出かけた時から帰り道

バイクや車やフェリーや列車や飛行機や自転車による全国(時々海外)の旅行記群、分割日本一周の記録です。VTR-F乗り。(子育てのため長期旅行お休み中)

船と原付で行く新島【3】新島ガラスアートセンター・新島ガラスミュージアム・シークレットポイント

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これまで伊豆諸島の島を各個撃破してきている訳ですが、今回行先として新島をチョイスしたのは、「新島ガラスが欲しい」というのが主な理由でした。

新島でガラスの原料として用いられる「コーガ石(抗火石)」は、ガラス質の軽石の一種。国内では新島と隣の式根島、さらに隣の式根島、そして伊豆半島天城山でしか産出されません。現在ではここ新島と天城山だけでしか採掘されておらず、世界でもあとはイタリアのリーパリ島のみが採掘地なんだとか。要するに珍しい原石だということです。

ちなみに渋谷のモヤイ像も新島産のコーガ石。あれは新島の東京都移管100年を記念して贈られたそうです。

抗火石 - Wikipedia

モヤイ像 - Wikipedia

新島での推定埋蔵量は10億トン。……多いのか少ないのかよく分かりません。

神津島やここで見た白い砂浜はコーガ石由来なのでしょう。そうであれば、伊豆諸島で白い砂浜を見られるのは神津・式根・新島の3つだけということ。

 

新島ガラスアートセンター

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(15:21)

島に来て早々に浸かりに行った間々下温泉のすぐそばにあります。村落の中心部を通過し、ちょうど新島を一通り一周してきたことになります。

なんと、これから、ここで、ガラス体験をします。

新島ガラスアートセンター

niijima-info.jp

www.niijima.com

おひとり様税込2,620円。たったそれだけでガラスを吹いてコップを作る体験ができます。グーの手形を取る体験もあります。いずれも作ったものは持ち帰ることができます

基本的には要予約。船や宿と同じタイミングでガラスアートセンターに電話を入れて予約しました。電話した時の情報ではガラス体験は午後13:00~15:30スタートで受け付けているようです(うろ覚えなので委細は直接お問い合わせください)。僕らは最初からどっぷり原付で走り回るつもりでいたので、ギリギリ遅くのスタートにしました。

ちなみに毎年10月頃に「新島ガラスアートフェスティバル」なる国際イベントが行われるのですが、その準備期間には炉がいっぱいで体験ができないことがあります。

アートセンターに入り、事務室の前で名前を告げ、ガラス体験の参考VTRを眺め、いよいよ工房へ。

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(15:40)

作品が展示されている館内は撮影禁止なのですが、なんと工房内では撮影許可が。わあああい!!

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(15:40)

厳正なるジャンケンの結果、友人Iが最初に体験することに。この後続いて僕が体験するのですが、僕自身の感想も交えて手順をご紹介します。

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(15:43)

まずは、鉄パイプ(?)の先に取ったガラスを吹いて膨らまします。ガラス作りではお馴染みの光景。最初は意外と息の圧が必要ですが、いったん膨らみ始めるとすんなり息が入っていきます。風船と一緒ですね。

事前にどんな形状に仕上げたいかを聞かれますが、背が高めで実用としてはやや大きめなグラスが標準型です。ウイスキーを飲むような低めの背丈になってくると加工が難しいらしく、体験としてはできないそう。

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(15:47)

台の上で棒をコロコロしつつ、でかいピンセットでグラスの口になる部分を形作ったり、また吹いて広げたり。

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(15:50)

板を当てて底をつくります。

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(16:06)

反対側から吹き竿を当てて、最初からくっついていた方を外します。竿から外すときは水を垂らして温度差でヒビを作り、竿を叩くと狙い通り綺麗に割れてくれます。

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(15:54)

残した方の吹き竿に持ち替え、割ったことで開いた口を広げて形を整えます。これがなかなか難しい。いや最初からずっと難しいんですが。基本スタッフさんが付きっきりで万全のフォローをしてくれるので、不安な方でも問題なく体験できると思います。スタッフさんの「さも体験者がちゃんと出来ているかのようにやらせてくれる」具合がすごいです。スタッフさんの技術力すごいです。

