地底湖探検ツアー
南大東の観光ツアー関係は、たった一人の方が切り盛りしています。
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今回はその中でも目玉の企画、地底湖探検ツアーへ挑みます。地底湖は鍾乳洞の中にあるので、鍾乳洞探検ツアーとも言えるでしょう。
大晦日の朝9時、宿の方が運転する車を先導にツアーの事務所へ移動(ツアー解散後すぐ観光を再開できるよう原付に乗っていったのです)。ガイドさんに合流後、ツナギに着替えて準備完了。ツナギ、軍手、長靴やライト類は全てツアー料金内で貸してくれます。
ここからツアー終了まではガイドさんが撮ってくれた写真でお送りします。写真はツアー後に追加料金無しでDVDに焼いて貰えます。
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今回は我々含むこの五人が地底湖探検ツアーに参加です。若干テンション高めの右二人が我々です。
ガイドの車に乗ってさらに移動し、さとうきび畑の中を突っ切って現場へ。ちなみに地底湖は私有地の中にあるため、ガイドさんが我々の名簿を地権者の管理会社に届け出ていました。島の観光を一手に担うワンマンなのに、手続き関係はものすごくしっかりしている印象を受けました。
ちなみにツアー料金には保険も含まれていたようです。
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鍾乳洞の入口までアクセスするため、ガイドさんを先頭に一列になって突き抜けたさとうきび畑。さとうきび畑の中に一度突っ込んでみるのがちょっとした憧れだったのですが、入ってみると四方八方がたくましい茎に囲まれた藪の中。
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先行者がいなければ自分がまっすぐ歩いているのかもよく分からないような密度でした。長袖に軍手をしていなかったら葉で切りそう。
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鍾乳洞への入口は竪穴です。岩場を両手両足で降りていきます。
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洞内は探検ツアーで使われているルートではあるものの、一般的に見学できるような鍾乳洞のように通路が整備されている訳ではありません。比較的歩きやすい足元をガイドさんが先導しているだけです。洞内の明かりは、自分たちの持ったり身に着けたりしているライトだけ。
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天井から水が滴り、解けていた鍾乳石が再結晶することで出来る細い棒をストローと呼びます。
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叩くと良い音の鳴るつらら石や、
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苔の色とそこに付いた水滴のおかげで、ライトを照らすと金色にも見える光を反射させる通称「黄金の間」や、
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ものすごく透き通った地下の水面、
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かと思えば今度は鍾乳石が薄く膜を張った水面などを見て回ります。
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壁面に生えるこのちょろちょろとした鍾乳石はヘリクタイトというのですが、一般的に鍾乳洞でこんなに多数のヘリクタイトがいっぺんに見られることは相当珍しいんだそうです。
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こいつはヘリクタイトが成長しすぎてつながってしまったパターン。この他にも、様々な珍しい形の鍾乳石を見ながら回りました。
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道中は広めな場所もあれば、狭いところをくぐったり登ったり降りたり覗き込んだり行ったり来たりします。体力的に人を選ぶというほど過酷な訳ではありませんが、軽登山ぐらいの緊張感はあります。鍾乳洞(石灰質)ということもあり足場は滑りやすいです。
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ここが宣材としてもよく利用しているという場所。つくづく透明度が高いです。つらら石が途中でぷくっと膨らんでいるのは、そのレベルで水面が推移した結果そのあたりにたくさん鍾乳石が付いたからなんだそうです。
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すぐ脇のところで飲んでいいよと言われたので池の水を手ですくって飲みました。ぬるさのせいか口当たり柔らかめで普通に飲める水でした。
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最後に、メインとなる地底湖へ。
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これが意外と広い。
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中央を岩が飛び石のように横断しており、向こう岸まで行って帰ってができます。SASUKE超弱体化版のような若干のアスレチックムードでした。
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地上への帰路に就く前には、湖そばの広いスペースで参加者全員が車座になりました。そして座った状態で持っているライト類を全て消灯するという試み。屋外の真っ暗と違って星明りさえ無い洞内。目が慣れてくるということもなく目の前はひたすらに真っ黒というのは初めての経験だったかも知れません。それでも水の落ちる音などの響き方で、なんとなく広めの空間であることが分かります。
