自転車東京湾一周210km【2】
【第二章】千葉
【大陸CHIBA】
(12:00)
幕張ICに差し掛かったところで、県庁所在地に突入でございます。
途中習志野市も通過しているはずなのですが気付かなかった……。
この時点で既に4時間ほど自転車を漕ぎ続けていることになります。
さてさて、この辺りからちょいちょい出現するのが
(12:01)
こういったお城の数々。
高速道路そばで市街地もまばらだからか分かりませんが、この先千葉県内の沿道ではしょっちゅう建物や看板を見ることになりました。
と、ここまでコースの紹介ばかりをして来ましたが、改めて自転車を漕いでいるという側面について。
たかをくくっていたとはいえ長時間の勝負になることは火を見るよりも明らかだったので、基本的に呼飛は一時間漕ぐ→5~10分休むを繰り返しています。
場所は沿道のコンビニやデパートです。
ちょうど千葉市に突入した今ぐらいが正午な訳ですが、それなりにエネルギーを消費することをしておりますゆえ、昼食的なものは10時台に一度済ませていたりします。そしてこの後もちょいちょい買っては食ってを繰り返します。
また飲み物については2リットルの水と1リットルのスポーツドリンク。重いかなと思ったのですが、リュックとして背負って自転車を漕ぐ分にはあまり負担になりませんでした。
当初からの懸念事項は日差しの強さでして、キャップは最初からかぶっていたのですが必要とあらばサングラスの類も買おうと思っていました。
が、曇り気味だったために購入することもなく。
ただ、用意すべきだったかもしれないと最後まで割りと苦労したのがグローブ。
ハンドルのグリップで手のひらが痛くなるんです。特に段差が多い道などは。
ということで、たとえ素人チャリンコの旅でも5時間以上になる場合は検討することをお勧めしますサイクルグローブ。
しかし結局僕は買いませんでした(沿道で売ってなくはなかったけれど高いのしかなかった)。
(12:05)
給油給油給油ぎゅうどーん。
この辺りからは、ただひたすらに広大な土地が続きます。
(12:21)
歩道も広いし場合によっては自転車道も用意されているしで走る環境としては申し分ないのですが、いかんせん景色がだだっ広くて心が折れる。
しばらく漕いでは沿道のイトーヨーカドーやドンキホーテに入り休憩するというのを繰り返していました。
1時間程度に1回にしていた休憩もここから2~3時間は3・40分ペースだったことも考えると、精神的に一番やられていたのはこの辺りかもしれない。
漕ぎ続けて大分時間が経ったというのもそうなんですが、位置的にもモチベーションが維持しづらい訳ですよ。
まだ往路で、折り返し地点(東京湾フェリー)が近い訳でもなく、心折られる木更津までの距離表示。
木更津といえば東京湾アクアラインの千葉側の起点ですが、東京湾フェリーってのはそれよりもずっと奥ですからね。
ちなみにアクアラインは自転車通れません。
正直船橋越えた辺りから「何でこんなことしてるんだろう」感が頭の中にあったことは否めない。
(12:23)
呪いのように付きまとう木更津の字。キャッツ! ニャー!
