【第二章】パルケ、フラメンコ、アデランテ
おはようハポンの諸君。
(9:29)
私はドン・キホーテだ。
某ディスカウントストアの社長だとか店長だとかそういう意味ではない。
いわゆるマジモンの方だ。
スペインの偉大な作家セルバンテスが生み出した『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』の主人公である。
ここは三重県志摩市であるが、スペイン生まれの私がなぜこんな極東のはずれの海岸にいるのか説明しよう。
近鉄は60年代に東京オリンピックに併せてゴルフ場や別荘地の開発を行う為に広大な土地をここに確保した。しかしこの時点で本格的な開発はまだ始まらない。
大阪万博が終わり70年代となると、輸送顧客の落ち込みが目立つようになった。
この原因を既存の観光資源・食資源への過度な依存と判断した近鉄は、新たな顧客層の創出を狙い、持っていた土地に大規模リゾート施設の建設を決意したのだ。
志摩半島に一大リゾートを建設する予定であったものの、バブル崩壊により差し当たりテーマパークの建設から着手された。
(9:28)
そこで私ドン・キホーテと私の従士サンチョ・パンサが呼び寄せられた訳だが、テーマがスペインとなった理由は、
・「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」「伊勢神宮」ともに巡礼の地として著名
・志摩半島はスペインの海岸からその名が付いたリアス式海岸
・スペインでのオリンピックや万博の開催によってスペインへの関心が強まっていた
・スペインも志摩も明るい太陽と海辺のイメージが強い
とまあ、そんな感じらしい。
当初の計画と多少姿は違うものの、今はテーマパーク「パルケ・エスパーニャ」を中心にホテル、温泉を含め「志摩スペイン村」リゾートとして展開している。
ちなみに2014年で記念すべきオープン20周年を迎えたのだ。
……はい、茶番はこのくらいにして志摩スペイン村にやって来ました。
といっても実質テーマパークの「パルケエスパーニャ」部分にのみ足を運んでおります。
(9:32)
オープンは9時30分、目と鼻の先の場所に宿泊していたので余裕の出発でジャスト開園時間に到着しました。
ちなみにこんなとこでもちゃっかり赤福売ってます。
ので、最終日の行先に据えたとしても午前中ならだいたい売り切れていないと思うので買えますよー。
(9:34)
そんな感じで今日はパルケエスパーニャの日です。
以降の説明で「志摩スペイン村(リゾート全体)」と「パルケエスパーニャ(テーマパーク)」の呼称がごっちゃになりますがご愛嬌を。
○志摩スペイン村 オフィシャルサイト
○Wikipedia「志摩スペイン村」
誤解を恐れずに言おう、確かに千葉の某王国には色々な面で劣ると。
しかしそれでいてなお、パルケエスパーニャは魅力溢れるテーマパークであると。
関東民からすれば、確かに近畿圏までの移動コストをかけてまで来ようと思う人は少ないかもしれない。
それでも一度は来てみて欲しい。
小学生時代に3年連続訪れてすっかり虜になった野郎からのお願いです。
たとえばこいつを見てほしい。
(10:01)
吊り下げ式のジェットコースター「ピレネー」。
かつては国内最大級をうたい、その通りわりと怖いというか楽しいコースター。
小学生の僕は足がブラブラするのとか一回転するのとかが怖くて乗れなかったコースターです。
当時、怖がって頑として乗らない僕を置いて、両親が乗りに行きました。
待っている間ピレネーを眺めていたら、別の乗客の靴が吹っ飛んで売店の屋根に落下するという光景を見て笑っていいのかビビッていいのか分からなかった……という、そんな思い出のあるアトラクションです。
そんな感じで、構成こそベーシックですが怖さとしては某富士山麓にあるレジャー施設にあってもおかしくないようなレベルです。
そんなピレネーに乗るのには、ちょっと待つ必要があります。
(9:52)
乗 客 が 定 員 分 集 ま る の を 待 ち ま す 。
一応言っておきますが、夏休みも追い込みの8月最終週、開園から30分でこれです。
何十分も待たされるのがアホらしくもなってくる状況です。
ちなみに3分そこらですぐ乗れます。思わず連続で乗ってしまった。
入園後しょっぱなからピレネーをかました後は、「カンブロン劇場」というシアターで時間調整がてらスペイン絵画の映像を15分ほど。
そしてこの次が、
(11:50)
フラメンコショー「コルドバ」
コルドバ出身の画家、フリオ・ロメロ・デ・トーレス(ごめん知らない)の作品をモチーフにした演目が行われるフラメンコショーです。
パスポートとは別料金で1ドリンク500円が別途かかります。
が、掛けるだけの価値はありました。
目の前で本格的なフラメンコを30分以上じっくり見られましたすごい格好よかったです本当によかったです。
↑公式のPVがありました。
実はこれ事前予約制になっていて、観るためには上演される「カルメンホール」の受付に行って申し込みをする必要があります。
さらに希望者先着の5組は出演者と撮影できるという。
……やってきました。一緒に撮らせて頂きました。
ですがお見苦しいので出演者だけの写真をお送りします。
(11:46)
上演中は撮影禁止ですが、終わった後にこうしてポーズを取った上で「さあ撮りたまえ!」の時間があります。
フォトセッションを申し込んだ人たちも撮れます。
