日本海と黒部ダムを目指す旅【4】
【第四章】トロリーバス、カレー、自動改札
ミクリガ池周回コースを、寄り道込みの1時間強くらいで室堂ターミナルに帰って来ました。
(13:34)
人生初のトロリーバスだぜ。
見た目はただの古風なバス。そこに電車のような架線が敷かれているだけと言えば原理としてはまあそれだけ。
(13:45)
でもなんかテンション上がるよね。普通の自動車にはありえないギリギリの幅のトンネルを進むからかしら。
トロリーバスに揺られること15分前後。
「大観峰(だいかんぼう)」に到着します。
駅の特徴は言うまでもなく文字通りです。乗り換え途中でこんな景色が見えます。
(13:53)
絶景かな絶景かな。
写真の左手の方、ロープウェイの行く先には、あーいよいよあの辺にダムがあるのかと分かるコンクリート構造物がうかがえます。
かつて調査隊などはこの遥かな景色の先まで何日も掛けて歩いていったというのだからすさまじい。
人間の技術の壮大さとマンパワーの底力を感じます。いや本当に。
(13:56)
つーことで、いま見た景色を一気に降りていくよ。
14時ちょうどに大観峰を発ちました。
(14:01)
ロープウェイの箱の中は、やっぱり黒部湖寄りの景色が人気。
でも、真下の方とか今まで通った方を振り返るのとかも楽しいので是非見てみてください。
(14:05)
ものの5分で到着。黒部平駅です。
黒部平には、次のケーブルカーとの乗り換え途中にお土産屋さんというか、室堂よりも人口密度の高い販売コーナーがあります。
室堂ターミナルの土産屋がどちらかというとアルペンルート全体を意識したラインナップかつマイナーな品揃えであるのに対し、こちらは比較的ベタなものかつ黒部色が強めです。
個人的には室堂の方が好みなのですが、あそこから買ったものを手持ちし続けるのはちょいと面倒ですな。
ちなみにここにはわりと見晴らしの良いであろうお庭があるのですが、いかんせん靄がすごくて何も見えなかったので割愛します。
(14:15)
ささ、ケーブルカーに乗りますぞ。
本日2本目のケーブルカー。
ケーブルカーは総じて一本のケーブルの両端に車両があってそれが交互に上下移動する構造になっていると思うのですが、今回はすれ違うタイミングを録画して遊んでいました。
大観峰からダムまでほぼ臨めるのであれば一気にロープウェイを渡す気はなかったのかという疑問が頭をよぎりますが、技術的なアレとか地形的なアレとか大人の事情的なアレがきっとあったのでしょう。
ちなみにこのケーブルカーは最初から最後まで地下のトンネルを走行し続けるのですが、この形をとっているのは国内でもこのケーブルカーだけだそうです。
アルペンルートの公式サイトを見ると、それは「自然景観保護と雪害防止のため」とあるので、やはりロープウェイ一本でダム直通にしなかったことには理由があるようです。
ケーブルカーも、ものの10分ほどで終わります。
いよいよダムです。
なお、時刻は午後2時を回っています。
どうでもいいですがおなかもすいています。
ケーブルカーを降りた後はしばらく地下道を歩き、やがて屋外に出ます。
(14:29)
まず立たされるのはこんな景色。
トラックが余裕ですれ違えそうなここがダムの上だというのだから驚きのスケール。道の脇から景色を見下ろせば、右側には湖面、左側にはごうごうと落ちていく大量の水がはるか下のほうで川を作っている様子が見えます。
水が落ちた先の地面を極端に削らないようこれでもかというくらいに散らして放水しているので、落下先の様子はほとんど見えません。
放水量は毎秒10トン。
牛乳瓶にして5万本分の水が毎秒ぶちまけられているわけですが、目の前にしてもスケールが大きすぎて正直現実味が感じられないほどでした。
(14:32)
○Wikipedia『黒部ダム』
○黒部ダムオフィシャルサイト
戦後の電力需要を満たすべく昭和31年に着工、7年の年月とのべ1000万人の手によって作り上げられたダムです。
水力発電としての黒部川の有用性は大正時代から既に認められていたものの、戦争などにより計画が実行されたのは大戦後になりました。
ダムは国立公園の中に位置します。雪害防止と景観保護を考慮し、水力発電所(黒部第四発電所)とその関連施設は全て地下に造られました。