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入口を目指してえっちらおっちら歩く人々の図。
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最後が一番急斜面というか岩のジャングルジムです。
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無事帰還の図。若干テンション高めの真ん中2人が我々です。
洞内は特段暑すぎるという程でもないのですが、かなりの湿度なうえに若干の運動を伴いつつ歩き回るので、思っていた以上に汗をかきます(というか蒸発しない)。着替えの時点でツナギの中は下着だけ(男ならパンツ一丁)となることを推奨されますが、僕もそれが正解だと思います。ちなみに、当たり前っちゃ当たり前ですが事務所を出てから戻るまではトイレが一切ないのでご注意ください。
(11:25)
最後にまたサトウキビの中を泳いで人里へ戻ります。
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これで本当に帰還。
(11:55)
事務所に戻って着替えと支払いを済ませ、ペットボトルのお茶をサービスで貰い、洞内でガイドさんに撮ってもらった写真をDVDに焼いて受け取るとツアー終了です。集合から解散まで、約3時間の行程でした。丁度いい時間だったので我々はそのまま昼食へ向かいました。
南大東の鍾乳洞といえば星野洞が最もメジャーなのですが、このツアーに参加する予定があるのなら、地底湖探検ツアーは星野洞へ行く前に参加することを強く推奨します。
ガイドさんは「星野洞が凄すぎてこっち(ツアー)がかすんじゃうから」と冗談半分に仰いますが、地底湖探検ツアーでは鍾乳洞のでき方やつくりについて非常に丁寧に説明して下さるので、そこでの知識を踏まえると星野洞がいかに奇跡的な美しさなのかをより深く理解することができると思います。
星野洞
(16:00)
午前中は地底湖ツアーに参加した大晦日、午後はくだんの星野洞を訪れました。次はちゃんと歩道が整備されている鍾乳洞です。
冒険要素は低いですがものすごい綺麗です。今まで日本中訪れた中で迷いなく一番素敵な鍾乳洞でした。
(14:58)
見学には事前に電話やメールでの予約が基本です。というのも恐らく、普段から人が出入りしている訳ではないので見学者が来るたびに入口の鍵を開けてもらうことになるのです。
(14:58)
入口の隣にある案内所で料金ひとり800円を支払い入洞。離島の観光地としては正直割高な設定ですが、それだけの価値がこの先にあります。地上の扉を開けて長いスロープを下ると、さらに二重の扉を抜けます。ここまでたくさん扉があるのは、中の湿度を逃がさない為です。
とりあえず、この鍾乳洞の凄さを写真でご覧ください。畑の下にこんな景色が広がっているなんて誰が想像できるか。
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洞内には歩道が整備されていて、階段こそあるものの歩きやすくなっています。
南大東島には120もの鍾乳洞があるとされていますが、星野洞はその中でも最大とされ、全長約400m。詳しい解説は省きますが、石筍、つらら石、カーテン、ヘリクタイト、ソーダストローといった鍾乳石が見本市のように豊富です。
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(15:25)
(15:25)
つんつんしている細いのが全部ソーダストロー。長いものでは1.7mにものぼるそうで、東洋一の長さだそうです。この数の多さだと先端恐怖症の人はきつそう。
地底湖探検ツアーのガイドさんが星野洞を奇跡とまで呼ぶのは、鍾乳石の多様さに加えてその状態にあります。
(15:28)
鍾乳石(石灰石)というのは元来白色で、湿気に包まれ水が滴ることで成長します。外気に晒され乾いてしまうとと灰色にくすみ、成長も止まってしまいます。発見されている鍾乳洞は大半がそういった(成長が止まった)状態なのですが、星野洞は奇跡的に鍾乳洞が形成されてから一度も外気に晒された過去がありません。観光化された現在も扉で密閉して湿度を保つことで、今なお生きている(成長を続けている)鍾乳洞を保っています。
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薄めの鍾乳石にライトをかざすと光を通します。これが生きている証拠。(触れていません。触れてはいけません)
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また、洞内の一角には、酒瓶が固めて保存されています。これは泡盛の瓶です。南大東には小中学校までしかなく、島内の子供たちは高校進学の際に島を離れることになります。そこで、中学卒業記念に名前を書いた泡盛を星野洞へ保管し、二十歳を迎えて成人式のために島へ戻った時に開けて家族と飲むというもの。
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我々が星野洞を訪れた時、ちょうどこの泡盛を回収する新成人たちと居合わせ、1年に1度だけの貴重な瞬間をちょっとのぞき見しました。
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(15:29)
洞のポテンシャルに加えてライトアップのセンスも非常に良く、400mの洞内をどれだけ歩き回って見ていても飽きませんでした。入洞したのは15時頃でしたが、終了時間の16時までめいっぱい滞在しました。先程の泡盛を回収しに来た新成人以外に来洞者はいなかったので、小一時間これだけの規模の鍾乳洞を貸し切りで堪能しました。
(15:53)
(15:54)
行きは坂を歩いて下りましたが、帰りは電動スロープを起動して貰えます。楽ちん。
ちなみにこの星野洞が観光整備されたのは、ふるさと創生事業と呼ばれる政策により交付された1億円を財源としているんだそうです。ありがとうバブル、ありがとうふるさと創生事業(バブルはじけた後に生まれた平成世代)。
改めて書きますが、星野洞、今まで訪れた中で最強の鍾乳洞でした。そして、そのありがたみをより具体的に理解するためにも、「地底湖探検ツアー」は先に行くことをお勧めします。