2018年7月6日。
(21:58)
金曜日の夜。旅はいつものように竹芝客船ターミナルから始まります。
定時を迎えて早々に会社を引き上げ、自宅に戻って荷物を持ち替え着替えたら電車へとんぼ返りし今に至ります。普段ラッシュに揉まれて通勤する僕にとって、帰宅ラッシュ時にアウトドア姿で上り電車に乗る高揚感は何事にも代えがたい気持ちよさです。この緊張と期待こそが、旅に出てから帰るまでの中で最大のわくわくを引き出します。
今回の目的地は三宅島。
「船と原付で行く」シリーズ第5弾にして、僕の伊豆諸島6島目の旅となります。
以下、これまでの伊豆諸島旅行記一覧です。
(22:26)
ネットからプリントアウトした予約表をカウンターへ持って行って乗船券を発行し、乗船時間になったら乗り場へ。
船の中で飲み食いする予定の夕食、その他飲み物や菓子類はターミナル周辺のコンビニで調達済みです。
東海汽船 橘丸
(22:28)
今回乗船するのは東海汽船の橘丸。ここ竹芝を発ち、三宅島~御蔵島~八丈島と巡る航路に就く船です。
この航路では以前八丈島に行ったことがあるのですが、その時この橘丸はドック期間で、別の船(さるびあ丸)がその役割にあたっていました。つまり、橘丸は初乗船ということです。客船ターミナルにくるたびお目にかかってはいるのですが、何度見ても凄い色です。
(22:30)
この船のカラーデザインは柳原良平氏が担当したんだそう。正直僕は名前だけではピンと来ませんでしたが、アンクルトリスの生みの親です。
それにしても凄い色です。凄い色ですが、乗ってしまえばこの外装の黄色が目に飛び込んでくる機会もそうそうないので、いたって普通な感じです。
この橘丸、2014年就航という比較的新しい船です。そう、つまり綺麗です。早速、今回予約した特一等船室をご覧いただきましょう。
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洗面台、シャワー室、ウォシュレット付トイレ。これらがみんな部屋の中にあります。
(1:12)※後ほど撮影
人数分の鍵付きロッカー。中にはバスタオル、浴衣、ハンドタオル、歯ブラシ、シャンプー、ボディーソープ一式。
(1:12)※後ほど撮影
ロッカーの下には冷蔵庫と電気ケトルとティーバッグと紙コップ。そしてロッカーの向かい側には薄型テレビ。
(1:21)※後ほど撮影
個室内のそれぞれの寝台はカーテンで仕切ることができ、中にはコンセントも備わっています。……驚異のプライベート空間です。昨今の新造船は居住環境の向上が著しいので、新しい船に乗ると綺麗であること以上に色々なメリットがあるのです。
ところで上の室内の写真にも一部写りこんでいますが、今回の旅は伊豆諸島シリーズ準レギュラーの友人Iも一緒です。中高時代の旧友と野郎二人の旅です。
この特一等船室は定員4人。我々2名は定員を満たさないため、規約上では混雑時に相部屋があり得ます。
もう片方の大型船「さるびあ丸」で過去3回特一等船室を利用していますが、今のところ一度も相部屋になったことはありません。トップシーズンならありえるのかも知れませんが、7月の週末というそこそこのオンシーズンな今回でも、結局相部屋にはなりませんでした。
(22:34)
とはいえ、乗船後まもなくでは相部屋の可能性が規約上まだ消えていない(乗船後しばらくは船室の等級をランクアップできる時間がある)ため、部屋に荷物を小さくまとめてとりあえず船内を散策します。デッキに出たら今まで見たことのない人の数。そうかこれが夏ってやつか(今までオフシーズンでばかり乗ってる)。
(22:40)
(22:40)
曇って東京タワーが上まで見えていません。
(22:43)
その雲のおかげで逆にレインボーブリッジはいつもよりどことなくおどろおどろしいです。
(22:51)
デッキが本当に想像をはるかに超える人出だったので、早々に船内へ引き上げました。
(22:52)
せっかく初めて乗った船なので、一番リーズナブルな2等船室をちょっとばかりお邪魔します。浅いブースで仕切られていて、上には鍵付きのロッカーも見えますね。復路は特2等を予約しているので、帰りの時のお楽しみに。
(22:53)
船上で……ハーゲンダッツが……食える……!?