それにしても、こうして写真とその撮影時刻を並べてみますと、
「この写真とこの写真の間って○分しか経ってないのか体感もっとあったぞ」
っていう感じのが今のところ頻出なのですが。
なんなんだろうね、長いこと写真を撮らなかった部分は気でも失っていたのかね。
高速道路と交差する関係で陸橋になって、ちょいちょい国道14号から逸れざるを得ない部分もありますが、脇に遊歩道的なものがあった為特に困らずにクリアして行きます。
が、基本的に車道を走った方が楽なので、陸橋でも自転車のまま行けそうなところは極力行ってしまいます。
歩道よりは車道が楽というのは実は都内を走っていた時からそうでして、その理由は
・歩行者を避ける必要が無い(背後からの自動車の追い抜きを気にする分には速度の調節が殆ど要らないのでスムーズ)
・路面が走り易い(たいてい歩道の方がアスファルトが荒くて同じペダリングでも速度が出ない。また車道は段差も少ない)
・歩行者が歩道橋で渡らなければいけない所も車両扱いでそのまま車と一緒に手早く渡れる
などなど。でも車道は車道で危険が多いので注意は必要。というか注意力を維持する為に小まめな休憩が必要。
(12:47)
という話をした後ですが思い切り歩道を走っている図。前方の橋は稲毛陸橋というそうです。
土地が広大だからか分かりませんが、千葉市から市原市にかけてのエリアが一番、
「これだけ漕いだのに地図ではこれしか進んでねえ……」感がありましたね。
(13:40)
市原市に入りました。
ほら、だんだん写真のスパンが広くなってきましたよー。
市原に突入してから少ししたところの青看板では、
館山 85km
木更津 31km
よっしゃー遠いぜー。
市原よりも少し手前から国道14号の道なりは国道357号に名前を変え、やがて国道16号となります。
この国道16号線、沿岸部を走り工場地帯の真横を抜けていくので景色としては楽しそうではあるのですが、海岸に沿って走るため多少の遠回りとなってしまいます。
そこで、特に下調べしていた訳でもないのですが16号よりは多少内陸部を抜ける県道24号を選択しました。
今振り返るとこの県道24号、小刻みに結構くねくねしておりまして。
それよか多少遠回りっぽく見えてもずどーんと通ってくれている国道16号をそのまま走ればトータルの走行距離としても走り易さとしても楽だったんじゃないかと思う訳ですが……
もう遅いですな。
(14:12)
恐らく養老川を越えているところ。遠くに工場地帯が見えます。
(14:12)
うぇるかむとぅーちば。今更だぜ。
そしてこの県道24号、歩道が独立して設置されておらず道幅としてもやや狭いため高速で抜けるのはなかなかにデンジャラス。
やっぱりそのまま16号の方が(ry
(14:21)
この青看板はやたら地名が可愛い。しかし姉崎はどう行けばいい。
(14:33)
よく見ると変なのがいっぱいいる石材店。
さて、ここからは今自分が南関東にいることを疑わせるような光景が続きます。
国道ではなくそれと並行している細い県道を選んで走っていたせいもあるかもしれませんが。
(14:44)
ほうら。
奥の線路は内房線。ずっと奥には沿岸の工場が見えます。
工場の煙突の中には炎を吐き出しているものもあってそれなりに見ごたえがございます。
わりかし直線に近い道を黙々と漕ぎいでいるにもかかわらず、地図で確認してもさほど進まないもどかしさは相変わらず。
(14:54)
聞いてくれるなよ。
この写真の場所は恐らく内房線長浦駅の手前、市原市から袖ヶ浦市に入ったところではないかと思われます。本人ももはや気に留めておりませんでした。
写真の通り東京湾岸とは思えない道を走っていた訳ですが、内房線長浦駅にきて千葉も首都圏の意地を見せてくれました。
駅前にホテルオークラがあったんですよ。
(14:58)
ほうら。
このホテルオークラ発見から30分と経たないうちに袖ヶ浦市とはおさらばし、次の市へと突入します。
次はあの木更津市です。
アクアラインの延長上の高速をくぐった先の青看板には、もう既に木更津の表示はありません。木更津 is here.
