【第三章】ケーブルカー、ポテトチップス、硫黄臭
おはようございます。富山の朝です。
(8:01)
この日は昨日の昼到着したばかりの富山をさっさと発ち、立山黒部アルペンルートを突っ切って長野県へと出ます。
(8:21)
JR富山駅から歩いてすぐ、富山地方鉄道富山駅の改札です。
切符を買ったものの、発車までは時間があったので駅のそばをうろうろします。
(8:31)
みんな見てくれ、一番左のご当地キューピーをどう思う。
昨日はおなじみますのすしをがっつり1人分購入しましたが、駅前にはおにぎりと化したお手ごろサイズのますのすしも売っています。
というか、お弁当のますのすしはなかなかのボリューム
(8:35)
ふらふらしているうちに発車時刻が近付いてきたので、地鉄富山に戻ります。
(8:53)
こいつに乗るぜ。
ちなみに、ホームの隅にはこんなものもあるのでお好きな方は是非。
(8:52)
その気になればパクって行ける状態で置いてあるんだがその辺大丈夫かな。
そんなこんなしているうちに、9時ちょっと前に出発です。
(9:30)
たまらない。
この景色たまらない。
2両編成に1時間ほどコトコト揺られ続ける旅です。北陸本線には見られなかった穏やかさでした。
立山駅にいよいよ近付いてきたというあたりで橋を渡るのですが、そのど真ん中で突然列車が徐行します。
(9:48)
この景色を見せてくれる為に。
川を跨いだ後は併走し、周りの景色もだんだん険しくなってきます。
10時2分立山駅に到着。ここからがいよいよ立山黒部アルペンルートということになります。
ここで改めて、立山黒部アルペンルートとは何ぞやということをご説明。
○立山黒部アルペンルートオフィシャルガイド
○Wikipedia「立山黒部アルペンルート」
立山黒部アルペンルートとは、富山県と長野県にわたる山岳地帯と観光地を結ぶ交通路の総称です。
今回僕が移動した方向から行きますと、
電鉄富山駅―(富山地方鉄道)―立山駅―(ケーブルカー)―美女平駅―(高原バス)
―室堂駅―(トロリーバス)―大観峰―(ケーブルカー)―黒部湖駅―(黒部ダム、徒歩)
―黒部ダム駅―(トロリーバス)―扇沢駅―(路線バス)―信濃大町駅
といった具合に沢山の交通手段を乗り継ぐに乗り継いで通過することができます。
……まあ詳しくは各自でお調べ下さい。
観光地はアルペンルートの随所にありまして、必ずしも通過や黒部ダムまでの往復だけがここの醍醐味ではありません。
ちなみに同ルートは富山~長野を直接結ぶ唯一の手段だそうですが、まさか移動目的でここを使う人はおるまい。
とりあえず、立山から扇沢まで距離にして25kmほどにもかかわらず高低差は最大で2000m弱というなんともハイパーな交通路です。
よく切り拓く気になったよと一日で何度思ったことか。
<いちおう注意事項>
当旅行記はあくまで興味または参考程度に留め、実際に立山黒部アルペンルートへ足をお運びの際には別途、服装や移動手段・時刻表等について事前に十分な下調べを行って下さい。
観光スポットやシーズン・時間帯等の条件によってはその日のうちにルートを通過しきれない、天候や気温や地形に見合った服装でない等のアクシデントが発生する可能性があります。
事故等が発生した場合にも当サイトは責任を持てませんのであしからず。
観光地として素晴らしい場所ですが、それだけに綿密な計画性が求められる場所だと思います。
(10:16)
ということでまずはケーブルカーだよ。
このケーブルカーには人を乗せる為の客車の後ろに荷物(というか資材?)を運ぶための箱もぶら下がっています。
車内はわりと混んでいました。
自動音声が珍しい火山岩の説明をしているのですが、外の景色はあまりよく見えませんでした。
(10:28)
はい着きました美女平です。
今これを書く段階になって気付きましたが、ケーブルカーはものの10分程度だったんですね。
移動してる感はもちろんあるし気持ち空気は薄くなっているのですが、いかんせん何か見るわけでもなくただ乗り継ぐだけなんですわ。
しかもこの美女平の乗り継ぎはあまりにもジャストインタイムすぎてとっとこ高原バスに乗り込みました。
(10:35)
10時35分、高原バスは美女平を発ちます。
この高原バスはハイブリッド式で、なんでも酸素の薄い高原でもより効率のよいエンジンなんだとか。
そんな進歩した話を聞かされながらも、道中ずっと車内の前の方で流されているVTRはやたら古い映像でした。
