村落から見て赤崎遊歩道より手前400mくらい。原付で行けばすぐだけれど歩きならそこそこの距離に、トロッコの線路跡があります。
(12:16)
まあ立ち入り禁止なんですけど。
かつてはこの架橋の上に枕木とレールが敷かれていたようです。背後には神戸山がそびえ立っており、昭和前期にそこから建材として抗火岩を採石していたんだとか。当時は道路も整備されていなかったので、索道(ロープウェイ荷物版)とトロッコで海まで運び出したそうな。
(12:16)
奥につんと立っている支柱が海側の目印らしい。
(12:17)
(12:21)
立ち入り禁止ながらもこの架橋を渡ってみたさはありましたが、足場が細いのと落ちたらそこそこの高さがあるのでやめておきました。
お次は海沿いを離れて内陸側へ切り込む都道に入ります。ちなみに島で都道というのは、島を貫き集落や空港を結ぶ神津本道を指します。
20平方kmもない小さな島なので、内陸といってもたいしたことはないのですが、それでも山に入ると森が深く、高低差もそれなりにあります。活火山の島なだけはあります。
(12:27)
長浜展望台からの景色。赤崎遊歩道はすでに岬の向こうに隠れています。
(12:47)
そして集落に戻ってくる。これは神津中学校です。都立中学校です。
(12:51)
そして神津高等学校。もちろん都立高校です。
1学年1学級、全校生徒33人。僕の高校の1学年の1割にも満たないとは……どんな雰囲気なんだか想像もつきません。
ちなみに本土からの離島留学生も受け付けているようです。何それドラマみたい。
(13:01)
集落から都道を南方面へ突っ走って山を越えると分かれ道があり、左を選ぶと島の反対側の多幸湾に出ます。
島民1900人のほぼ全員が一箇所の集落に住んでいるため、ここ多幸湾に住宅はほとんどありません。しかし、集落側の港(神津島港)が時化って接岸できなくなると、船は代わりにここ(多幸港)に寄せられるそうです。
(13:04)
向こうに見える絶壁は天上山の南端部分です。光景が現実離れしていてかえって驚けない。
(13:08)
多幸湾には漁港もあります。一般人が立ち入れるギリギリの場所から撮影。
(13:09)
漁港の前がちょうど都道の始点になっています。
(13:09)
車止めが魚を模していたのですがなんか怖い。
(13:18)
多幸湾から都道へは戻らずに北西の山間へ。
(13:24)
そのまま登り続けると、天上山の黒島登山口に到着します。が、ここからは登りません。
……ここからは登らないということは、他のところからは登る気満々だったりします。とりあえずいったん山は下りましょう。
(13:30)
高処山展望台。多幸湾を見下ろします。右手前の木がハゲている部分はグラウンドです。
(13:36)
島の南端にある神津島空港までやって来ました。山道なのに、ものの10分ちょっとで島の中央から端まで行けるの楽しい。
(13:39)
ちょうど飛行機が飛び立つところでした。ちょうど24時間後、あれに乗って帰るのは自分です。
次は空港からそう遠くない千両池を目指していたのですが、まあ分かるだろうとたかをくくって何も参照せずに走っていたら、見事に現在地が分からなくなり、
(13:46)
思い切り見当違いの方向の「ジュリアの十字架」まで来てしまいました。
神津島は「おたあジュリア」なる人物の終焉の地だそうで、そもそも誰よそれって話なのですが、簡単に説明すると
秀吉の朝鮮出兵で日本に連れてこられる→キリシタン大名小西行長の養女になる→洗礼を受ける→関ケ原後は家康に気に入られ大奥に仕える→禁教令出しても改宗しない→仕方ない流罪だ→神津島へ
ということで、当時漁師の家が10軒ほどしかなかった貧しい神津島にやって来たんだとか。そして島に色々良い影響を与えたんだとか。
色々良い影響って雑だなとお思いでしょうけれど、本当にこう紹介されているんです。男ばっかの空間に突然可愛い女の子が現れると、いてくれるだけで何もなくても活気づくのと一緒だと思います(雑)。
(13:47)
この十字架がある場所は遠くに集落を望む展望台にもなっています(ありま展望台)。
ちなみに毎年おたあジュリアを讃えるお祭りをやっているらしいです。
来た道を引き返し再び千両池を探します。
案内板の先で曲がりくねった細い道を抜け、着いたのは砂利の駐車場。そこに原付を停めて歩きます。登山道のような道なき道を進むと少し展望が開けました。
(13:55)
おーあったあった千両池………………遠っ。
千両池があるのははるか眼下。そこまで岩のごつごつした斜面を歩いて下っていかなければなりません。行きはまだいい、帰りはこの高さを登らなければならない。
千両池の脇にはちらほらと人がいましたが、その人たちが米粒ほどの小ささに見えるので、ここは迷いなくパスすることにしました。