いやこれ本当にプラス500円でいいんですかというくらいにお薦めなので是非行ったときは予約してみて下さい。
(11:54)
フラメンコのホールを出たら広場で牛のコスプレした人たちが愉快なダンスと大道芸を披露していた。
こういうところの出演者がどんな人だったかをよく見ておくと、後々でちょっとした楽しみが増えます。
(12:04)
↑こういうところが地味にアルハンブラ宮殿の噴水を真似ていたりとなんだかんだ芸が細かい。
そうこうしているうちにパレードの時間が近付いてきました。
千葉県の某テーマパークだとえらい前の時間から場所取りが行われますが、密度的にそんな現象は起きず。
パレードの曲が始まってからでも見たいところで見たいように見ることが可能です。
むしろ色々心配になってくる。
ちなみに、今回場所取りした(といっても開始3分前に座っただけ)のはここ。
(12:57)
分かる人には分かる。ここがグエル公園のオマージュだって。
さてパレードが始まるよー。
「エスパーニャカーニバル“アデランテ”」といって、20周年の今年からリニューアルされたパレードです。
○志摩スペイン村「エスパーニャカーニバル“アデランテ”」
↑のリンクから、ロゴフロートの曲「アデランテ!のテーマ」を聞いて欲しい。
不思議と頭から離れなくなるから。
(13:05)
ある程度フロート(山車)が進むと、全フロートの曲と踊りが「Vamos a Bailar」という曲でシンクロします。
一応大学でスペイン語を受けていたのですが、タイトルを英訳すると「Let's Dance」てな感じですね。
ちなみに、パレードに加わって一緒に踊る事が可能です。
……ぼくはやってません。
ちなみにその「Vamos a Bailar」がこちら↓
どうだいこの微笑ましいミュージックビデオ。
素敵だろう? 行きたくなるだろうスペイン村。
あ、踊り覚えたい奴はこっちな。
……で、パレードのダンサーの皆さん方をよく見ると、「あれっこの人どっかで見たぞ」というのが沢山いらっしゃるんですよ。
さっき見たフラメンコショーでめちゃくちゃ格好よかった人たちとか、
牛のコスプレしてダンスしてた人たちとか、
さっきその辺でアトラクションの案内やってた人とか。
このパレードの
(13:24)
↑2時間前にはフラメンコにご出演のお姉様方。
余談ですが「シェリーフロート」という、ブドウとかワインとかのフロートのところで踊っている女の人たちがとても可愛いです(殴
パレードを眺めてる我々に向かって、ワインの瓶を持った他のキャストを指しながら「みてみてー! よっぱらーい!」って笑顔振りまきつつ言われたらきゅんきゅんせざるを得ない(殴
パレードを最初から最後まで堪能した後は、また片っ端からアトラクションを乗り潰していきました。
どんなものがあるか、その辺はまあ公式のアトラクション紹介を見て下さい(ぶん投げ
ちなみにこの日だけで、言葉通りほぼ一通りは乗りました。
――夢がかなう場所、パルケエスパーニャです。
(15:17)
(15:34)
↑この道の先にあるのは教会なのですが、結婚式挙げることもできるらしいですよ。
本物のスペインに行った事が無いのでなんとも言えんのですが、なかなかに細かいと思うのですよ。
スペイン村という名を関しているだけに土産ものも完全な伊達ではなく、リアドロの直営店が入ってるなどなんだかんだのガチっぷりを垣間見せます。
(13:29)
紹介します。パルケのキャラクターの中でヒロイン格のダルシネアちゃんです。
……爆乳ですね(やめろ
中に「クエントスの森」という、スペインの昔話を紹介する森の中の遊歩道がありまして。
森の中を歩くとこんなのがポンポンと登場します。
自動音声で手前のじいさんが物語をはじめ、動物たちのセリフも流れます。
そしてひととおり園内を回ってアトラクションを楽しんで戻ってくると、
(16:11)
あの格好いい人たちが今度は広場でフラメンコしてるじゃないですか。
(16:46)
あと紹介しておきたいのはこの「ハビエル城博物館」。
外観はあのフランシスコザビエルの生まれたハビエル(=ザビエル)城を再現し、内部はスペインの歴史や風俗や伝統的な産業を紹介する博物館です。
なお、「カンブロン劇場」で上映されているもののうちアニメ作品以外はここの中にあるミニシアターでループ再生しています。
どばっと見たい人はどうせどっちも空いているのでこちらで観ることをおすすめしておきます。
(16:53)
何気にお金掛かっているのが見て取れるので、是非素通りせずに立ち寄ってみてはどうでしょう。
中にはなんとアルタミラ洞窟の天井画の複製もあります。
僕は日本史受験の人間だったのであまり感慨はなかったのですが……。
ひとつだけパルケの豆知識を紹介しておきますと。
アトラクションが多くあるエリアをぐるっと一周する鉄道があるのですが、それの青信号に、
(16:53)
キャラクターの影が仕込まれています。
上のやつは爆乳ヒロインダルシネアちゃんのシルエットですね。
そうこうしているうちに、パルケは日没を迎えます。
(19:18)
そういえば先程からパルケと略していますが、パルケエスパーニャは英訳すると
パルケ=Park
エスパーニャ=Spanish
でして、公式の略称パルケはただ公園と言ってることになります。
……さて、夜になったということは、
(19:28)
エスパーニャカーニバルの時間だよ!!!!!!!