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(16:10)

口がぐにゃんってなってもスタッフさんの技術力で意外とどうにかなります(他力本願)。

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(16:10)

形ができたら竿とガラスの接点の部分にまた水を垂らし、竿から外します。ここからはスタッフさんがやってくれました。いや実は最初から8割くらいスタッフさんのおかげです。素人がこんな順調に行くはずないもの。だけど超楽しい。

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(15:57)

ヒビを入れて外した継ぎ目部分を(スタッフさんが)バーナーであぶって平らに。これで完成です。実際にあれこれ手作業をしている正味の時間は20分といったところでしょうか。公式では前後の時間を含め体験時間30分となっていますが、他にも見るものなどもあるので時間は多めに見ておきましょう。

先述の通り、この体験で作ったものは持ち帰ることができます。が、作り終えた時点ではガラスの温度はまだ数百度。これを割れないように常温までゆっくり冷やすのに一晩かかるので、翌日受け取りに来るか後日郵送してもらうかを選びます。我々は明日の昼まで島にいるので、翌朝受け取りに来て自分たちで持ち帰ることにしました。

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できあがったのがこちら。底が小さくちょっと座りが悪いのですが、日の当たるところでは綺麗な緑色に透けるので、思い出補正も相まって置いておくだけでも満足。ガラス体験は元々かなり期待していたのですが、見事に期待以上の楽しさでした。

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(10:38)※翌日撮影

時系列はごっちゃになるのですが、ガラス繋がりで「新島ガラスアートミュージアムも併せてご紹介しておきます。こちらは翌日、作ったグラスを受け取りに来た時に立ち寄りました。ガラスアートセンターのすぐ隣の建物です。

なぜ翌日にしたかというと、ガラスは太陽光ありきの展示のため早々に閉館してしまうからです。ガラス体験後、一応開館時間には間に合ったのですが、明日改めて来ることを薦められその通りにした次第です。

館内は撮影禁止なので写真はありません。ミュージアム入場料300円。ぶっちゃけ瞬殺で見終わる展示数ですが、年に一度行われる「新島ガラスアートフェスティバル」開催時の映像を見せて貰えます。さっき自分たちがいじっていたのと同じガラスとは思えない職人技のVTRが見られます。展示を見ながらテレビの前まで辿り着くと、係の方がリモコンを操作して再生してくれます。

ちなみにミュージアムにはショップが併設されており、入場料を払わずに買い物が可能です。

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ミュージアムで購入したガラス製品と一緒に後日撮影。ガラス製品は薄く作られたものの方が重宝がられます(=職人の技術力が高い)。同じ値段の同じデザインなグラスでも、作り手によって薄さやバランスが違ったりするので買う時には少し迷います。

ミュージアム売店は、新島ガラスの品ぞろえとしては見たところ島内随一。ここ以外ではすぐ隣のガラスアートセンターが2番目、3番目は新島港の売店です。

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(15:15)

港の売店

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(11:22)※翌日撮影

の、ガラス売り場。規模はそれほどでもありませんが、12月ともなって在庫が薄くなると場所によって売り切れたりそうでなかったりがあるので、アートセンターかミュージアムの職員さんに聞いてみるのもいいでしょう。(特にキーホルダー・ネックレス系は毎年年明け~春先あたりで作りだめるようです)

余談ですが、新島ガラスのこの緑色は後から着色している訳ではなく、最初から天然でこの色が出ます。原料のコーガ石に含まれる鉄分が緑色に発色しているんだとか(ミュージアムの方から聞きました)。

 

期待を上回る満足度な新島ガラス。その希少性や綺麗さがあるならもっと盛大に売り込めばいいのに……と思いましたが、その希少性ゆえの程々な活動なのかもしれません。

少なくとも僕は新島以外の場所で新島ガラスを売っているのを見たことがないので、新島に来たときは是非ここぞと手に取ってみてください。

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(16:24)