こうしてまとめてみるとさくっと木更津市まで突入していますが、千葉市原あたりで木更津までの距離表示を見つつ「俺はその奥へ行くんだぜ……」とブルーな気持ちになったこと数知れず。
そしてこの辺りから房総半島の最前線「館山」までの距離が青看板上でリアルな数字となってきます。
が、それよりずっと手前の富津市内で千葉県は終了なので、幾分心を折られる原因とはなりません。
しばらく県道を走ってきましたが木更津市内でついに国道16号線に合流。
間もなく国道127号線と名前を変えるこの道を、あとは何も考えずフェリー乗り場までひた走るのみです。
の前に、その合流地点にあったニトリ木更津店さま。買う気なぞ更々ありませんでしたが休憩がてら座椅子を10分ほどお借りしましたすいませんありがとうございます。
さて国道127号、さすが国道は道幅も広く走り易さも圧倒的です。この辺りから極端に車通りが減ってきたというのもあります。ちなみに市街地を除けばラブホとその看板もやたら目にします。
(16:08)
疲労困憊ながらもこの看板にはびっくりして自転車止めた。
そして前の写真からさくっと一時間以上経過していることにもご注目頂きたい。
写真の病院名からも分かるとおり、ここからは
(16:18)
君津市に突入です。あの病院はなぜかフライング気味に木更津市内にあった。
道幅は広くて漕ぎ易くはあるのですが、緩やかな山あいの場所を越える為の長い上り坂が何度もあって、じわじわHPを削られていきます。
(16:28)
マザー牧場とか人力で来る場所じゃないよ。
この時既にこのチャリンコで最も重たい7速はおろか、6速で漕ぎ続ける脚力もありませんでした。
6速で漕ぎ続けるのは辛いなーと思いながらハンドルを見たら、5速だった。
しんどいながらもどうにか漕ぎ続けられるのが4速。もちろん、ろくに速度は出ていない。
何度目か分からない緩やかで長い上り坂の途中で、ついに自転車を降りて歩きました。
ところが歩いてみると予想以上に遅い。
フェリーの最終便は19時30分ですが、それに間に合うのか、そもそも乗り場まで辿り着けるのかという不安がよぎります。
道沿いに内房線が通っていることには通っていますがいかんせん駅間も長い。
というか海を渡ることもなく引き返すなんて一体。
そんなことを考えつつ、
「とりあえず神奈川まで自転車で行く」
を目標に再び自転車に跨りました。
神奈川に渡った後は駅前に自転車置いて電車で帰るなり(=リタイア)したとしても、とりあえずフェリーには乗るべって事です。
(16:40)
休憩がてらの一枚。
自転車の右にあるポールには館山まで45kmとの表示が。
いつの間にか道幅は狭くなっていき、道の両脇も田畑などの平地というよりは山が多くなります。
(16:46)
また上り坂ですよ。
(16:47)
そして初の歩者未分離なトンネルに臆する(小山野トンネル)。
後日調べた事ですがこのトンネル、1990年に何の前触れもなく崩落事故を起こしているらしい。
人身事故にはならなかったものの、現役の国道トンネルでは前代未聞の事故だったらしい。
ここの崩落を受けて国は全国6000のトンネルを緊急点検したのだとか。
ちなみにこの国道127号線、トンネル街道として知る人の中では有名で、この小山野トンネルはその中でも最北端に位置します。つまり東京側から見たときの先鋒です。
そしてこのトンネルを抜けますと、
(16:49)
富津市に入ります。
ちなみに「ふっつ」と読みます。
フェリー乗り場があるのは富津市の金谷という場所。ついに千葉県最後の市に来ました。
あえてトリミングを行わなかった上の写真を改めて見て頂きたい。
通行帯である道路の左側から収めた、もはやまともな構図を撮りに行く姿勢もない一枚である。
相変わらずの山道で相変わらずアップダウンのある国道127号ですが、それでもペダルは多少軽くなりました。
自転車がその効率性をモチベーションに大きく左右される乗り物であることを知った瞬間である。
(16:53)
俗に言う富津のルーブルである。(嘘
そして待ちに待ったものを目にする。
(16:55)
ふぇりいいいいいいい!!!
看板だけどおおおおおお!!!!
まだ16kmもあるらしいけどおおおおおお!!!!
