(10:14)
タラップを渡って神津島の地を踏みます。
振り返ればクレーンがコンテナを下ろしていました。他の島でも見た光景ですが、コンテナが下ろされると地元の方々が手分けして中の段ボールを運び出します。船は人だけでなく物資の重要な供給路のようです。
(10:14)
桟橋を歩く。
ところで、僕の旅にしてはものっっっっっっっっっっっっっっっっっすごく珍しく、なんと、まさかの、港までお迎えの車が来てくれることになっているのです。お迎えとはなんともすばらしい響き。いつから僕はそんなVIP待遇に。さすが東京都。
しかし、事前にはこちらの携帯の番号と到着の船を伝えているだけで、僕の方から遠隔でアプローチする手段はほぼ無い。まあ、ねえ、なにせ車でお迎えですから、こちらが探さずとも向こうが見つけてくれるはず……いやあちら様は僕の顔知らんだろう。
とりあえず桟橋を歩いて進んでいると、「よねき」と書かれたラミネートのシートを持ったご主人が立っていました。これが僕のお迎えです。
(10:17)
ものすごく年季の入った軽のバン(ホンダ アクティバン)でのお迎えでした。そうです民宿のお迎えです。
神津島はホテルがたしか1軒くらいしかなく、外の人間が足を運んだ場合たいていは民宿のお世話になります。
ということで事前に民宿を予約したわけですが、
僕「神津島の民宿を予約するぞ」
— 奇行太朗 (@kiko_taro) 2017年3月13日
プルルルル
おばあちゃん「もしもしー」
僕「もしもしー予約したいのですがー」
お「もしもしー、あのね、あたしおばあちゃんだからね、わかんないのー、明日戻ってくるからまた明晩にでも電話してくださいー」
僕「はーいありがとうございまーす」
民宿すてき
僕「神津島の民宿を予約するぞ②」
— 奇行太朗 (@kiko_taro) 2017年3月14日
プルルルル
おじさま「もしもしー」
僕「もしもしー予約したいのですがー」
お「いつですかー」
僕「25日ですー」
お「あー20日から上京しちゃうんですよー」
貴方のいるところも東京都です。
僕「神津島の民宿を予約するぞ③」
— 奇行太朗 (@kiko_taro) 2017年3月14日
プルルルル
おじさま「もしもしー」
僕「もしもしー予約したいのですがー」
(どこも絶対に『民宿○○です』って出かたしないよな……きっとこの番号普通に家電なんだろうな……)
そんなこんなで3軒目にトライした民宿「よねき」さんでようやく予約が取れました。
神津島村役場で紹介されている民宿ひとつひとつにCM動画が付いてるんだけど、BGMがなんかラブホの紹介っぽい。https://t.co/anQYoahKxm
— 奇行太朗 (@kiko_taro) 2017年3月8日
ちなみに民宿は観光協会か村役場のサイト内にある宿泊施設一覧から探せます。基本電話予約オンリーなところばかりです。
また、神津島の民宿はGoogleで場所が登録されていないらしく、住所や名前で検索しても正しい位置を示しません。地図上に一応ピンは立ちますが、だいたいみんな村役場を指します。
ということで、民宿などの場所を確認したい時はやはり村役場のWebサイトにアクセスしましょう。村内マップのpdfが公開されており、民宿や売店もカバーしています。
ここで公開されているマップは島内各所でも紙で無料配布されています。島の観光はスマホに頼らずとも、全てここのマップたちで済事足ります。それくらいに優秀なマップであると同時に、道は単純です。
(10:33)※後で撮影
民宿までの道中。最後の方は軽一台がギリギリ通れるような上り坂をぐいぐい登って行きました。
車に乗ること3分足らずで到着。高台の一番上にある建物のようです。
(10:33)※後で撮影
「車置いてくるんで先に登っててください」と言われるがままにコンクリートの坂道と階段を上る。
(10:32)※後で撮影
入口で待っていると後からご主人がやって来て、中へと入りました。ふたたびご紹介しますが民宿「よねき」さんです。
民宿なのですが、民宿だからこそ、玄関から「人の家にお邪魔しに来た」感がすごい。実は民宿ソロ宿泊って人生2度目なのです。
普段のツーリングなんかでは、最終的に何時に宿に着けるか分からない無茶な旅程ばかり組むので、チェックイン時間が大幅に変わっても柔軟に対応してもらえるビジネスホテルばかりチョイスしているのです。
(10:23)
船を降りて9分で今日の宿にチェックインしているというミラクルな状況。
部屋にはこたつがありました。逆に言うとそれ以外に暖房器具がありません。
(10:29)
しばらく部屋で荷物を整理していると、お茶とお菓子まで持ってきてくれました。民宿なのに。
どこへ何で観光しに行くのか訊かれ、「原付を借りて色々回るつもりです」と答えると、ご丁寧にレンタルバイク屋への行き方も教えてくれます。そして放たれる衝撃の一言。
「じゃあ私は畑に行ってくるんで、この家誰もいなくなっちゃうけど、何かあったら電話してください。(宿の番号に掛ければ)携帯に転送されるんで」
……という感じで島に上陸して15分そこら、無人になった民宿にひとりになりました。
い、いいのかこれで。いやこっちはいいんですけど。何も変な事する気はないですし。そういえば、最初ここの敷居をまたいだ時もご主人は家の鍵とか出してた記憶がないぞ……?
