出かけた時から帰り道

バイクや車やフェリーや列車や飛行機や自転車による全国(時々海外)の旅行記群、分割日本一周の記録です。VTR-F乗り。(子育てのため長期旅行お休み中)

富士山麓ツーリング570km【4終】




【第四章】タイヤ痕、交通安全、眠気



田貫湖を発ち、県道414号→県道72号を経ていよいよ富士山スカイラインへ。

前日は富士スバルラインから五合目へ到達しましたが、こちらの道も富士五合目へと通じる道にアクセスできます。

しかしこの時期は五合目へのマイカーの進入が規制(≒禁止)されているため、その道には入らずに標高1500mあたりからそのまま富士山の東側へと抜けていきます。

……マイカー規制の適用時期だと知らずにこの道をチョイスしていたことは、ここだけの秘密だ。


富士山スカイラインは道中富士山の山頂方面を拝めるタイミングがほとんど無く、ひたすらに登りながら山道(といっても路面やカーブといった道路環境は良い)を抜けていきます。

バイクだけでなくわりかし4輪の自動車も多く走るため、途中で停めて写真をーという余裕がなく、道中の写真はありませんごめんなさい。


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ということでほぼ一時間後。
裾野の西側=富士宮市と東側=御殿場市のほぼ中間地点に位置する水が塚駐車場に到着です。
標高は約1450m。富士山は相変わらず雲で見えない。

5合目へのマイカー規制が行われている間でも、ここから有料シャトルバスが出ているので、乗り物で5合目に行くこと自体は可能です。


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5号目行きのバスに乗る気のない人が駐車場に入るとこんなのを渡されます。
一時間以内ならタダだけど、それを過ぎたら金取るぞ、と。


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周りにはごついバイクをお持ちのベテランライダーさんたちがいっぱい。
コミュ障初心者ライダーの僕には落ち着きようのない空間なので、トイレだけすませてそそくさ離脱しました。


水が塚駐車場からの道は下りが中心。
エンジンブレーキを多用しながらトロトロと坂をくだりました。
曲がりきれなくなりそうなことが多いから、カーブは登りよりも下りの方が怖いんだ。


坂がなだらかになってくると御殿場市街地。
走りやすい道はしばらくおさらばです。
御殿場中心部を南東方向へ突き抜けて、県道401号線に入ります。

あっという間に周囲を山に囲まれ、道幅は狭く急な上り坂に。
これからの行き先はそこそこメジャーな道路なのに、それを思わせない険しさ。


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ところが、道がちょっと広くなったとたんにローリングのタイヤ痕がたっぷり。やはりこれから行く道はそういう道である。


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箱根スカイラインといいます。
写真は料金所を抜けて振り返った図です。

芦ノ湖の西側の尾根を走る総延長約5kmの有料道路です。
バイクは250円。普通車360円よりもお得。


箱根スカイラインの終着点である湖尻峠からは、芦ノ湖スカイラインに接続します。
延長10.7km(今回走らない湖尻線を含む)、二輪の通行料金は260円。
ちなみに普通自動車は620円。高いね。


つまり御殿場から箱根へ抜けるこのルートではそれぞれ別組織が管理する2つの有料道路を走るわけですが、感覚としては料金所が増える程度の差しかないのであまり気にせずご紹介。


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箱根&芦ノ湖スカイラインはアップダウンとワインディングをひたすら繰り返す。
途中で左や右がしばしば絶景になります。


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駐車場があるたびに停まっては写真を撮っていくスタンス。


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芦ノ湖を眼下に望む。


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いい感じに構図に入れましたが、僕のバイクではありません。
僕のはこっちです。


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ここに来るとさすがにバイクがいっぱいいます。
基本的に皆さん僕の250ccよりはデカい排気量ばかりなので肩身が狭い。
走っていると気付いたら背後に迫っていて、慌てて道を譲る感じ。


