出かけた時から帰り道

バイクや車やフェリーや列車や飛行機や自転車による全国(時々海外)の旅行記群、分割日本一周の記録です。VTR-F乗り。(子育てのため長期旅行お休み中)

九州一周の旅【1】新東名・フェリー乗船

 

 

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2016年4月29日。

 

珍しく前日までに荷造りを済ませていたバッグたちをバイクに固定し、午前9時に家を出ます。

 

 

 

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今年のゴールデンウィークは7連休。

大学で部活をやっていた頃には考えられない日数の連休を前に思ったのは、

 

バイクで遠いところ行こう。そうだ、九州とか。一周なんかできるんじゃないかね」

 

ということで、日本4大島のなかで唯一未踏の地だった九州を目指します。

 

 

 

ゴールデンウィークに九州一周してみようという計画自体は半年近く前からじわじわと考えていましたが、そこでネックになったのは

「そもそもどうやって九州まで行くか」

ということ。

 

 

ある時九州出身の人に相談してみると、「大阪から宿替わりにフェリーに乗って九州が安いし楽だし楽しい」というアドバイスが。

 

東京から大阪まで自走し、大阪からは夕方発のフェリーに乗って翌朝九州に上陸できるという算段です。

 

 

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環八通り

 

 

ということで、アドバイス通りの行き方を採用。

7連休のうち、初日と最終日は実質東京~大阪間の移動日となり、残った間の5日間が九州を旅する期間となります。

 

 

7日分の宿とフェリーは事前に手配済み。

これだけ長期間・長距離な一人旅は初めてなのでわくわくが止まらない一方で、上手くいくのかわりと不安だった。

 

とりあえず初日は、フェリーの乗船受付開始時間までに大阪のフェリー港へ着くことが絶対である。

万が一遅れようものならこの一週間の計画がパーになる。

 

 

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東名はもちろん新の方をチョイスし、あっという間に静岡SA

 

新東名は景色のいいSAが多い印象だったので、停まったことのないここに降りてみたのですが四方八方をゴリゴリの山に囲まれていてそりゃもうどこなんだかよく分からないSAでした。

 

 

 

写真が無いのであっという間に飛んでいますが、一定のひねり具合でアップダウンとカーブの少ない新東名を走り続けるのはなかなかに退屈です。

 

車ならハンドル片手で飲み物取ったりラジオなり曲なりを聴いたりが比較的容易ですが、バイクだと基本の乗車姿勢から遊ぶ余地がないのでつらい。

 

退屈になるのはさすがに見当がついていたので、半ばこの日のためにBluetoothのインカムを買ってヘルメットに仕込み済み。

下道ではさすがに怖いので何もしませんが、高速道路で巡行するときはスマホで音楽を聴きながら走りました。

 

 

この、退屈しのぎの音楽が想像以上に有効。

 

退屈じゃなくなる

=必要以上に飛ばしたり追い抜いたりしなくなる

=安全運転・体力温存・長時間走行が可能

 

と、個人的にはかなり良い感じでした。

全力で歌いながら走っていたので、もし窓を開けて走っている車がいたらびっくりしたかもしれません。

 

しかし、新東名は富士山を通過すると景色が単調でいっそう退屈である。

 

 

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再び一気に飛んで、長篠設楽原PAへ。

場所はすでに愛知県となります。

 

 

わざわざPAに寄ったのは、ここに来る目的があったから。

 

 

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名前から察した方もいるかとは思いますが。

PAの下り側には茶臼山という山があります。

 

この茶臼山というのが、信長(中略)の鉄砲隊が、武田(中略)の騎馬隊を打ち破ったというかの「長篠の戦い」における信長側の本陣だった場所なのです。

 

 

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信長が同じ地に立って、同じとまではいかなくても似たような景色を見ていたのかと思うと滾るものがありますよね。

 

 

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自販機までこの手の込みよう。

 

しかも、購入すると「人間五十年!」だとかなんとか喋り始める。

買おうか迷ったけれど、まだ飲み物は足りていたのでやめました。

 

 

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この柵も当初はなにかと思ったけれど、あの騎馬の侵入を防ぐ柵の再現ですな。

 

 

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フードコートの名前が「長篠陣屋食堂」だったり、土産コーナーが織田・徳川・武田各領国のエリア別に分類されていたりとなかなかの凝り具合。

 

 

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個人的にはトイレ内のこれが一番気に入ったけれど。

 

 

 

岡崎SAに給油だけのために立ち寄り、名古屋エリアに突入。

この時通った伊勢湾岸自動車道が史上最強に怖い道でした。

 

というのも、高速道路を走れる車両しては相当軽い部類に入る250ccバイク。

それに容赦なく打ち付ける横風。

大きなトラックの後ろについて80km/h出るか出ないかくらいの速度でちまちまと走っていましたが、その用心も虚しくノーガードの側面を抉られます。

常に身構えていなければ、不如意の車線変更がランダムで行われるどころかガチで転倒の危険がそこに。

 

「どうすりゃいいんだよおおおおおお」と人に聞こえないのをいいことに全力で叫びながら、名古屋の高架上をめそめそと走り抜けました。

 

いや、本当に怖かったんだって。

バイクに乗るようになって経験したあらゆるヒヤリハットを凌駕する恐怖でした。

 

