどさ」に曲解もできるぞ。
(10:05)
とりあえずここには他の巡礼者もおらず一人でどうしようもないので、宗福寺とやらへ向かいます。
(10:14)
宗福寺は龍石寺のわりと近くにあります。
「納経は龍石寺でしています」
……してなかったから困ってるんだよおおおおおおおおお
(10:16)
本堂の前に来てもその気配はない。
……どうしよう。
わかんないからとりあえず先に進むか……
何も情報掴まずにうろうろするよりは、先に進みつつこの19番について誰かに聞いてみよう。
【20番 法王山 岩之上堂 (ほうおうざんいわのうえどう)】
(10:26)
ということで次へ行ってしまった。
庭園っぽい雰囲気の中、木々をくぐり抜け石段を降りたところに納経所とお堂があります。
(10:28)
うむ、わりと格好いい。
お参りを済ませ納経所で御朱印をお願いした後、納経所の人に思い切って19番が納経どこでやっているか分からないと言うと、
「さっきの人たち19番(御朱印)ありましたよ」
と、僕より一足先に納経所に来ていたご夫婦を示す。
えっどこですかとそのご夫婦に訊ねると、先ほどの宗福寺の本堂の脇で納経受け付けているよとのこと。
さっき行った時には見当たらなかったので半信半疑で宗福寺に戻ってみると、
(10:49)
本堂に向かって右手、恐らく住職の住居であろう建物の縁側部分で受け付けていました。
よくよく見ると呼び出しボタンが備え付けられていましたちくしょう……。
御朱印帳を手渡すと、住職さんが何種類もの紐と小さな鈴が詰められた箱を目の前に差し出して、「セルフサービスですがよかったらどうぞ」。
道中安全のお守りとして渡しているんだとか。地味な色の紐と鈴をチョイスしてありがたく頂戴しました。
御朱印を書いてもらっている途中に世間話を続けていたら、僕がバイクで来たことに食いつく住職。
すると「ライダーの方に配ってます」と、カエルのストラップをくれました。
無事帰るっつーベタなやつですが、鈴に引き続き予想外の頂き物に、とてつもなくるんるん気分になってしまった。
(10:49)
御朱印料はたかだか300円なのにこんなに貰っていいのだろうか。
カエルと鈴は、バイクに乗る時いつも身に着けているウエストポーチにつけました。
以降、バイクを降りて歩くたびに鈴の音をチリチリさせています。
【21番 要光山 観音寺 (ようこうざんかんのんじ)】
(11:00)
19番と20番はそこまで離れているわけでもないのですが、川を渡るためにちょっと遠回りをしなければならず、納経所がわからず往復したのはやや面倒だったりする。
19番の御朱印と鈴とカエルを無事にもらい、21番へ向かうために再び川を渡ります。
途中の信号待ちで前の軽自動車を見てみると、後部座席に幼稚園~小学校低学年くらいの男の子が2人。
運転手はお母さんっぽい。
男の子らが後ろに身体を向けてこちらを見ていたので、ヘルメットのシールドを上げて手を振ってみる。
すると手を振り替えしてくる。
はしゃぎながら、ハンドルを握るお母さんに報告しているっぽい少年ら。
交差点で別れるまでしばらく手を振りあっていました。
これぞバイクならではの楽しみである。
さて21番ですが秩父市街からすると川の向こう、ミューズパーク寄りのやや高台な部分にあります。
駐車場は道を挟んでお寺の向かい。
この道はそこそこの量の車がわりと速度を出しているので注意です。
(11:00)
ただこの道、車が飛ばしているだけに真っ直ぐで走りやすく、日当たりがよくて気持ちのいい道です。
この後の22番と24番も同じ道沿いにあります。
納経所ではおじいちゃんがこたつでドラマ観ながら待っていてくれました。
【22番 華台山 童子堂 (かたいさんどうじどう)】
(11:14)
21番と同じ道沿いとはいえ、やや奥まったところにあり「えっここで曲がるの?」感がすごい場所にあります。
山門の前でお地蔵さん6体が出迎えてくれる素敵なお寺です。
(11:14)
この山門の右手が恐らく駐車スペースなのですが、札所最大級レベルで駐車スペースが広い。
駐車スペースを突っ切れば山門をくぐらずに観音堂へ向かうこともできたのですが、あまりにもだだっ広いせいでそれをすることがとても憚られた。
(11:15)
観音堂がこちら。納経所はこのすぐ左手です。
ずらっと見世棚のようになっている軒先のうちの納経所らしい部分に近寄ると、それまで境内を掃除していた方が来てくれました。
お取り込み中すいませんでした。