窓の外の景色を見ようにも靄がかかりすぎていて、VTRが絶景ポイントである事を告げるもろくに見えず、これまたテレビの古い映像を見てふむふむするしかない状態。
富山側からだとバスはただひたすらに斜面を登り続けます。
約1500mの高度差を50分間で移動するらしいので、毎分30m、2秒で1mをコンスタントに登り続けていることになります。すげえ。
実際、外の景色をずっと見ていると木々はみるみる背が低くなり、そのうちゴロゴロと岩が目立つようになり、しまいには雪がちらほらと。
(11:18)
↑だいぶ終盤になってからの景色です。
最初の方はバスより背の高い樹ばかりだったのがいつの間にかこんなになります。
50分間バスに揺られ続けるわけですが、靄で絶景が拝めないとはいえ車窓からの風景はわりと飽きないものでした。
隣の人は途中うつらうつらしていましたがね。
このバス、実は途中乗車や途中下車が可能でして(要予約だったはず)。
だだっ広い高原のバス停の近くにだけぽつんと宿があったり、ガチハイキングから途中乗車してくる人がいたりとなんともデンジャラスな雰囲気を垣間見ました。
(11:29)
室堂だよ。
ここから露骨に肌寒いよ。
Tシャツの上に薄手のパーカーを着ていたけれどさらに薄いウィンドブレーカーを装備したよ。
次の交通機関は立山連峰の真下をくぐるトロリーバスなのですが、その前にハイキングを敢行いたします。
アルペンルート内の中継地点としては恐らく最大規模を誇る室堂。
せっかくなのでいろいろ見て回ります。
まずは室堂ターミナル内部から。
(11:32)
「技術・装備不足により単独男性行動不能」
「雪渓ブロック崩壊 男性1名重症」
「クマ出没」
……どう考えても笑い事ではない情報が並ぶホワイトボード。
完全に観光とはいえそういう状態と紙一重の環境にいることは変わりないので、通過するだけでも一応心しておきましょう。
ちなみに、このホワイトボードのすぐ隣には界隈の地図が掲示され、そこに遭難地点や死亡事故地点がマークされていました。
そして高地に来たからには気圧ネタは欠かすまいよ。
ごらんこのポテチ袋を。
(11:34)
はちきれそう……っ////
さて、気を取り直して室堂ターミナルの外に出てみましょう。
(11:51)
そう、ここが立山連峰の玄関口だったんです。
ここより少し近付いてよーく見ると、尾根を歩いている人影が見えることもあります。
夕方には信濃大町(長野県側)を経由して松本のホテルに泊まることも考慮した結果、
室堂では1時間前後で戻ってくることのできる「みくりが池周回コース」をベースにハイキングを行うことにしました。
(11:55)
この先、言葉で説明するのも野暮な景色が続きます。
(12:11)
ふと眼下を見ると、急斜面のはるか下方にコンクリート製の粗雑なシェルターがあったりもするんですよ。
(12:25)
なぜかモンスターハンターの草原ステージを思い出す僕。
この景色の中リオレウスあたりが遠くから飛んできてもたぶんあんまり驚かなかったんじゃないかと思うよ。
今回のみくりが池周回コースからは外れるのですが、血の池を見たかったのでエンマ台と呼ばれる所の方へ。
(12:39)
「火山ガス濃度上昇のため通行注意」
するとまあこんな標示があるわけですよ。
同じ理由で通行禁止になっている道も一部あるんですが、まあ行こうと思ってる部分は立ち入り禁止になってないし大丈夫だよねっていう。
すると吹流しが設置してあって、「風向きがこっちだったら注意してね」って書いてあるのですがまさにその方向から風が来てまして。
けどまあとりあえず行けるとこまで行ってみようかっていう。
(12:46)
右手が血の池です。確かに赤い。
そしてこの辺で、覚えのある臭いがするわけですよ。
「あ、これ化学実験室で嗅いだことあるー」ってな具合に。
言わずもがな、鼻にツンと来るやつですわ。
というか、靄がずっとかかってこそいたけれどこの今目の前を流れてるやつは似て非なるものじゃないかっていう。
……引き返しました。ただいま現世。
(12:58)
安全な場所から通行禁止になっている地獄谷を見た風景です。
手前の閉ざされた茶色い柵と、奥の方のはげちょびんな平地が見えますでしょうか、そこが地獄谷です。
上空の白いモヤモヤは靄ですが、地表を這うようにモヤモヤしているのは 煙 で す 。
この周回コースの途中には温泉がありまして、その名を「みくりが池温泉」といい、日本一高所の温泉だそうです。
ちょっと入ってみたい気もしましたがやめておきました。ちなみに宿泊もできます。泊まりたいとはあまり思いませんでした。
【第三章】立山黒部Ⅰ編 ~終~