 

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フォトライブラリではそんな運転中の恐怖を伝えるすべもなく、あっけなく次のSAでの写真へとジャンプ。

土山SAで肉うどん。

天気としては暖かいはずの日ですが、常時風に当たりすぎて寒くなってしまい、あつあつの肉うどん。

 

暴風エリアを抜け、お昼も食べていなかったのでここらで一息でした。

フェリーターミナルにはいい具合の時間に着きそうだなと思いながら、ひとりぼっちで麺をすする。

 

 

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やたら広いSAでした。

そうかここは滋賀だったのか。

 

 

 

大阪中心部も高速に乗り続けたまま通過。

都会らしさは交通量だけでしか実感せず、フェリーターミナルに到着。

 

 

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所定の乗船開始時間の30分前に到着。

わりと余裕をもって出たはずだったのですが、わりとジャストタイミング。

 

フェリー自体はネットとカードで予約済み。

自宅でプリントアウトしてきた乗船券のQRコードを係員に読み込んで貰えば、乗船手続きは終了です。

 

 

 

ひとりぼっちで乗船案内を待つ訳だけれど、なんだろうこの周りの他人との「他人だけど他人じゃない感」は。

目的は別ながらも海の上で旅路を一緒にするからだろうか。

これが船旅というやつか。

 

無性に湧き上がるわくわくと、一人旅でもここまで長距離は初めてであることの不安を胸に乗船。

車両甲板にバイクを停め、固定作業が始まる愛車を横目に自分は旅客スペースの上層階へ。

 

 

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船室には様々な等級がありますが、今回予約したのは「ツーリスト」というクラス。

新造船である「おおさかⅡ」では最も収容数の多い等級です。

 

設備としては、カプセルホテルをちょっぴり良くしたような感じ。

特に今回は壁向きに出入り口のあるベッドを抑えたので、一人旅である分にはあまり不自由しない等級とポジショニングです。

 

 

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この下半分が今日のおいらの寝床さ。

 

バイクは一般客では一番最初に乗船の誘導をされるため、まだまだ船内に人はまばら。

そのうちに、大浴場(といっても乗船客数のわりには小ぶり)で一風呂浴びてきました。出港後には相当混むらしいので、乗船後出港前の1時間くらいの間にちゃちゃっと行くのが正解らしい。

 

 

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風呂上りにはそのままデッキに出てみる。

 

 

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フェリーなんて男ばかりが利用するものかと思いきや、カップルや家族連れが意外と多い。

もちろん僕のような一人旅や男同士のグループなんかもいますが、中には女性ひとりでいる方もいて、不覚にもそのシチュエーションだけできゅんきゅんが止まらない。

 

 

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船内をうろうろして各施設の配置を把握したり荷造りしたりしているうちに出港の時間。

デッキは見物の場所であり、緊急時の集合場所でもある。

 

 

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この時間ともなれば外は真っ暗。

 

 

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そんな中で、作業員のおっちゃんたちが船と陸をがっちり結んでいたロープを外すと、船は徐々に陸から離れていく。

 

 

水平線の向こうへと遠のいていく街の灯を見送ったら、寒いので船内に戻ります。

 

 

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さすが去年就航したばかりの新造船だけに、客室も共用スペースも非常にきれい。

 

さて、ごはんを食べるよ。

船内にはビュッフェレストランもありますが、例によって高いので往路では節制です。

 

 

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いかにも身体に悪そうな組み合わせで九州に思いを馳せる。

 

 

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待ってろ九州。

ロビーに設置されたモニターに表示される航路と現在地の表示を見つめながら、とんこつ味のカップ麺をすする24歳。

 

 

 

今回乗船したのは「名門大洋フェリー」。

 

瀬戸内海を通って大阪南港と新門司港を結ぶ航路です。

 

瀬戸内海ということは、片道の航行で3つの橋をくぐることに。

 

 

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ロビーの案内板には各施設の営業時間の下に、それらの橋の通過予定時刻までご丁寧に記載されています。

 

 

ということで、一番最初の明石海峡大橋だけは甲板に出て見ることに。

他は遅すぎるのでパスだ。

 

 

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くぐる直前。

 

 

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くぐった直後。

 

考えてみれば、でかい橋をこう直交方向に通過することってあんまり無いよなーと。

くぐった瞬間の正直な感想は「橋って意外と細いんだな……」でした。

 

 

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さてここでベッド周りをご紹介。

172㎝の野郎が荷物と一緒に寝ても、そこそこ広々としています。

コンセントもひとつあるので、持ってきたタコ足で各種充電。

 

風呂と橋と飯が終われば明日の行程を確認するくらいで、のんびりゆったりと孤独な時間。

 

客室では携帯も繋がりにくいし、寝る以外にやることがないといえばない。

だが、そうやってなんとなくロビーをぷらぷらしたりベッドでごろごろしながら地図を眺める、その感じがたまらない。

 

 

ちなみに、船自体の揺れはほぼ感じないくらいだったのですが、寝転がるとエンジンの揺れがぷるぷると伝わってくる。

その揺れのせいか単に緊張していたからか、2~3時間おきに寝ては起きてを繰り返す一夜でした。