22番を出て県道に戻ると、今度は秩父ミューズパークの中へ。
ミューズパーク北口の交差点を曲がって急斜面かつワインディングな道を登ると、だだっ広い駐車場が右手に現れます。
【23番 松風山 音楽寺 (しょうふうざんおんがくじ)】
(11:42)
(↑帰りがけの撮影なので撮影時間が前後します)
久々に登場の舗装された駐車場。さすがミューズパークのエリア内である。
脇の坂道を徒歩で上り、小さな食事処の角を左へ曲がって上り坂。
(11:31)
メインの移動がバイクでもそこそこ坂道を登ったり降りたりが発生する札所巡り。
その代わり、そういう場所はたいてい見晴らしが良い。
(11:32)
音楽寺にたどり着くと正面にあるのは本堂。その脇が納経所。
ただし、札所巡りでお参りすべき観音堂はさらにもう少し上ったところにあります。
(11:35)
寺の名前が名前だけに、お堂の脇には地元出身の演歌歌手のポスターなんかが納められていたりします。
見晴らしも良く札所の中ではどちらかといえば特長のあるお寺なのですが。
僕はこの札所巡りをする1ヶ月ほど前に一度足を運んでいたせいか、目新しさを感じなかったあまり、
(11:35)
自らに目新しさを求めようと模索していました。
【24番 光智山 法泉寺 (こうちさんほうせんじ)】
(11:53)
そのままミューズパークを突き抜けて行くこともできたといえばできたのですが、来た道を戻っていった方が圧倒的に早いのでそうしました。
23番方面から行くと24番は右手にあるのですが、駐車場は左手にあるのでこれもまた注意。
駐車後に道を渡って境内へ。
(11:54)
開けてびっくり石段祭り。
上まで116段だそうです。
うわー遠ーっとは思いましたが僕は無類の石段好きなので正直アリですねこれは。
(11:56)
はい、こちらが上りきった図になりまーす。
正面が観音堂でーす。
お参りを済ませ納経所へ向かうと、12時をややフライングしてこたつでテレビ観ながらお弁当をつつくおば……お姉さんがガラス戸の向こうに見えました。
ガラス戸をノックしても良かったんでしょうけれど、遠慮してしまってしばらく前をうろうろしていたら気付いてくれました。
おねえさんの口に米粒が付いていることは、結局最後まで指摘できませんでした。
(12:01)
東屋とはいえ屋根つきの休憩所もあって、武甲山をぼんやり眺めるスポットとしては札所の中でも一番だと思います。
(12:04)
この長い石段も相まって、規模の割にはかなり気に入った札所のひとつでもありました。
【25番 岩谷山 久昌寺 (いわやさんきゅうしょうじ)】
(12:13)
実際の来場台数に対して敷地に圧倒的余裕がある駐車場って、ほんとに砂利敷かれただけの“場”でしかない。
ということが、今回の札所巡りを通して分かったことのひとつです。
ここもそんな感じでした。
ちなみに、駐車場内に無人販売の小屋があったのは札所3番に続き2回目です。
そんな駐車場に着いた時、入れ替わりで去っていこうとする車に見覚えが。
記憶をたどってみると、今朝20番で遭遇して僕が19番の納経受付の場所を訊ねたご夫婦でした。
向こうもさすがに気付いたようで、去り際にお互い会釈。
次の26番でまた会うかなーと思いきや、これっきり姿を見ませんでした。
(12:14)
駐車場を離れるとすぐに門が。
これをくぐると、
(12:16)
道に出ます。
その向こうに観音堂が見えます。
バイクなら駐車場に停めずに観音堂の前まで寄せられたんじゃないだろうか。
(12:17)
観音堂に到着&お参り。
右手前にいる坊主が納経所の位置を指すのですぐ裏手にあるのかと思いきや、どうやらちょっと坂を上って池を越えた向こうにあるらしい。
さも近くにあるかのような案内をする坊主はなんなんだ。
(12:18)
池の水が凍ってる……。
この土手を歩いた先に納経所があります。
駐車場から山門、観音堂、池、納経所と土地の広さを活かした大胆な配置でした。
【26番 萬松山 圓融寺 (ばんしょうざんえんゆうじ)】
(12:29)
ちょっと走って秩父鉄道の向こう側へ。
頻繁に乗り降りしているからそこまで意識していなかったけれど、ぼんやりトコトコ走るにも気持ちよさそうな天気です。
こんな天気が二日連続とはついている。
(12:38)
26番です。気付けば残りの札所も10を切っていました。
ここは……ちゃんとお参りは済ませたし記憶にもあるのですが、いかんせん印象が薄い。