ガラスアートセンターとミュージアムを離脱しようとすると、ちょうど夕陽の時間。せっかくだから砂浜に行って日没を拝みましょう。

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(16:32)

間々下海岸にて見届けることに。

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(16:31)

さらば新島初日。1日とは思えないくらいの充実をありがとう。

 

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(17:07)

原付は24時間借りっぱなしなのでそのまま宿まで走り、徒歩で近所の商店で買い出し。

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(17:08)

これが新島随一の繁華街の夜です(どどーん)

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(18:10)

そして宿でのお夕飯。伊豆諸島にもそこそこ来慣れてきたのですが、毎度平然と金目鯛が出るので本土ではそれなりの高級魚だということを最近忘れつつあります。

島の民宿は観光客だけでなく、というかむしろ観光客以上に工事などの現場仕事で来ている人が多く泊まっています。今回の大沼モータースさんでも例に漏れず、隣のテーブルはお仕事で泊っている方たちでした。どこかで見たことがあると思ったら、昼間に平成新島トンネルの近くで道路工事現場の車両誘導をしていた方でした。どうもその節はお世話になりました。4回くらい前通ってすいません。

 

湯の浜露天温泉

夕食をたんまり食べ、一休みしてから再び原付に乗って外へ。伊豆諸島といえば火山、火山といえばそう、温泉ですよ。

新島観光協会 - 新島の観光・宿泊情報 | 湯の浜露天温泉

www.niijima.com

湯の浜露天温泉は、「露天」「24時間入れる」「無料」の温泉です。なんだこの最高の3拍子は。

だけどさらに最強の要素がもうひとつ……「混浴」

いやまあ水着着用必須なんですけどね。

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(19:52)

なんだここは古代ローマをモチーフにしたスパか。いいえ無料の露天温泉です。

丘の上のパルテノン的な屋根の下にも温泉があります。馬鹿と煙はなんとやらで迷わず一番上のそこを目指して浸かったのですが、絶妙にぬるい。12月なので半裸(水着)で外にいるのは当然寒いのですが、お湯もぬるくて徐々に寒くなってきます。だからといってこの湯から上がると濡れた体はもっと寒い。いやしかしここに居続けてもジリ貧……。結局、意を決して丘の下のお湯までえっちらおっちら駆け下りました。そっちは普通に温かいお湯でした。冬場の一番上のお湯に浸かる場合は覚悟してください。

ちなみにここ湯の浜露天温泉、お風呂は無料ですが洗い場はありません更衣室にシャワーはありますがコイン式(つまり有料)です。更衣室の足元とロッカーは市民プールチックな感じで、これまた12月には寒い寒い。

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(20:40)

足湯もあるよ。

湯冷めしないように重装備で宿へ戻りましたとさ。湯の浜露天温泉は温泉とはいえこんな感じでプールチックな入り方をする場所なので、身体を洗う目的ではまました温泉や宿のお風呂を利用しましょう。


シークレットポイント(2回目)

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(6:23)

おはようございます、新島の朝です。ここはそう、昨日の昼にも来たシークレットポイントです。普段はとことん夜型のくせにこういう時は無理して日の出狙いの活動をする二人です。

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(6:25)

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(6:46)

相変わらず小さな島とは思えない素敵な景色ですんふうううううううう!

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(6:50)

雲があって地平線から出てくるその瞬間は見えなかったんですけどね。

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(6:52)

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(6:53)

やや日が昇ってくると、断層面が綺麗に色づいてきます。

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(6:53)

朝日に浮かぶ友人Iのシルエット。撮った瞬間、あの映画の階段のシーンを連想したので「東洋のロッキー・バルボア」と勝手に呼んでいる一連の写真です。

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(7:02)

起きるのは大変ですが、日の出の時間のみるみる視界の色合いが変わっていく様子やきりっとした空気はかなり好きです。

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(7:06)

海岸からの帰り道。原付で宿に戻れば朝ごはんが待っています。

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(7:35)

いただきます。