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そして広い駐車場にはやはりドリフトのタイヤ痕。


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富士山の模型の上にはアライグマ。

それにしても革ジャンだったりライダージャケットだったりで本格的装備に身を固めたライダーさんが多い……というかそういう人しかいなくて怖い。
こちとら昨日立ちゴケをしたひよこライダーです。


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この開放感伝わるだろうか。
箱根峠寄りの最後の駐車場から脇にある丘を登ると、こんな景色が360度パノラマになっているんです。


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そして峠に響くエンジン音。
スカイラインにはガチなレーサーのツナギを着てヘアピンを攻めている人もちらほらいます。
そういう人は、料金所手前の駐車場でぐるっと引き返して来た道をまた攻めて行きます。
……そうか有料道路だからパトカーいないんだな……。


最後に寄ったこの駐車場には食事もできる売店があります。
レストハウス・レイクビューというそのまんまの名前ですが、ここには


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ヤギもいます。


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小倉ソフトもあります。うめえ。


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お店と、そのバックに見える頂が先ほどの360度パノラマの丘。
納車1週間後の250ccおこちゃまライダーが来るにはちょっと肩身が狭いけれど、別にお断りされるわけでもなく楽しい場所です、箱根&芦ノ湖スカイライン


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プロテクターのベストとヘルメットを吊るされた愛車。
ジャケットにパットが内蔵されていない服装はサマにならないことが多いけれど、休憩時にさっと脱いで過ごせるのがいいところ。


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ということで2つのスカイラインでした。

この料金所の手前には、車で走ると曲が聞こえる路面(メロディライン)があるのですが、やはり2輪には聞こえないので関係ない。



芦ノ湖を左手に見ながら到着したのは箱根です。
この場所には最近冬場にしか来たことがないのでちょっと違和感を覚えつつも、箱根といえば寄っておきたかったのが、


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箱根神社
山の中腹に駐車場があるので、元箱根から歩くよりもあっさり本殿の前に着いてしまった。


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交通安全のお守りを購入。
立ちゴケしませんように(切実)

以来ずっとバイクのシート下にお守りを入れていますが、今のところそれから立ちゴケをしていないのでこれぞご利益と確信しています。


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参拝を済ませたらとっとと箱根を離脱して海を目指します。
走るのは県道20号。箱根と熱海を結ぶ道です。


箱根と熱海といえば、住んでいる場所から見て同じ西側にあっても、なんだか全く別の行き先のように思えていました。

そういった場所は他にも各所に沢山あったのですが。
車の免許を取って以来、道という道を移動できるようになり「あっ、こことここってこんなに近いんだ」という類の発見の連続。ドライブやツーリングの楽しさのひとつとして間違いなくあると思います。

特に今回は奥多摩から甲府盆地から富士山周辺から熱海まで、そういった場所を思いきり縦断する旅になっているのです。


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有料道路まつり。
しかし僕はまっすぐに県道を進みます。


箱根から熱海にかけての県道は道幅がスカイラインよりも広く、のんびり走ることができます。
ただし両脇はひたすらに茂っていて、景色はあまり望めない。


……そして眠い。

ここに来て、スーパー銭湯でろくに睡眠を取れなかったツケが回ってきた。


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十国峠に到着。その辺のSAよりは広大と思われる広い駐車場と大きなレストハウスがあります。

十国峠というのは名前の通り、伊豆・相模・駿河遠江・甲斐・信濃・武蔵・下総・上総・安房の計十国が見渡せることからの名前だそうです。


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レストハウスに隣接したケーブルカーでそんな見晴らしのいい頂上まで行けるようなのですが、「どうせ曇ってるからよく見えないだろうな……」ということで断念。

……実際のところ、眠くてそんな余裕が無かった。

レストハウス内にゆったり座れるソファなんかがもしあったら確実に仮眠を取っていたレベルには。
眠さが危なさに直結することは百も承知なので、すなわちなんかもう帰りたくなってきていた。