「食おうぜ食おうぜ!!」と友人Iとテンション上がりましたが、結局食わずじまいでした。
(22:54)
設備の拡充や綺麗さはありますが、階段を見る限り基本的な船内構造は「さるびあ丸」と一緒でなんだか安心です。
(22:56)
船内レストラン。なんかおしゃれでカフェテリアみたい。写真よりもさらに左手の方は自販機コーナーですが、カップ麺の自販機も健在です。
(22:58)
展示されていたグラスを見て友人Iがしきりに「欲しい、船内で売ってないのかな」と言っていましたが、たぶんこれ昔のトリスのおまけとかそんな感じのものだと思う。
(23:06)
東海汽船は売店が無い代わりに自販機でアメニティや東海汽船グッズなどを売っているのですが、その並びで橘丸グッズも販売していました。二人してピンバッジを購入しました。
(23:10)
船室の等級変更受付終了の放送が流れた後で部屋に戻ってみても、僕ら以外には無人。八丈島航路は横浜へ寄港することもないので、この時点で朝までこの部屋を貸し切れることが確定です。よって、容赦なく荷物や飲食物を広げます。
(23:10)
宴会スタート。
特2等以下の客室では消灯時間後はおとなしくするしかないのですが、個室であれば思う存分お喋りできるので、往路では惜しみなく特1等をチョイスしているのです。
(23:22)
持ち込んだ牛丼をかっ食らいスナック菓子と炭酸を流し込み、テレビを垂れ流しながら存分に馬鹿話を繰り広げる。まるで男子中学生のようですが、我々男の子はいつまで経ってもそんなもんです。この場に酒が無いのは、翌日は早朝からハードワークになることを覚悟しているからです。伊豆諸島第一回目の時にこそ友人は「船で酒飲みたい」と言っていましたが、行った先の島で全身全霊遊びつくすことを覚えてしまったからか、今ではそんなことも言わず。
僕自身ツーリングを繰り返すことで荷造りや段取りなど旅慣れてきた実感はありますが、友人Iも諸島へ連れまわしているうちに旅慣れ具合が目覚ましく、見ていて面白いです。回を重ねるごとに装備が改良されていきます。
個室内のシャワールームでシャワーを浴び、こんな良い部屋じゃ寝るのがもったいないと思いつつも、翌朝からが本番なのである程度のところで就寝しました。
三宅島三池港
(4:02)
おはようございます、太平洋の朝です。
(4:39)
(4:39)
(4:40)
三宅島には朝5時の到着です。とても早いです。しかし船はこの日のうちに八丈島まで行って東京へ戻らねばならないので、タイムスケジュールはカツカツなのでしょう。フェリーってほぼ丸一日エンジンを動かしっぱなしで毎日運航しているの、本当に凄いと思います。
(4:54)
接岸作業後、タラップを歩いていよいよ三宅島へ上陸です。
(4:54)
三池港と呼ばれる島の東側の港へ到着。大きな集落に一番近いのは錆ヶ浜港(さびがはまこう)ですが、この日の海のコンディションにより発着は三池港となりました。これらに伊ヶ谷港を加えた3つのうち、どの港になるかは船が出てからでないと決まりません。しかし民宿などのお迎えは当日の発着港の方へちゃんと迎えに来てもらえるのでどちらにせよ特に問題はありません。島に着きさえすれば。
この桟橋の光景は八丈島へ行った時も見ています。しかし僕らはまだこの先の景色を知らない。数時間しか寝ていないのでだいぶ眠いですし、これが仕事だったら憂鬱なんでしょうが、楽しみすぎて興奮しているからか不思議と身体は軽かったです。
(4:54)
(4:55)
ありがとう橘丸。帰りもよろしく。
あらかじめ民宿を予約しての上陸なので、泊まる予定の宿の方に港まで迎えに来てもらっています。駐車場の入口あたりで民宿の名前が書かれたパネルを持つ人を探し、名前を告げて、車に乗せてもらいます。
(5:00)
アップダウンが激しく、歩くには意外と広すぎる伊豆諸島の島々は車が生活必需品。しかし島内の道路は狭いところが多いので、車は軽がほとんどです。送迎も例によって軽バンでした。
今回の宿は「民宿 遊」さん。
(5:14)
(5:14)
和室もあるようですが、あてがわれた部屋は洋室でベッドでした。だいたいの民宿がそうであるように風呂・トイレは共用。洗濯機も使い放題です。
(5:19)
(5:20)
とても綺麗です。
(5:46)
ご主人に「コーヒー飲む?」とお誘いいただいたので、部屋に荷物を置いたら宿から5mくらいの離れにあるカフェの建物へ。
(5:46)
ご主人も交えて3人で早朝のコーヒータイム。話を聞いていると、どうやらご主人はここ三宅島の出身ではないらいです。10年ほど前にこの土地を買って、まだ本土にある本当の自宅と行き来しつつ道楽でこの民宿を営んでいるようです。なんだその人生羨ましすぎやしないか。
(6:03)
この後、宿の方で朝食を出してもらえることになっています(起床後船では食べていません)。早朝のチェックイン(仮眠休憩)含め、本来の宿泊とは別途料金となりますが、早朝に港へ放り出されて手持ち無沙汰になるよりは全然良いでしょう。朝食は7:30からとのことだったので、それまでの間部屋のベッドでしばし仮眠を取りました。
(7:26)
そして起き抜けにこの量の朝食である。量が多いものの野菜が多く、とてつもなく健康的な食事でした。