しかし現時点で自宅からここまで100km程は漕いで来ているのである。
一本道で16kmなら気分的にはどうってことない。富津市に入ってからモチベーションは上がる一方である。
ところで富津といえば、東京湾に大きく張り出した富津岬というのがあります。岬の一帯は公園になっているらしいです。
企画前夜までは「体力的に余裕あったら寄ってみよー」とかのたまっておりましたが、船橋あたりで既にそんな気は全くございませんでしたとさ。
(16:56)
行かねえってば。
富津に入った先というのは正直そこまで記憶にない……。
いかにも古い国道らしく歩道が狭いところもあれば、新しく整備されたらしく歩道も車道ものびのびしているところもありました。
(16:59)
右を見ればはるか遠くに東京湾観音。
近くのトンネルが有名な心霊スポットなんだとか。
さて、ここまで一応ずっと海沿いを走っているのですが、なかなか海らしい海というか海面そのものを目にしないままここまで来ております。
地図と照らし合わせてみればもうすぐ本当の海辺を走る道になるんだけどなーと思いつつ漕いでおりますと、何度目か分からないなだらかでロングな上り坂に心を折られます。
坂の途中に神社があったので、そこで一度休憩を挟むことにしました。奥の方に上り坂の終わりが見えて、その向こうは下り坂なんだろうなと思いつつもそこまで行く体力が無い。
その神社は斜面に建っていて、いくら神社好きの自分でもこのコンディションで石段を登って見て回る気力なんてまさかあるはずも無く。
鳥居の脇のガードレールに座りながら持っていたカロリーメイトでエネルギー補給をしていると、近所の方々と思われる人が次から次へとその神社に車で訪れてくるではありませんか。
(17:12)
水が有名らしい。
本当に立て続けに水を汲みに来るもんだから、なんだか怖くて神社そのものを撮ることができなかった。
疲れからか本当にそうだったのか分かりませんがだいぶ怖かったなーと思いつつ、休むのもそこそこに再出発。
このあたりの長く緩やかな上り坂にもだいぶ心と体をやられました。
フェリーまで○kmという看板だけを心の支えに漕ぎ続けるものの、なかなか次の看板が現れない。
そして現れても大して距離が縮んでいない。
ここまで来ると自転車のギアも6速では重くて漕げない。
奴が現れたのは、体力的にも完全に消耗戦モードに突入したと思ったその時でした。
(17:33)
両脇に木が生い茂る道の右側が急に開けました。
自分で勝手に始めたとはいえ精神的に大分やられていたその時の自分にとってはかなり衝撃的な光景でした。
いつの間にか海辺を走っていたのです。
自転車を止め、写真を撮り、しばらくその場で呆けていましたとさ。
(17:34)
その後も自転車を漕ぎながら海辺を走り続け、はるか遠くの向こう岸を眺めながら「あの辺はもう走ったのかなー」だとか「フェリーはあの辺に着くのかなー」だとか考えていました。
漕ぎ始めて10時間。ようやく目の当たりにした海に、気付けばペダルを漕ぐ足も軽いです。
道は本当に海辺を走っているのですが、海岸はかなりの急斜面らしく海面が低い。
→しかし自分はこれからフェリー乗り場(海抜0m)に行くはずである。
→ということはこの先はトータルでかなりの下り坂である。
という事実に気付き、気分的にもかなり助けられました。
アップダウンや急カーブやトンネルも調子に乗って(本人主観では)さくさくとクリアして行きます。
(17:35)
記念撮影。
ここでついでに自転車の運転環境を改めてご紹介致します。
基本的に荷物は全てリュックに入れて背負っています。
ただし地図は自転車のカゴに入れて、信号などのふとした拍子にもすぐ道を確認できるようにしてあります。
カゴで長時間揺さぶられていると表紙とか縁の部分はそれなりにダメージを受けてボロボロになりますがまあ気にしない。
そして、些細なシャッターチャンスを逃さない為にもハンドルにはカメラのケースを装着。
(17:35)
これがコックピットだ。
……とかいう写真を撮るぐらいの余裕はこの時点で出てきている。海の力すげー。
ここから先は地図上でも実際の景色の上でもずっと海辺を走ることになります。
海沿いの景色は単調じゃなくて楽しいなー。同じ高速でも東海道より中山道の方が居眠り運転の事故件数が多いことも納得である。
(17:36)
なんかもうちょっとそれっぽい名前は無かったのだろうか。
しばらく進んでいくとマリーナもぽつぽつと現れてきて、それなりに人里っぽい感じが。
(17:44)
とか言った矢先に歩車分離のトンネルだわーい。
(17:45)
わーい。
(17:50)
天然記念物だってわーい。
海沿いはやはり景色の変化に富む。楽しい。
フェリー乗り場までの道のりも秒読みのはず。目指すは18:20発の便です。
(17:58)
もうすぐ18時になるけどフェリーに間に合うのかなーというところでの一枚。
インターナショナルさは射撃という部分にしか感じられない。
【第二章】千葉 ~終~