熱海に出たらあとはまっすぐ帰路につく予定なので、2日間かけての大きな周回とはいえ、現時点で旅は帰り道となりつつある。
長距離移動の一人旅では、帰路についたとたんにさっさと帰りたくなるのは最早お決まりである。


十国峠から熱海までは直線で5kmもないくらいの距離。
もちろん盛大な山下りがあるのでまっすぐ行けるわけではありませんが。

熱海は山を背にした海沿いの町で、土地にもそんなに余裕がありません。
市街に入ってしまうと、すっとバイクを寄せられそうな道や広い駐車場を備えたコンビニが見当たらず、ほとんど写真を撮る余裕がありませんでした。もちろん体力的にも。


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ということで撮ったのはこれだけ。
以前1泊2日かけて東京~熱海を自転車で往復した際にお世話になった、「旅荘天城」です。

ここで写真を撮ることで、帰り道の所要時間を自転車のそれと比べてみようという魂胆。
自転車では8時ちょっと前に熱海から出発しているので、だいたい7時間遅れでのスタートとなります。よーいどん。


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自転車の時はあれだけ一喜一憂しつつ苦労したアップダウンをやすやすとクリアしてゆく。
上り坂なんてむしろ快感なくらいで、後ろ向きにかかる重力をスロットルをひねることで引き剥がしていく感触はたまらないのです。


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今回も県道740号へ突入します。
国道はそこそこ交通量が多いので、県道の方が多少距離が長くてアップダウンが多かろうと時間に差もなく何よりストレスが溜まらないだろうということで。

さくさくっと高いところまで上りきり小田原入りへ。


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あの時も撮ったこの場所で一枚。
自転車では宿のあたりからここまで1時間強掛かっていますが、バイクではその半分くらいの時間で来ています。

国道にはない数々のワインディングをぎゅいんぎゅいんと曲がり、あっという間に国道へと戻る地点まで。


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ここまで来ると小田原はすぐ(バイク基準)。
そうすれば自宅まではずっと都市部を走ることになります。
……何が言いたいかというと、この先ほとんど写真がありません。


ここからの道は、

自転車でも走ったんだし地図見なくても行けるだろー!

と思っていたら、


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鶴川街道に入るべき部分で見事に自分の現在地を見失い、適当に北に向かって走りました。
当初のペース的には、ちゃんと地図を見ていたらとうに帰宅しているはずだった……。


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19時36分に神代植物公園の前を通過。20時前後には帰宅することができました。


<熱海→東京への移動時間比較>
自転車 08:00頃出発~17:30頃到着(約9時間30分)
バイク 15:15頃出発~20:00頃到着(約4時間45分)

バイクすごい!







そんなわけで、奥多摩~大菩薩ライン~富士五湖~スバルライン~朝霧高原~富士スカイライン~御殿場~箱根~熱海~東京という、バイクを買う前は想像すらしなかったルートによる壮大な旅でした(個人の主観による)。


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2日間の走行距離は569.4km。
それまではバラバラに認識していた土地を地続きに感じることができて楽しかったです。何より走ることそのものが(まだおぼつかないなりに)楽しかったです。


立ちゴケをかましまくった初日の午前中にはどうなることかと思いましたが、それ以来アクシデントもなく、曲がったブレーキレバーは新しいものを買って付け替えました。

運転に余裕を持てるようになった頃にもう一度同じ道を走ってみたいですね。心ズタズタで走った大菩薩ラインは、それはそれは人里離れた不思議な場所です。


あと、富士山ですが、個人的にはそのものを登るよりも「富士山の見える景色」の方が好きでした。
麓から伸びるワインディングを走るのも良いですが、富士界隈では朝霧高原が最も印象的だったのは、その辺が理由になると思います。

バイクを買ってから初めての旅らしい旅でしたが、車窓越しからは味わえないダイレクトな風景とスピード感は格別でした。


以上、最後までありがとうございました。


旅行期間 2015.9.4~2015.9.5
旅行記完成 2016.1.4


【第四章】御殿場→東京編 ~終~