(19:43)
またもやみんなの前に次々と現れるパルケのフルキャストたち。
(19:49)
4回目の邂逅となるフラメンコのお姉様方ともこれでお別れです。
ここまで顔を覚えてしまうとなんかもうそういったところにまで寂しさを覚えてしまう。
パレードが終わると、ゲストたちはわらわらと一番広い広場に集まります。
何が始まるかといえばこちら。
(19:56)
花火だよー。
実はこの花火、前日も宿からすぐのところで眺めていました。
界隈ならわりとどこからでも見えるので、前日入りする方は是非ご覧ください。
屋内コースター「マタドール」の裏手(パレードの出発地点あたり)から上がります。
そして花火が終わると、
(19:59)
今日は8時30分まで
30分後にせまった閉演時間を無情にも建物にレーザー照射して訴えるパルケさん。
しかし朝からどっぷり浸かってこの時間帯にはすっかりパルケ好きになった皆様には、それにさえも可愛げを感じてしまうはず。
実はこの花火が終わってもひとつだけショーがありまして、その名を「イサベルの光」といいます。
……これがよりによって園内でも最も離れた場所かつ出入り口から遠い場所でやるんです。
しかし朝からどっぷり浸かってこの時間帯にはすっかりパルケ好きになった皆様には、それにさえも可愛g(ry
ショーと書きましたが人間は出演しない、いわゆるイルミネーションショーになります。
(20:12)
↑の写真はこう見えても撮ったそのままで未加工です。
結構綺麗ですし日没後複数回やっているので是非タイミングを見計らって一度観てはいかがでしょう。
(20:04)
イサベルの光を見る前後は、別れを惜しむかのように夜景を撮りまくりです。
思い出話をかねて余談をひとつ。
僕が親と3年連続でここを訪れていた頃、途中から「ロストレジェンド」という非常に大掛かりなショーがオープンしました。
炎や水を大胆に使用したなかなかに迫力のあるショーでして、今回もそれがお目にかかれるかなと思っていたのですが。
2011年から休止となっていて、再開の見込みは実質ないということを直前に知りました。
というのも、ショーの終盤になると特殊な形状のステージほぼ全域を大量の水が埋め尽くす演出があるため、かの津波を伴った震災が起きてから自粛となっているのです。
ショーが行われていた「ロストレジェンド広場」は、今では立ち入る事はおろか園内の地図上からも緑色で塗りつぶされている状態。
ですが実際に跡形もなくなっている訳ではなく。
かつてアトラクション名が刻まれていた門は名前だけ塗りつぶされてそのまま広場にありましたし、「グランモンセラー」というコースターに乗ると上空からその広場の存在を見ることができます。
誰が悪いという訳でもないのだけれど、その事実を知ってなんともやるせない思いでした。
(20:30)
そんな感じで、以上パルケエスパーニャでした。
夏休みの最終週にもかかわらずアトラクションの待ち時間は基本ゼロ。
そこそこのクオリティでパレードもフラメンコも楽しめるし、餃子ドックは千葉の某王国よりも美味しいし、僕はわりと本気でおすすめしたいテーマパークです。
東日本からはなかなか行きづらい立地ですが、何かのついでにぜひ立ち寄ってくださいな。
【第二章】パルケエスパーニャ編 ~終~