まあ、船と飛行機でしか行き来できない人口1900の島で何かコトを起こせば、まず逃げようがないのですが。
善良な観光客は無人の民宿を出てさっそく観光にくり出します。
まずは現地での足を確保します。向かった先は宿から徒歩圏内にある「神津島オートサービス」。ここで原付を借ります。
kouzushima-autoservice.jimdo.com
営業時間は9~17時。50ccはガソリン代込みでたしか一日4800円。少なくとも5000は超えていません。営業時間外の貸し出しは行っていないため、日帰りレンタルのみでの取扱になります。
神津島のレンタサイクルorレンタルバイク屋さんは夏季になるともう一軒営業しているそうなのですが、それ以外のシーズンは「神津島オートサービス」1軒のみ。本土での車のレンタル料金や車体価格を考えるとなかなかに香ばしい値段設定です。しかしまあこんな島でこんな商売しているだけでも重畳である。
ちなみに予約は受け付けていないので、神津島に来るにあたってここだけは完全に行き当たりばったりでした。が、無事にレンタル手続き完了。島の地図のプリントを渡され、事故の多い道を赤ペンでなぞられながら説明を受けました。
ヘルメットを持参していたので「普段バイク乗ってますねー」と言われたのですが、やはり2輪未経験者にレンタルするのは慎重になる様子(貸出していない訳ではないようです)。
(10:48)
ということで今回の相棒を紹介します。ホンダのクレアスクーピーさんです。
ミラーが片方しかありませんが、2輪は視野が広いですしなにぶん交通量もお察しの通りなので大して困りません。
で、乗り心地ですが、流石スクーターは座面が広いのでお尻には非常に優しい作り。ただマシンの状況はあまり良いとは言えないコンディションです。
ブレーキの利きは危険でこそないものの制動距離が存外長いですし、スロットルをひねってもひねっても全くエンジンが回ってくれない。50ccだからというのもあるかとは思いますが、あまりオイル交換してないんじゃなかろうか感が否めません。
……まあいいんだ、走りさえすれば。そして途中で壊れなければ。
そんなスクーピーさんを慣らしながら向かった先は、「神津島温泉保養センター」。
島唯一の温泉施設です。というかさるびあ丸に風呂は無い(コインシャワーはある)ので、まずは風呂しか選択肢にありません。
村営の施設ですがここは内湯だけでなく、露天風呂があります。なななななななななんと混浴、混浴です。混浴の温泉って初めて入ったかも知れません……まあ、水着着用必須なんですけどね。
そして先に言っておきます。この露天風呂では年代問わず女性と一切遭遇しませんでした。がっかりしないでください、僕が一番がっかりしたいです。
(10:52)
この時間、内湯にも露天にも他の人はおらず。
(10:53)
半地下の通路で道路をくぐって海側に出ると、露天があります。
(10:53)
海が見える露天風呂とは神津島やりおる。
パトランプさん pic.twitter.com/5pzL1udEi8
— 奇行太朗 (@kiko_taro) 2017年3月25日
iPhoneを持ち込み、誰もいないのをいいことに自撮りして遊んでいました。
(11:08)
この時の僕はいったい何がしたかったんだろうか。
(11:11)
人物抜きの写真も上げておきますね、はい。
(10:53)
ちなみに神津島温泉保養センターにはものすごい広さの大露天風呂もありますが、これは夏季のみ利用できるようです。大露天風呂が使えようと使えまいと料金は一緒です。
(11:43)
風呂上り。温泉には休憩所があります。ロビーにはソファとテレビもあります。
(11:43)
利用しませせんでしたがレストランもあります。付近にはここぐらいしか食料なんてありません。というか人の気配がここぐらいしかありません。
(11:45)
さっぱり。ここからが本当の神津島だぜ。
(11:55)
海のすぐ横をトコトコと原付で走る。あーーーーこういうのを求めていたんじゃーーーーーーーーー。
(11:58)
次の目的地を通過し行けるところまで行ってみたら、通行禁止になったトンネルが現れました。わりかし新しそうなトンネルなのに。
神津島は集落が1ヶ所のみで、道もすべてそこから伸びているような形。道の果てはこういった土砂崩れ等による通行止めが少なくありません。
(12:00)
なんか遊歩道の柵がすごいことになっている……。
そう、これが次の目的地、『赤崎遊歩道』……の、立ち入りができない部分です。
(12:01)
入口はこちら。どうでもいいけど正午の防災無線の音楽がめっちゃ音量でかい。
(12:03)
木のデッキを数十メートル歩いて行くと、よくポスターなどになっている場所が見えてきます。
(12:05)
ここが赤崎遊歩道の有名な部分。
入り江に向かった飛び込み台が3か所くらい設置されていて、一部は閉鎖されていましたが閉鎖されてないものも平然とあります。
(12:07)
押すなよ! 絶対に押すなよ!!!
飛び込み台の近くには広い屋根付きのウッドデッキのスペースもあって、ここで休みつつ海で遊べるのでしょう。3月なので自分以外誰もいません。