黒部ダムの黒部ダムらしい写真はよほど綺麗なものがネット上に出ていると思うのでそちら様にお任せしようと思います。
ぶっちゃけると、綺麗な写真をどれだけ見ても実物には敵わない。目と耳で経験するしかない。
(15:28)
……とまあ偉そうな事を言いましたがいちおう一枚だけ貼っておきますね。
(14:52)
ついでにお昼ごはんの「黒部ダムカツカレー」の写真も貼っておきますね。
カレーとごはんが何を表しているかは言わずもがな、コールスローは放水の様子を表現しているんだとか。
ちなみにダムカレーは何種類かありますが、黒部ダムカツカレーはちょっと辛口です。
(15:37)
各所の展望台を行き来する為の階段や通路にまったく危なげはないものの、よくよく見るとすごいところを歩かされています。
黒部ダム界隈で最も高い展望エリア(レストハウス)にも行ったのですが、靄がかかりすぎていて何も見えませんでした。
(15:53)
これを見て↓を思い出した。
スッ
i⌒i スッ
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さてさて、黒部ダムはこのくらいにしてアルペンルートの通過を目指します。
(16:34)
本日2本目のトロリーバス。
写真の時刻を見て分かると思いますが、なんだかんだダムを見たり展望台を上り下りしたりするのに時間を使っています。
今度のトロリーバスは先程のよりもだいぶ長めです。
ちなみに、ダム建設に当たって資材の運搬に使われたのはこちら側のトンネルだそうです。
トンネルは破砕帯という地層を通過しております。
破砕帯というのは、断層によって岩石が細かく割れた部分でして、要するに地下水を多量に溜め込んだ軟弱な地層になるわけです。
トンネルを掘っている最中にここにぶち当たると大変な事になるのは言うまでもなく。
毎秒660リットルの冷たい湧き水が溢れる破砕帯80mを通過するのに半年以上の月日を費やし、多数の殉職者を出したのだとか。
ダムの工事期間中の労働災害による殉職者は計171人にのぼるというからその苦労はなんとも想像しがたい。
トロリーバスに乗っていると途中でトンネルが青色にライトアップされている場所があるのですが、そこが件の破砕帯になります。
黒部ダムやこの先の扇沢ではこの破砕帯の湧水を水道として使っているそうで、トイレの手洗いにもその旨の張り紙がありました。
(16:39)
トンネルはバス1台分の幅しかないのですが、中間地点で複線化してケーブルカーよろしく反対方面のバスとすれ違います。
トロリーバスもやはり10分そこらで乗車終了。
工期の話を聞きかじると、あっという間にその距離を通過してしまうことに対し盛大にもにょります。
(16:48)
扇沢ではトロリーバスが最後屋外を走行します。架線はこんな感じ。
活躍した時代はそれほど長くなかったそうですが、かつては都市部でもトロリーバスが走っていたらしいのでこういう光景が見られたんでしょうな。
扇沢に着くと
「『アルペンルート最後の売店』お立ち寄りください」
と看板がありましたが、店も閉まりかけだし次に乗るバスの時間も迫っているので華麗にスルーしました。
横目に見た感じ、品揃えはわりとベタな感じだと思われます。
やっぱり個人的には室堂の売店が好きな気がします。
(16:51)
はい、ここからは普通のバスです。
発車後しばらくは森の中や沢沿いを走り、10分ほどすれば住宅や商店がちらほらと現れます。
文明の世界に戻ると同時に夢の世界へダイブしたのでその後のことはほぼ覚えていません。
(17:31)
JR信濃大町駅に到着。
これで正真正銘アルペンルートは終わりです。
松本方面への電車が来るまでは40分近くあったので駅前をふらふらしましたが、時間帯のせいもあって見られるものも少なく、特筆することはありませんです。
……あ、ひとつだけニュースがありました。
(18:01)
自 動 改 札 で し た 。
出発地である新宿駅以来のご登場です。さすが長野さんや。
ちなみに信濃大町から松本までの運賃(増税前)は650円です。
(18:05)
まあ、そんな具合で。
(19:13)
松本に到着です。
【第四章】立山黒部Ⅱ ~終~