新しくて小奇麗なお寺でしたが、だからこそさっぱりしているだけで、26つ目とそこそこ数重ねてきたのも相まって特筆できる点が正直それほど無い……。
よって写真も少ない……。
【27番 龍河山 大渕寺 (りゅうがさんだいえんじ)】
(12:49)
住宅街の路地をうねうね走った先にあります。
山のなだらかな(秩父基準)斜面が境内で、納経所は入ってすぐ左手にありますが、観音堂は石段を登った先。
(12:50)
斜面の向きのせいか、昼間なのに全体的に薄暗いです。
毎度のごとく納経所で御朱印帳を出すと、
「この後28番には行かれますか?」
「??? はい、そのつもりです」
「じゃあ28番もまとめて捺しておきますねー」
「……あ、はいお願いします」
「ここから車で10分くらいのところですから行ってみてください」
「(御朱印だけ貰って札所には行かないと思われてるのかな……)」
この会話をするまですっかり忘れていましたが、28番は冬季は無人になるため、ここ27番が納経所を兼ねているのです。
(13:00)
秩父鉄道を跨ぎ次へ。
30番台は明らかにというか別次元で距離感があることは地図で事前に把握していたのですが、この次からだんだん立地が怪しくなってきます。
【28番 石龍山 橋立堂 (せきりゅうざんはしだてどう)】
(13:03)
途中林道っぽい舗装の山道を抜けると、歩行者向けの看板で左の坂を上れという指示が。
駐車場が遠そうな気配がしたので歩行者向けの方に突っ込んでいったら、その道は最後が階段になっていてバイクは立ち往生でした。
駐車場も札所からそれほど離れていないようなので、おとなしく駐車場へ行くべきでした。
帰りがけ、狭い坂道で車体方向を転換させるのきつかった……。
(13:07)
風情のある石段の上に観音堂。
このすぐ左手に納経所があります。
(13:07)
つまりはそういうことだ。
鍾乳洞(有料)もあるようで、そこが営業している時だけ納経所もやっている模様。
(13:11)
鍾乳洞があるだけに、寺の背後は断崖絶壁。
車の駐車場の方にお茶屋さんっぽい店がありましたが、営業はしていませんでした。
(13:18)
戻る道の途中、林道の入口で振り返って一枚。
2番へ行く時以来の林道っぷりだったので、えっここ通るで合ってるよねと一瞬たじろぎました。
トップシーズン時は混雑するのか、この林道の入口手前に広い(けど有料の)駐車場があります。
【29番 笹戸山 長泉院 (ささどさんちょうせんいん)】
(13:24)
札所巡りでありがちだった駐輪スタイル。
だだっ広い砂利の駐車場の道路に程近い部分に出やすいようにぽつん。
駐車場は寺の斜向かいにあります。
29番は浦山ダムのそば。
浦山ダムは堤の高さやダム湖の大きさでもかなり大規模なダムでありながら、国道から逸れてちょっと行けば着くため、観光としてはおすすめの場所です。
が、今回は後がつかえているのでスルーします。
(13:26)
ダムの近くながら平地部分に位置し、境内はそこまで広くありません。
(13:26)
これが観音堂。
柵越しに堂内へ顔を突っ込んでみると、お寺特有の線香とかその他色々の混じったいい香りがしました。
御朱印を貰って次へ進みます。
(13:44)
国道140号を山梨側へ進み、道の駅あらかわの入口も通過。
秩父鉄道白久駅のあたりで左へ逸れて、そこからぐいぐいと山を登ります。
林道っぽくはなく比較的綺麗な舗装路ながら、なかなかの勾配やトンネルを経て30番へ。
【30番 瑞龍山 法雲寺 (ずいりゅうさんほううんじ)】
(13:48)
最後はこんな道を登ってきました。
スマホがギリギリ圏外にならないようなそんな場所。
(13:49)
道はずっと走りやすかったものの、だいぶ上ったため明らかにさっきより寒い。
夏はいいだろうなー。
街中を巡った後にこんな山奥の寺に来られたら気持ちよかっただろうに。
(13:50)
しっかりと手入れされた中規模な庭を抜けた先に観音堂があります。
というか、池の表面凍っていた。そら寒いだろうって。
納経所に寄ったら無人でしたが、インターホンを押したら人が来てくれました。
隣の一軒家から、専用と思われる渡り廊下を伝って。
混雑期はもちろん色々面倒でしょうけれど、閑散期はこれはこれで申し訳なさMAXになります。
(14:04)
白久駅まで戻ってきたよの図。明らかに暖かい。
バイクだと剥き身かつアップダウンを高速で移動できるので、こういった気温差や山間に入った時の匂いとか湿度の違いとかにも気付けるのが楽しいところ。
【第三章】2日目前編 ~終~