ということで、千両池の美しい光景は各自検索して調べてください。
(13:56)
断念したあたりから灯台が見えます。ここからも行けるようですが、見るからにだるい道のり。いったん原付のところまで戻って、一番近づけるところまで走って行きましょう。
……と思って移動しましたが結局そこそこの長さの登り階段を経る羽目でした。
(14:02)
神津島灯台。ちなみにこの灯台付近には、入口から離れたところに申し訳程度のオフロードかつ路肩な駐車スペースがある程度なので気を付けてください。こういう時原付は最強なんです。
(14:15)
ふたたび集落に戻ってきます。基本的に集落を起点に各所へと道が伸びているから仕方ないね。ちなみにこの場所を横道展望地と呼ぶみたいです。普通の道沿いです。
(14:29)
都道で集落を抜け、途中から林道へ。これから、神津島最高峰の天上山を目指します。天上山って名前が良い。
(14:37)
目指しているのは天上山白島登山口。車両乗り入れができる場所で最も山頂に近いのがこの登山口です。ただ、登山口に至るまでには林道を何本か渡り継ぐことになるので、一つ間違えるとよく分からない山奥に連れていかれます。
(14:39)
治山の跡か採石後の安定化か、眼下に突然人口な感じが見えてびっくり。
(14:43)
着きました、白島登山口です。ここが既に天上山の6合目ということになります。
原付を停め、最低限の荷物と共にレッツゴー。
(14:47)
階段がこしらえられた森の中の道をずんずん進んでいると、程なくして7合目。
(14:49)
8合目。このあたりから急に周りの樹が低くなり、視界が開けるようになります。
(14:51)
こんな風に。向こうに見える湾のところが集落です。
(14:52)
行く先はこんな感じ。600mにも満たない山なのに、火山だからか荒涼とした景色になってきます。樹木も松が目立ち、土壌はあまり養分の多くないような雰囲気。火山なんでそりゃそうなんですが。
(14:53)
9合目に到着。さくさく来たのであれっなんだ余裕じゃんって思えました。思ってしまいましたこの時は。
(14:55)
ここまでの間にも何組かの下山者とすれ違いましたが、9合目を過ぎたあたりですれ違ったおじいちゃんとおじさんの間くらいの人に、「山頂の方は風強いよ」「手袋持ってる?」「どこから登り始めたの?」と絶妙な間を置きながらまばらに質問されました。なんとなく心配してるのは分かるのですが……早く、早く進ませてくれい……帰りの時間がなんとなく危なそうなのはこっちも分かっているんだ!!
(14:58)
天上山の外輪部分に到着しました。山頂っぽいですが最高点ではありません。まずは最高点へ向かいましょう。
(14:58)
不入ガ沢(はいらないがさわ)と呼ばれるこの窪地ですが、神話の伊豆諸島の場面に登場する神聖な場所だったりします。「ふにゅーがさわ」ではありません。
神々によって伊豆七島が作られたときに問題になったのが「貴重な水をどうやって分け合うか」。伊豆七島の真中に位置する神津島で行われた話し合いの結果、翌朝の先着順で配られることになりました。
翌朝最初に来たのが御蔵島の神様で、2番手以降は新島→八丈島→三宅島→大島と続きます。
寝坊して最後になったのが利島の神様。水がほとんど残っていない池(不入ガ沢)を見て逆ギレをかまし、池に入って暴れたそうな。すると残っていた水は神津島のそこらじゅうに飛び散り、おかげで神津島は水が比較的豊かな島になりましたとさ。
というような概要ですが、詳しくは「水配り伝説」あたりのワードで調べてみてください。
ちなみにこの話は、伊豆諸島各島の水事情とほぼ一致するんだそうです。そりゃまあキスチョコみたいな形をした利島の水事情は推して知るべしでしょう……。
そして、この通り神様の話し合いが行われた場所なので、島の名前も神集島から転じて神津島となったんだとか。
(14:59)
このあたりから岩に黄色いペンキのマーキングが散見されます。
(15:02)
山をほぼ登り切り歩きやすくなるかと思いきや、足元がじゃりじゃりの石やごろごろの岩場になったため、階段だった上り坂よりもずっと歩きにくいです。
(15:04)
マーキングがないとここが進むべき道だという確証がない。
(15:07)
急斜面ではないもののガチの岩場をえっちらおっちら進み、天上山の山頂に到着。海抜571.8m。
歩いて登ったのはせいぜい200m分くらいですが、荒涼とした景色には標高以上の異世界を感じました。というか風強い。とてつもなく風が強い。
(15:12)
せっかくなので自撮りを試みる。この後、風で三脚が倒れます。
(15:09)
山頂を示す標榜の上にはなぜか龍がいます。
(15:08)
海側の反対を振り返れば、ひたすらに岩場が続く広大ながらも寂しい光景。
これから、この岩の間を縫って進んで行きます。